Music Review : D

D.A.D / NOT FUEL FOR THE PILGRIMS 【65点】

DAMED NATION / DAMED NATION 【70点】

DAMED NATION / ROAD OF DESIRE 【83点】

DAMN YANKEES / DAMN YANKEES 【83点】

NIGHT RANGERを脱退したジャック・ブレイズが、トミー・ショウ(STYX)、テッド・ニュージェント、マイケル・カーテロンと結成したスーパーグループ。顔ぶれから想像つくように直球勝負の王道アメリカン・ロックを貫き、「これぞ」というべきダイナミックな貫禄が漂う作品だ。NIGHT RANGERと大きく違うのはキーボード奏者がいないところか。それゆえにシンプルでストレートな印象に仕上がっている。名バラード#4「High Enough」、#6「Come Again」収録。(H)

DAMN YANKEES / DON'T TREAD 【90点】

スーパーグループ、DAMN YANKEESの2nd。前作より結束力が強まったか、楽曲の質が向上し、ヴォーカルハーモニーもより重厚になった印象だ。必殺のアメリカン・ロック#1「Don't Tread On Me」にはじまり、王道ロック・バラード#3「Where You Goin' Now」、哀愁が散る#6「Silence Is Broken」、#8「Someone to Believe」と要所に名曲・佳曲が並んでいる。逆にメロディ指向でないノリ重視のロッキンな曲も多いので、そのへんの曲の好みでアルバムとしての評価は分かれるだろう。(H)

DAN LUCUS / NEWS 【83点】

DANGER DANGER / DANGER DANGER 【77点】

DANGER DANGER / SCREW IT! 【74点】

DANIEL STEFANI / UN GIORNO D'AMORE 【85点】

イタリア人アーティストで歌詞はイタリア語。キャッチーなメロディ+美しいコーラスハーモニーを抜群のプロダクションで彩るといういわゆる「王道」の曲で、現地音楽番組で初めて聴いたときに一発KO。イタリア国内でもかなり売れているアーティストらしい。ラテン系ならではの巻き舌がよりアダルトな雰囲気を高めていて魅力を数倍も増幅させている。#2でのアコースティック・アレンジも素晴らしい。「イタリア音楽」は最初想像つかなかったが、こういった普遍的な音楽はどこへいっても人気が高いということだろうか。(H)

DANNY DANZI / SOMEWHERE LOST IN TIME 【73点】

ニュージャージー出身のギタリスト、ダニー・ダンジーのソロ1作目。全ての楽器をこなすマルチ・プレイヤーだそうで、実力も全体のバランスといい申し分無い。特にギターの腕前が素晴らしく、BLUE MURDER(1st)のジョン・サイクスやTENのような大仰なプレイは魅力的。音の貫禄もメジャー度も高いが、肝心の楽曲自体は詰めも甘く、器用貧乏な感じがする。(H)

DARE / OUT OF THE SILENCE 【93点】

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THIN LIZZYのキーボード・プレーヤー、ダーレン・ワートンが結成した英国叙情ロックバンドの1st。ダーレンがリード・ヴォーカルを担当、ギターはヴィニー・バーンズ。澄みきった叙情性がメロディや楽曲から発散されているが、そのサウンドに乗るダーレンの程良く掠れた深みのあるヴォーカルはDAREサウンドの決定打となっている。ヴィニーのギターは#6「The Raindance」、#7「King Of Spades」、#9「Return The Heart」、#10「Don't Let Go」を筆頭に脳裏に焼き付く素晴らしいフレーズを刻んでいる。美しいピアノの旋律とコーラスハーモニーに鳥肌立つ#3「Nothing Is Stronger Than Love」の出来は筆舌に尽くしがたい。ラストを飾る#10「Don't Let Go」のイントロのあまりに切ないピアノのフレーズに腰砕け。(H)

DARE / LIVE AT NEWYORK 1994 【80点】

ブートレッグ。別々の公演を録ったのか、ダブっている曲もあり。音質は望むべくもないのでこんなもの。ヴィニー・バーンズがスタジオ盤以上に弾きまくっているので、彼のギタープレイを楽しむには良い。(H)

DARE / BLOOD FROM STONE 【85点】

プロデューサーにキース・オルセンを迎え制作された2ndアルバムは、1stとうって変わってよりハードなエッジを押し出した作品。また、アイリッシュテイストの#1「Wings Of Fire」、#2「We Don't Need A Reason」を除けばほとんどがアメリカンタイプで、BON JOVIっぽい「Surrender」「Real Love」が顕著だ。力みさえ感じるダーレンのヴォーカルが印象的。中でもゲイリー・ムーアを彷彿させる「We Don't Need A Reason」は琴線に触れるフックのあるメロディで盛り上がる名曲、本作のハイライトといえよう。他のアルバムと音楽性を相対的に比較すればAOR系の方がDAREらしさが出て良いとも思うが、ハードかどうかよりも叙情性があるかどうかのほうが重要で、そういう意味で数曲の駄曲があるのが惜しかった。(H)

