Music Review : W

W.A.S.P / ERECTRIC CIRCUS 【76点】

W.A.S.P / THE CRIMSON IDOL 【90点】

バンド名義でのアルバムだが実際はブラッキー・ローレスのソロとして捉えてよいようだ。彼の実体験を元に作られたコンセプトアルバムで、緊張感が充満した内容は圧巻の一言。コンセプトアルバムらしい静と動のコントラストがまた新たなドラマを生み、全編通して使われている同じフレーズが堪らなく感動的で、充実した楽曲とアルバム全体から発散されいている「空気」には尋常でないパワーを感じる。「Arena Of Pleasure」「Chainsaw Charlie」「Hold On To My Heart」「The Idol」など、単一曲として見ても名曲揃い。(H)

W.A.S.P / BEST 【81点】

WARRENT / MONKEY GAME 【58点】

WESTWORLD / WESTWORLD 【84点】

TNTの復活アルバム「Firefly」の変貌ぶりは大きな波紋を生んだが、もともとアメリカナイズドされた「Realized Fantasies」から入った僕にしてみれば、音楽性そのものよりもクオリティの問題の方が重要だった。今聴き返してみると「Firefly」はそんなに悪い作品ではないと思うけれど、全盛期の勢いは完全に失っていた。しかしそのトニー・ハーネルが正統派のロックソングを歌うともなれば、それだけで話題性は特A級。バックを固める面子も凄い、久々のビッグ・プロジェクトの登場だ。#1からしてかつての勢いを取り戻したかのような展開、#4はTNTよりいいくらいだ。こういう曲にはやっぱりトニーの声が合う。全体の音像は少々粗いが、一貫して流れがスムーズな作品に仕上がっている。特筆すべきはマーク・リアリ(g)のメロディアスなギタープレイ。#6#9など、コンパクトながら中身の濃いフレーズを随所で聴かせてくれる。(H)

WESTWORLD / CYBERDREAMS【87点】

トニー・ハーネル(TNT)とマーク・リアリ(g)のプロジェクトWESTWORLDもすでにフルアルバムとして三作目。パーマネントなバンドともいっていい状況下、前作のモダンな方向性から一転彼らの本質である煌びやかなメロディにシフトチェンジ。得意分野で本領発揮したらこのぐらいは当たり前!といった具合の非常に品質の高いメロディック・ロック作品に仕上がっている。#1「Cyberdreamer」はモダンな面影があるものの、#2「When I Come Home」以降中盤にかけては良質のメロディに彩られた心躍る佳曲が満載。北欧シーン随一のシンガー、トニーの歌声はやっぱり抜群の存在感だ。そして極めつけはボーナストラックの#11「Beatiful」!ハイトーンのヴォーカルを極限に生かした素晴らしいコーラスを持つこの曲は、個人的にはTNT時代の「Intuition」や「As Far As The Eye Can See」に匹敵、いやそれらを凌ぐほどヒット。こんな曲がボーナスだなんて…。BLACK SABBATHのカバー#10「Neon Knight」はロニー・ジェイムス・ディオばりの歌唱がステキだが、このアルバムの中ではやや蛇足な気も。(H)

WHITECROSS / 【70点】

WHETESNAKE / SLIP OF THE TOUNGE 【76点】

WHETESNAKE / SLID IT IN 【85点】

WHETESNAKE / WHITESNAKE 【90点】o爺

ジョン・サイクスという天才ギタリストが、WHITESNAKEという超ビッグ・バンドに新たな息吹を吹き込んだ名盤。デヴィッド・カヴァデールにより躍動感を与え、音楽そのものに天才的な才能を発揮し、商業的な成功に導いた功績は称えられるべき。それゆえにリリース時には既に解雇され、サイクスが作った名曲「Still Of The Night」に彼の姿がないのは非常に残念なことであるが…。(H)

WHETESNAKE / 1987 【80点】

WHETESNAKE / RESTLESS HEART 【73点】

WHITESNAKE / GOOD TO BE BAD 【78点】

WHETEWOLF / ENDANGERS SPICIES 【80点】

WIG WAM / HARD TO BE A ROCK'N ROLLER 【85点】

色気ゼロのグラムロック・コスチュームで自信たっぷりにポーズを決めるジャケットが恥ずかしいノルウェー出身のWIG WAMなるバンド。 ノルウェーでは知らない人はいないほど支持されているらしい。80年代のメインストリーム型メロディアスハードロックど真ん中のサウンドで、BON JOVI、WINGER、WARRENT、AEROSMITHあたりと対等に勝負できるキャッチーなメロディ満載の高品質な作品。ファッションセンスは最悪だけど音楽のセンスは素晴らしいものがある。特にギタリストはなんでもこなす器用さがあるようだ。めちゃくちゃベタな#1「In My Dreams」からしてノックアウトだ。日本盤デビューとともに、ひょっとしたら日本でもブームが起こるかも…しれない。特に30代で。(H)

WIG WAM / WIGWAMANIA 【82点】

ノルウェー出身のグラマラス(?)ハードロックバンド・WIG WAMの2nd。80年代のメインストリーム系HRを今という時代に体現している貴重なバンドであり、そしてそのクオリティは当時のサウンドを一瞬にしてフラッシュバックさせる音の魔力は本作でも健在。分厚いコーラス、キャッチーなメロディでぐいぐいひっぱる展開は非常にパワフル。