DARE / WE DON'T NEED A REASON (single:LP) 【85点】

91年発表の2ndアルバム「BLOOD FROM STONE」からのシングルカットでピクチャー仕様。この「We Don't Need A Reason」は私的太鼓判の叙情ロックチューン。ゲイリー・ムーアの「Over The Hills And Far Away」やTENが好きなら是非。カップリングはアルバム収録曲の「Breakout」、アルバム未収録の「Walk On The Water(3rd「CALM BEFORE THE STORM」のオープニングトラックとしてリメイク)」、「Heart And Soul」が収録。「Heart And Soul」はブ厚いコーラスハーモニーとヴィニー・バーンズの熱いギタープレイが光る佳曲だ。(H)

DARE / REAL LOVE 【85点】

2ndアルバム「BLOOD FROM STONE」からのシングルカット。ゆったりと器の大きい大陸的なバラードですぐさまBON JOVIを想起させるが、ダーレンの湿り気のある声がよりドラマティックな彩りを添えて盛り上げる。#2「Killer Lover」、#3「Rideaway」とアルバム未発表曲が収録。特に「Rideaway」はフックのあるメロディでコーラスを盛り上げるタイプの名曲で、正直言ってアルバム収録曲を凌ぐ出来だ。DAREファンなら要チェック。(H)

DARE / CALM BEFORE THE STORM 【99点】

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前作のHR路線から一転、1stに通じるAOR寄りのサウンドに戻った作品。静かに佇むケルティックの薫りの上に珠玉の叙情メロディとギターのフレーズが心に染み込んでくる感動の宝庫だ。ダーレンの囁くようなヴォーカルと、静かながらも激しく熱く感情を揺さぶる官能的なギターのメロディは、いつしか体内温度を上昇させる。2nd「BLOOD FROM STONE」のアウトテイクのリメイク#1「Walk On Water」は本作の「薫り」を決定づける、ドラマティックで大らかなケルト調の名曲。テンポをつけた軽快さと歯切れの良いギタープレイが素晴らしい#2「Someday」、感動的なドラマが浮かび上がる大作バラード#3「Calm Before The Storm」、コーラスでの盛り上がりが絶品な個人的ハイライト#4「Ashes」、アコースティックギターを中心に叙情性を撒き散らす#5「Crown Of Thorns」、ダーレンの狂おしいヴォーカルが背筋を凍らせるバラード#6「Silence Of Your Head」、アンドリュー・ムーアの情感豊かな泣きのギター・プレイが光る#7「Rising Sun」#8「Rescue Me」(「Rising Sun」のソロは個人的に好きなギターソロNo.1)、同じくアンディのオカズプレイが映える激渋チューン#10「Deliverlance」、THIN LIZZYの名曲カバー#9「Still In Love With You」、キャッチーなメロディで締めくくる#11「Run To Me」と最初から最後までズラリ揃った名曲に脱帽。全編を流れる同じ空気感もアルバムとしての統一感を高めている。じっくり心を震わす超名盤。楽曲の質も、ダーレンの声も、アンディのギターも、現時点でハラヒロシが出会った最高のアルバム。

DARE / BELIEF 【97点】

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最高傑作だった3rd「CALM BEFORE THE STORM」を超えるアルバムは出ないとおもっていたと同時に、もしあるとしたらDARE自身に、と本気で思っていたが、「BELIEF」はまさに前作と比肩しうる完成度だ。汚れ無き朝夕の太陽と澄み切った空が反応して美しい色を作り出すような情景のよう。大気を覆うように染め上げられるグラデーションがあらゆる雑念を取り払ってくれる。全体的に前作よりさらにソフトになり、ピアノやケルト風のサウンドが大々的にフィーチュアされ、逆に前作で全編で大活躍だったアンディのギター・プレイは控えめ。「CALM〜」では聞き流してしまいそうな雰囲気の中アンディのギターで補っていた部分があったが、本作はメロディの質そのものが格段に上がっていて、フックに富んだ曲も多い。ささやくように、優しく包み込むダーレンのヴォーカルはますます曲のイメージにフィットし、出番が少ないとはいえしっかりとらしいフレーズを連発するアンディのプレイも素晴らしい。#1「Silent Thunder」や#6「We Were Friends」などは究極の域。じんわりと染み込んでいく感覚。静かで大らかなドラマが詰め込まれている名作。

DARE / BENEATH THE SHINING WATER 【97点】

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「BELIEF」以来約3年ぶりとなる、筆者最愛のバンドの5th。前作のようなケルト風サウンドは控え目で、位置づけとしては「CALM BEFORE THE STORM」に近いところにあるいった印象。どの曲も似たような雰囲気とテンポなので、聴く人によっては退屈なアルバムかもしれないが、僕自身はこのバンドに変化など全く望んでいないし、下手にチャレンジ精神見せました的な楽曲を入れてアルバムの雰囲気を変えてしまうよりはずっと良い。
楽曲面ではダーレン・ワートンのソングライティングは相変わらず神レベルで冴え渡り、しっとりとした情景を描きながら気分良く最後まで聴かせてくれる。曲に身を任せていると心が浄化されていく気分になるのはこのバンドならではの独特の空気感だ。モイスチャーのかかったイントロで始まるオープニングトラック#1「Sea of Rose」はDAREのあらゆる魅力を詰め込んだ曲だし、タイトルトラックの#4「Beneath The Shining Water」は涙腺をビンビン刺激する、DARE史上でも「King Of Spades」、「Calm Before The Storm」、「Ashes」、「We Were Friend」等と並ぶ最高レベルのバラード。ダーレンの情感たっぷりのハスキーヴォイスに感動的なサビ。マジたまらん。非常にキャッチーなコーラスをもつ#2「Days Gone By」、#7「I'll Be the Wind」やU2っぽい#5「The Battle That You've Won」あたりも素晴らしい。楽曲レベル・メロディの質は前2作に全く遜色なく大満足だが、そうなるとやはりポイントとなるのは前作その量が激減したアンドリュー・ムーアのGパート。DAREが単なるAORバンドでもソフトロックバンドでもないのは、アンディの奏でる熱くエモーショナルなギタープレイによって聴く者の体温を上昇させてくれるからだ。#1「Sea of Rose」のラスト、ブレイクのあとで官能的なソロを披露するなど、前作よりは量的に増えている感じで非常に嬉しいところである。質はもちろん◎。
総合的にみると、やはりギターのフィーチュア度で「CALM〜」並にならないかぎり、どんなに楽曲がよくても僕の中で「CALM〜」を超えることはあり得ないが、文句無しにマスターピース決定の名盤である。(H)

DARE / THE POWER OF NATURE [CD] 【88点】

「DEEP IMPACT 2004」でのライブの模様を収録した、バンド自身初のライブ盤。「Blood From Stone」を除く全てのアルバムからまんべんなく(といっても全11曲だが)選曲されている。DAREの特徴でもあるアコースティックギターとエレキギターがさりげなく活躍するなかにダーレンの囁くようなウィスパーヴォイスが空気を優しく包み込んでおり、DAREというバンドのアイデンティティを彼らのプレイから十分すぎるほど感じ取ることができる素晴らしい内容だ。ミュージシャンとして、余裕を持って高いパフォーマンスを見せることができるバンドであることを再認識させられた。(H)

DARE / THE POWER OF NATURE [DVD] 【70点】

「DEEP IMPACT 2004」でのライブ映像がDVD化。DAREの映像ソフトとしては初めての作品だ。ライブからの曲が11曲で、その他インタビューと「Deliverance」のPVがついている。うごいているDAREのメンバーをまじまじと観られるというだけで感激だし、ライブそのものの出来も非常に素晴らしいのだが、ライブDVDとしては正直言って粗悪品。ステージ上のダーレン・ワートンは意図的に映さないで、かわりに別撮りしたダーレンをアップにして2つの映像をクロスさせる構図で最後までそれが続く。萎える。固定カメラで垂れ流しの映像のほうがよっぽどマシ。音のレビューは同時リリースのCDのほうを参照あれ。(H)

DARK MOOR / THE HOLL OF THE OLDEN DREAMS 【85点】

DARK TRANQUILLITY / SKYDANCER 【80点】

DARK TRANQUILLITY / THE GALLERY 【83点】

DARK TRANQUILLITY / PROJECTER 【85点】

クリーンヴォイスを大胆に取り入れた4th。ミカエル・スタンネのクリーン・ヴォイスは男の妖気がプンプンする魅力的な声で、独特の鬱なメロディをマイルドに、浪々と歌い上げる雰囲気が素晴らしい。デスヴォイスと効果的に組み合わせる方法論はメランコリックさを増幅させているという点で理にかなっていて納得できる。全体的にスロー〜ミドルテンポの曲で占められ、もうちょっとスピード感のある曲はほしいところだが、ひとつの作品として独自の方法論が確立されているのでそれほどマイナスにはなっていない。(H)