WILSON PHILLIPS / 【79点】

WINGER / WINGER 【82点】

WINGER / IN THE HEART OF THE YOUNG 【84点】

WINGER / PULL 【87点】

バンドからキーボード奏者がいなくなり、トリオ編成になったWINGERの3枚目にして最後のスタジオアルバム。静かなアルペジオから一気に劇的な盛り上がりを見せ、コーラスでは分厚くパワフルなハーモニーで昇天させるオープニングの#1「Blind Revolution Mad」のインパクトは絶大で、この1曲だけでも彼らの類い希なるミュージシャンとしてのセンスを垣間見ることができる。サウンドがシンプルになって、より土着的な音になったことによって、レブ・ビーチとロッド・モーゲンスティンの巧さがストレートに伝わってくる。特に#7「In For The Kill」のアフリカン・ビートでは、ロッドの天才的なパフォーマンスを実感できる。ホントに巧い集団だ。解散が残念で仕方ない。(H)

WINGER / IV 【83点】

80年代〜90年初めに活躍したメインストリーム系HR/HMバンドが解散し、時を経て再結成するというブームはしばらく続いていたが、特に復活を期待していたWingerが再結成されたというニュースに衝撃を覚えた。13年ぶりの4thアルバムということになる。メンバーはキップ・ウィンガー(b、vo)、レブ・ビーチ(g)、ロッド・モーゲンステイン(ds)、ジョン・ロス(g)、新メンバーセンク・イログル(key)。オリジナルメンバーのポール・テイラーのみ不参加だ。音のほうはまさに「往年の」という表現がぴったりの、ちょっとひねくれたポップセンスが散りばめられた好盤。13年のブランクは感じられなかった。#7はキップのソロ作品のような哀愁が漂っている。ぜひこのまま活動を継続してほしいものだ。(H)

WITHIN TEMPTATION / THE SILENT FORCE 【87点】

美声女性シンガー、シャロン嬢率いるシンフォニック・ゴシックメタルバンド、WITHIN TEMPTATIONの3rdアルバム。一言で(誤解を恐れずに)いえば、NIGHTWISH+EVANESCENCEといった趣。壮大なスケールのサウンドに透明感のあるシャロン嬢の美しい調べが天空を舞うように広がっていく。演奏陣はハードな曲ではヘヴィに、ソフトな曲では優しいタッチでと、緩急自在に曲のイメージを具体的に創造していく。ドラマティックな曲を5分程度の曲にコンパクトにまとめる手腕も見事。全てにおいて完成された素晴らしいアルバムだ。先行シングルにもなった「Stand My Ground」が特にオススメ。(H)

WITHOUT GRIEF / DEFLOWER 【88点】

初期IN FLAMESを彷彿させる激泣きメロディが売りの、スウェーデン出身のメロディック・デスメタルバンドの1st。全編に配した泣きのメロディセンスは抜群で楽曲の質は非常に高く、#1「Suicidal stroke」、#3「Deflower」、#5「The failures crown」、#6「Your empty eyes」と名曲多し。5分以上の長めの曲がほとんどだが、ダレは感じることがなく、その長さの中できちんとドラマを構成するセンスが感じられる。プロダクションの低さ、当初感じた16連符の多用からくるくどさも、聴くにつれて気にならなくなった。いずれ台頭するポテンシャルに溢れた逸材。(H)

WITHOUT GRIEF / ABSORBING THE ASHES 【81点】

デビューアルバム「DEFLOWER」では初期IN FLAMESを彷彿させるメロディックなデスメタルを呈示して輸入盤市場ではかなりのにぎわいを見せたWITHOUT GRIEFのセカンドアルバムで、国内デビューアルバムとなる。前作で見られたIN FLAMES系サウンドはかなり身を潜め、アグレッシブさがかなり増した仕上がり。貧弱だったサウンドプロダクションもおおいに改善され、骨太なヘヴィロック加減がなかなか心地よいが、全体的に哀愁が後退してしまった印象は拭えない。それでも時折爆発的に見せる官能的なメロディは彼らならではのものだ。まだまだ迷走している感じで、もう一つ上の完成度までは今一歩物足りない。(H)

WUTHERING HEIGHTS / FAR FROM MADDING CROWD 【82点】

デンマーク人ギタリストを中心に構成されたプログレッシブ・メタルバンドの3作目。アイリッシュ・トラッドを大胆にo爺取り入れたプログレメタルというのは非常に興味深い組み合わせだ。パワーメタル調に疾走していると思いきや突如複雑な場面展開を見せたりと、やや意外すぎるところもあったりして少々とっつきづらさはあったものの、抑揚のあるメロディにのってくると徐々に慣れてきた。ヴォーカルのニルス・パトリック・ヨハンソンはトニー・マーティンやロニー・ジェイムス・ディオばりの暑苦しく重厚な声を披露しているが、実はクリーン・ヴォイスも巧みに使い分けるテクニシャン。その表現力には知性すら感じられ、この個性的なサウンドの中で存在感を大きく主張している。個人的には、アイリッシュトラッドの情感とパワーメタルのクサさの加減がいまひとつピントが合わずにしっくりこなかった感じ。(H)