DARK TRANQUILLITY / HAVEN 【91点】

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5th。「今度は全部クリーンヴォイスでいく」なんていっておきながらほぼ100%デス・ヴォイスになっててリスナーを驚かせた最新作は、アグレッション・ブルタリティ・メロディの全てが凝縮された叙情デスの名盤だ。初期の彼らは僕にはちょっと難解だったが、本作のコンパクトにまとめられた楽曲群はシンプルだがどれも緊張感に満ちていている。少なくとも過去のどの作品よりも気に入った。ミカエル・スタンネのヴォーカルも、前作までは聴いてて喉が痛くなる声に聞こえてあまり好きではなかったが、今回の声はいい感じ。これも喉をつぶさないような詩に力をいれた成果なのか。どの曲も同じ調子で平均化してるとか、クリーン・ヴォイスが減ったせいで前作のようなメランコリックさが減少しているとか、ネガティブな意見もなくはないが、何度も聴いていると結局「バランスがいい」という一言に集約される。(H)

DARK TRANQUILLITY / DAMAGE DONE 【92点/88点】

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前作「HAVEN」は言行不一致が引き起こした結果、ある意味「意外」な作品として接しざるをえなかったが、その言動や周囲の雑音を除いて捉えればブルータル・ヘヴィメタル最高峰の傑作であった。そして、余計な疑念も払拭した状態で向かい合うことができた本作は、こちらの予想通りの音楽性を維持ながら、最高傑作であった前作をも凌ぐ内容に圧倒された。「PROJECTER」をよりメタリックにした「HAVEN」を踏襲しながら、それらのエネルギーを失わずによりパワフルに、ブルータルに、アグレッシブに進化を遂げた楽曲群の力強さは、ヘヴィメタルの全ての魅力を内包している。#3「Monochrome Stains」、#8「Cathode Ray Sunshine」が頭一つでているが、それよりもアルバムを通して感じる恐いくらいに整った均一感に脱帽だ。悪く言えば起伏が少なく平均的ということになるけれども、DARK TRANQUILLITYという集合体から発せられる深遠で濃密な空気が大好きは自分としては、至福このうえない12曲。(H)

「HAVEN」から2年の月日を経て、メロデスの老舗が力量を見せ付けた6th。「HAVEN」からの流れを汲みつつも、さらにそれを基盤にしてパワー、アグレッシヴ、スピード、そして哀しいほどに美しい陰鬱なメロディーのすべてが色合いを増しながらも、一つの楽曲の中に余すことなく織り込まれている。キャッチーでアップテンポの中に、冷たく荒涼とした音を散りばめ、「動」と「静」の対極を描きあげている。そんな音の厚みが心の奥底に眠っていた感情を呼び覚まし、彼らの世界の奥底まではまり込んで行く。彼らの作り上げる音楽は慟哭にあふれ、陰暗とした劇的なアルバムは過去最高の出来であり、「日進月歩」を常としている彼らが昇りつめる方向を見つけ出した証明だろう。(K)

DARK TRANQUILLITY / LIVE DAMAGE 【82点】

2002年ポーランドでのライブの模様を収録したDARK TRANQUILLITY初のライブDVD。その他にブートレッグ映像やプロモーションビデオも収録されたお得な内容だ。雑誌の記事などからしてこのバンドについているイメージは「スタジオ録音は精密だけどライブはしょぼい」だったけど、この映像を見る限り一体感はあまりないけどそれでも貧弱な感じでもなく、なかなか良質なパフォーマンスを見せてくれていると思う。とにかくこのバンドがいかによい曲をたくさん書いてきたかが改めて分かるセットリストだ。(H)

DARK TRANQUILLITY / CHARACTER 【87点】

北欧メロディック・デスの重鎮、DARK TRANQUILLITYの7作目。多くのメロデスバンドがモダン・サウンドにシフトチェンジしていく中、頑なに自らの立ち位置を守り続ける数少ないバンドなだけに、本物のメロデスをこのバンドに求めるファンも多いに違いない。本作ではいきなりオープニングからブラストビート炸裂で、最近の路線をよりスラッシーにした感じだ。特に前半のテンションはものすごく、ミカエルの喉が破れそうなほどの咆哮には痺れる。アグレッシブなメロディックデスとして、このアルバムを最高傑作に挙げる人も多いかもしれない。内証的な暗黒世界を哲学として音を作っているだけにアルバムを流れる空気も相変わらず素晴らしく、期待通りの作品といっていいだろう。ここ2作ぐらいの各楽曲の路線についてはマンネリという言葉は使わなかったけど、そろそろその言葉を使いたくなってしまいそうなのも率直なところ。(H)

DARK TRANQUILLITY / FICTION 【86点】

コンスタントに作品をリリースしているDARK TRANQUILLITYの通算8作目のアルバム。バンドの哲学をさらに推し進めんとする姿勢は本作でも徹底的に貫かれており、いつ聴いても背筋がピンと張るような緊張感は健在。アグレッシブな曲での殺傷力、ミドルテンポな曲での効果的なキーボードによる装飾、クリーンヴォイスや女性ヴォーカルの演出など、DARK TRANQUILLITYならではのアレンジが行き届いていて、いつもと同様アルバムを通して美しい作品が出来上がっている。ただ、いつものことだが評価は総体としていいんだけど曲単位で記憶に残りにくいものが多い…のは仕方ないか。レベルが高い故の、贅沢な悩み。

THE DATSUNS / OUTTA SIGHT/OUTTA MIND 【75点】

DAUGHTRY / DAUGHTRY 【89点】

米人気TV番組「アメリカン・アイドル」出身のアーティスト、クリス・ドートリー率いるバンドのデビュー作。その名の通り徹底したアイドルロック路線&売れ線直球満載の楽曲が詰まった作品だ。HOOBASTANKやMY CHEMICAL ROMANCEらを手がける大物プロデューサー、ハワード・ベンソンがプロデュースしたり、バックの演奏陣も豪華、ゲストにスラッシュや元EVANESCENSEのメンバーが参加したりと話題性も抜群。ドートリーの声は骨太でありながらも繊細なところもある器用で表現力豊か。NICKELBACKのチャド・クルーガーあたりを彷彿させる。曲によってはLIFEHOUSEっぽさもある。全曲にわたりフック満載のキャッチーな楽曲がずらりと並び、若干狙いすぎな感もなくはないが、圧倒的なクオリティの高さは他の追随を許さない完成度。もうちょっとロック寄りだと、HR/HMファンへのアピール度が増したけど。(H)

DAVE MENIKETTI / ON THE BLUE SIDE 【85点】

Y&Tのギタリスト、デイブ・メニケッティのソロ。彼のルーツである「ブルース」を土台にした線の太くエモーショナルな熱いギター・プレイとヴォーカルは本当に情熱的で、思わず胸が熱くなる。「入魂」とはまさにこのことだ。ブルージーではあるがハードロック寄りのサウンドでメロディアスなので、聴きやすいと。泣きまくるギターを聴きたいなら、僕は真っ先にこれをオススメします。そのあまりに美しく悲しく絶望的なメロディに乗せられて、どこか遠くまで行ってしまいそうな超名曲「Say Goodbye」にただただ涙。(H)

DAVID COVERDALE / INTO THE LIGHT 【77点】

DAVID LEE ROTH / SKYSCRAPER 【79点】

DEEP PURPLE / BEST 【80点】

DEEP PUROLE / MACHINE HEAD 【80点】

DEF LEPPARD/ PYROMANIA 【88点】

DEF LEPPARD/ HYSTERIA 【90点】

天文学的セールを記録した金字塔的アルバム。超ド級のブ厚いプロダクション、キャッチーなメロディに溢れた楽曲群、噛めば噛むほど味がでる一枚。どれをピックアップしても名曲で、隙も無駄も全くない。(H)

DEF LEPPARD/ ADRENALIZE 【90点】

はじめて聴いたDEF LEPPARDのアルバムがこれ。それと、はじめて聴いたブリティッシュHRもこれ。そう思うと、個人的にもハードロックに傾倒していくうえで重要な一枚であったと言える。当初はジョーの籠もった声と馴染みの薄いサウンドに対してあまり自分の中では歓迎した覚えはないのだが、何度も何度も繰り返して聴くうちに、徐々に体に染み込んでいく感覚をはじめて覚えた。そういう感覚こそがブリティッシュの醍醐味であるんだと、その後好きになったBLUE MURDERやTEN、THUNDER等に接するたびに思い出す。このアルバムが売れている頃、ちょうどMTVで「Have You Ever Needed Someone So Bad」がヘヴィ・ローテしていた。これも僕の脳裏に焼き付いて離れない映像で、この曲が個人的にハイライトだったりする。さて、全体としては全盛期DEF LEPPARDの金太郎飴的仕上がりの真っ只中という感じだが、そこがこのバンドのスゴイところで、彼らにしか作り得ない魅力的なハーモニーとメロディに満ち満ちている。その他にも「White Lightning(故・スティーブ・クラークに捧げた曲)」「Let's Get Rocked」「Tonight」「Stand Up」「Heaven Is」等名曲目白押しの名盤。(H)

DEF LEPPARD/ RETRO ACTIVE 【84点】

シングルB面などの曲を集めた企画盤だが、さすがDEF LEPPARD、アルバムにも全くひけをとらない完成度なのだから頭が下がるばかり。SWEETのカバー「Action」は本当にかっこよい。「Miss You In A Heartbeat」は複数バージョンが収録。どれも素晴らしい仕上がりだ。(H)

DEF LEPPARD/ VAULT 【90点】

ベストアルバム。文句のつけようがない。新曲バラード「When Love & Hate Collide」も珠玉の名曲。(H)

DEF LEPPARD/ SLANG 【81点】

ヴィヴィアン・キャンベル加入、実験的なサウンド等々、おおいに世間を騒がせた問題作。実験云々よりも、メロディの魅力が薄かったがもったいない。(H)

DEF LEPPARD / EUPHORIA 【88点】

前作でちょっと別世界に行ってしまったDEF LEPPARDだったが、今聴いてみるとそう悪くはない。しかし、3年振りに発表された今作を聴く限り、やっぱり前作の完成度の低さを否定することはできなくなってしまった。「グレイテスト・ヒッツ的なアルバム」とジョーがいうとおり、モンスター・コマーシャル・バンドの名に恥じぬ、まさに公言通りのコマーシャル・アルバムに仕上がった。しかも、「PYROMANIA」「HYSTERIA」「ADRENALIZE」の延長線上にありながら「SLANG」で見せた実験的な部分も積極的に取り入れ、それを上手くミックスさせてできたような音に新鮮さすら感じる。自分たちのヒット曲の二番煎じに終わることなく、新たな良さを引き出しているところが格の違いだろうか。アルバム全体のバランスも非常に良く練られていて、流れが非常に良い。相変わらずのコーラスハーモニーと無機質ともいえるほど完成された音は、どこをどう切ってもLEPPSらしい。個人的には、ヴィヴィアン・キャンベルが更に楽曲に関与しているのが嬉しい。しかも前作同様、ヴィヴィアンの書いた曲が一番好きだ。加入直後は不安もあったが、彼のプレイスタイルの広さでカバーし、すっかり他のメンバーと溶け込んでいるように思える。(H)

DEF LEPPARD / X 【83点】

カラフルでビッグプロダクションだった前作「EUPHORIA」でLEPPSらしさを取り戻したと思いきや、本作では全体的にポピュラー・ミュージック系の楽曲で占められた、いってみれば「小粒な金太郎飴」というのが第一印象だった。もっとも、元々彼らの音楽はロックという範疇にはおさめきれない時空を超えた魅力があるわけだが、今回に限っては特に、アンドレアス・カールソンやウェイン・ヘクターといった、ポップス畑の旬のソングライターが加わったのが大きく影響しているのであろう、名バラード#2「Unbelievavle」、#5「Long Long Way to Go」をはじめ全体がより普遍的なメロディとサウンドに覆われている。ただ、外部ライターを加えてより良い曲を、という姿勢は伺われるものの、他にこれといった決め手のない楽曲が並んでいて、手詰まりも感じられる。「LEPPSらしさ」というポジティブなものより、「優等生的・無難」といったネガティブなイメージが浮かんでしまうところが個人的に残念。メンバーはフレッシュな要素を持ち込むつもりだったのだろうが、メンバーだけでもっと良い曲が書けるはずだ、という勝手な期待と思いこみが先行してしまう。外部ライターによう前述の2曲が際だっている結果にはやはり納得いかない。そういえば「SLANG」も「EUPHORIA」も、後から入ったメンバー、ヴィヴィアン・キャンベルの書いた曲が一番良かった気が…。(H)

DEF LEPPARD / YEAH! 【80点】

4年振りということでてっきりオリジナルの新作と思いきや、カバーアルバムでした。メンバーのルーツである70年代初頭の英国ロックの曲を中心に選曲。このバンドのサウンドとは当然ながら一線を画しているが、どんな楽曲であってもデフレパード的な味付けに変換できる力量はさすがというもの。個人的にはそれほど楽しめなかったものの、バンドとしての偉大さは伝わってきた、そんな一枚。(H)

DEPARTURE / DEPARTURE 【82点】

アメリカ東海岸出身の産業ロックバンドのデビュー作。産業ロックの典型サウンドで少々古くさい印象もあるが、煌びやかなキーボードと仄かな哀愁を含んだ楽曲の充実度は高い。ヴォーカルもこの音楽にマッチしたハイトーン・ヴォイスで、#1「Faster」、#2「Searchin'」等でいきなりその魅力を発している。中でも特筆すべきは#3の「The Way You Show Your Love」。個人的に産業ロック系バラードでは一番好きなこの曲は、ベタベタな曲構成、伸びに伸びるヴォーカル、感動的なメロディとこちらを泣かせる条件を完璧に揃えた超名曲。ただ、この曲をピークに中盤〜後半とパワーダウンしてしまうのがなんとも惜しい。(H)

DEPARTURE / OPEN YOUR MIND【82点】

DEPARTURE / CORPORATE WHEEL【71点】

アメリカのメロディアス・ハードロックバンド、DEPARTUREの「OPEN YOUR MIND」に続く通算3作目。ヴォーカリストには新たにティモシー・ルイスが迎えられており、これまたこの手の音楽にありがちなスティーブ・ペリーそっくりさん。第一声を聞いた時点でやや冷めてしまったのだが、どうやら個人的にはこの手のサウンドは食傷気味のようだ。カッチリまとまったサウンドはこれまで以上に洗練されていて、メロディもしっかりしているし溢れ出す爽快感も文句のつけどころがない。しかしそのパターンに詰め込んだ楽曲が結果的に「無個性」を招いているのが痛い。デビュー作での「Faster」、「Searchin'」、「The Way You Show Your Love」でいたく心奪われたクサいメロディも既に過去の産物。今のDEPARTUREからはそういった個性やエネルギーを感じ取ることはできなかった。(H)

DEPSWA / TWO ANGELS AND A DREAM 【85点】

DESMOND CHILD / DICIPLINE 【85点】

BON JOVI、AEROSMITH、ALICE COOPERなど、多くのビッグ・ミュージシャンに優れた楽曲を提供/共作し、天才メロディメーカーの名をほしいままにしたデズモンド・チャイルドのソロ作品。ここでもその天賦の才能をいかんなく発揮し、ゴージャスでキャッチーでポップな80年代を絵に書いたような産業ロックソングに仕上げたアルバム。フックの洪水#1「The Price Of Lovin' You」や#5「You're The Story Of My Life」の止め処なく流れる美しいメロディは、彼の真骨頂だ。(H)

DGM / DREAMLAND 【80点】

DIE HAPPY / THE WEIGHT OF CIRCUMSTANCES 【80点】

EVANESCENCEが全世界を席巻し、ゴシック・ロックがメインストリームのジャンルとして脚光を浴びたが、このDIE HAPPYというバンドも同じジャンルに属するといえるだろう。チェコ産でドイツで活動する4人組。美貌の女性フロントマン、マルタ・ヤンドヴァを中心に結成され、これが3枚目のアルバムとなるようだ。基本路線はダークでゴシックなロックだが、EVANESCENCEに比べるとポップ寄りで、もちろんヒットする要素も備えている。そこはこのアルバムを手がける「史上最強」と呼ばれるプロデューサー・チーム、THE MATRIXの手腕ともいえるだろう。ただ、曲作りにおいてはまだまだツメが甘いというか、EVANESCENCEのようにダークな泣きメロでグイグイ押すわけでもなく、ポップな曲でもフックが足りないなど、物足りなさが残る。一番良かった#13「Right Here To Your Face」が日本盤ボーナスだったというのも残念。ビジュアル的にはグンバツなだけに(マルタ嬢はマジかわいい)、クオリティ次第ではさらなるスターダムが期待できそう。(H)

DIMENSION ZERO / PENETRATIONS FROM THE LOST WORLD 【92点】

IN FLAMESのイエスパー・ストロムブラードと元IN FLAMESのグレン・ユングストロームのプロジェクト。持ちバンドとの音楽的方向性の違いはさほどなく、IN FLAMESを更にアグレッシブに、硬質にした感じだ。咆哮と共に幕開ける#1「Through The Virgin Sky」は怒濤のリフと怒りのヴォーカルと疾走のアグレッションを兼ね備えた名曲で、序盤押さえ気味の哀愁が一気に爆発するギター・ソロでは失禁間違いなし。続く#2「Dead Silent Shriek」、#3「Forgotten...But Not Forgiven」も怒りと哀しみに溢れた素晴らしい出来だ。ミニアルバムなので曲は少ないが、このプロジェクトの質の高さは否応なしに伝わってくる。(H)

DIMENSION ZERO / SILENT NIGHT FEVER 【89点】

IN FLAMESのイエスパー・ストロムブラードと、かつてIN FLAMESに在籍していたグレン・ユングストロームによるブルータル・ヘヴィメタルバンドの待望のフルレンス・アルバム。98年1月にリリースされたミニ・アルバム「PENETRATIONS FROM THE LOST WORLD」収録の「Through The Virgin Sky」「Dead Silent Shriek」「Forgotten... But Not Forgiven」は、いずれもひたすら疾走するアグレッションと、劇・激哀メロギターソロをフィーチュアした素晴らしい曲であり、その「疾走」と「泣き」のの化学反応こそがこのバンドの色だと思っていたが、なんと、このアルバムでは、一切ソロを弾いていないではないか。リリース前にオフィシャルサイトでダウンロードした#4「Your Darkest Hour」を聴いたときも、何故ソロがないんだろうと首をかしげたものだったが、まさか全部ないとは...。リ・レコーディングした#3「Through The Virgin Sky」も、しっかりとソロが抜かれている。このバンドはグレンが主導権を握っているらしいが、やはりそのあたりが関係しているのだろうか。そんな思いがけない彼らの決意と姿勢にとまどったものの、もう一つの「疾走」に関しちゃこちらの気がおかしくなるくらいアグレッシブで全35分という時間はまさにあっと言う間に過ぎてしまうし、天才ソングライターと呼ぶにふさわしいメロディや卓越したアレンジもちゃんと散りばめられていて、聴き所は非常に多い。#3「Through The Virgin Sky」は前バージョンに比べてややテンポが遅くなっていて、その微妙なテンポの違いがある種の覚醒現象を起こしてなんだか気持ちよいし、#4「Your Darkest Hour」はメロディアスなリフにぐいぐい引き込まれる出色の出来。他にも#1「Silent Night Fever」や#6「They Are Waiting To Take Us」をはじめ、ヘヴィメタルの醍醐味とライブ受けしそうな魅力に溢れた曲が満載。「They Are Waiting To Take Us」の冒頭でのヨッケ・ゴスベルグの野獣のごとき咆哮に惚れました。彼の声は大好き。しかし、ソロパートがない、という現実にショックと戸惑いが残る。(H)

DIMENSION ZERO / THIS IS HELL 【85点】

スウェーデンのブルータルバンド、DIMENSION ZEROの2ndフルレンスアルバム。前作同様、アグレッシブでブルータルなサウンドをコンパクトに凝縮した濃密世界が堪能できる。その暴虐性といったら圧倒的で、何もかも残虐に切り刻む疾走リフと破壊力抜群のブラストビート、そしてそして、イエスパーとグレンの2枚看板に隠れがちだが、間違いなくこのバンドにおけるキーマンであるヨッケ・ゴスベルグの喉元を一掻きで抉り取る驚異の咆哮と、ブルータル・メタルの理想像を描いている。ブルータルなサウンドの中にも自慢のメロディセンスはしっかりと刻印されており、珍しくソロっぽいパートのある#7「Amygdala」などはまさに初期IN FLAMESを継承した曲だ。叙情デス系ファンに対するアピール度はますます後退しているが、今のバンドのコンセプトは潔い。中心人物であったグレン・ユングストロームが脱退したとのことで、今後のバンドの未来が心配…。(H)

DIMENSION ZERO / HE WHO SHALL NOT BLEED 【90点】

4年ぶりのリリースとなるDIMENSION ZERO待望の3rdアルバム。グレン・ユングストロームはすでに脱退している模様。試聴段階でかなり期待度が高かったこのアルバム、予想通り素晴らしい内容。ドコドコとブラストビートが疾走するデスラッシュのスピード感とブルタリティは相変わらずで、仄かに漂う美しいメロディは過去の作品を凌駕。ただ激しいだけじゃないのがきっとイエスパー・ストロムブラード風味なんだけど、このサウンドに自分の妙味をブレンドする力量はさすがのひとこと。。IN FLAMESに近い曲も多くて、本編ラストの「Way to Shine」などは「THE JESTER RACE」のころを彷彿とさせるメロディが泣かせる。それから数曲でギターソロがあるのもポイントだ。激走の34分。

DIMENSION ZERO / PENETRATIONS FROM THE LOST WORLD(再発) 【92点】

98年にリリースされたデビュー・ミニアルバムに未発表音源と2003年5月に日本で行われたライブ音源を追加してリ・イシュー。「SILENT NIGHT FEVER」、「THIS IS HELL」では激烈ブルータルメタルぶりを発揮している彼らだが、デビュー時の方向性はIN FLAMESをやや攻撃的にしたかのような所謂「叙情デス」直系の音楽であった。ミニアルバムリリース時のレビューでも書いたが、#1「Through The Virgin Sky」、#2「Dead Silent Shriek」、#3「Forgotten...But Not Forgiven」のアタマ3曲はいずれも咽び泣く哀愁が滝の如く降り注がれる叙情デスの超名曲。「SILENT NIGHT FEVER」、「THIS IS HELL」で完全に封印されたギターソロの凄まじさは筆舌に尽くしがたい。今回初めて収録された未発表曲#5「Condmned」も前出の曲に負けず劣らずの出来だ。ライブ音源は5曲でいずれも「SILENT NIGHT FEVER」より。パフォーマンスの未熟さが指摘されていたようだが、音で聴く限り演奏面でのマイナスポイントは見あたらない。むしろ彼らのキレ具合に興奮した。(H)

DIMMU BORGER / SPIRITUAL BLACK DIMENSIONS 【82点】

ノルウェー産シンフォニック・ブラックメタルバンドの5th。メンバーのヴィジュアルやアートワーク、サタニックな歌詞とは裏腹に、音楽的には繊細さもみられる美しいメロディが満載。ピアノを全編に散らし、様々な装飾を施したゴージャスな音が新鮮だ。起伏に富んだ曲構成は見事だが、曲自体の魅力は今ひとつ。豪華だがそれほど耳に残る部分はなかった。(H)

DIO / LAST IN LINE 【85点】

DIO / HOLY DIVER 【83点】

DISARMONIA MUNDI / FRAGMENTS OF D-GENERATION 【92点】

イタリアとデスメタルは全く直結しないが、そんな国から恐るべしアルバムが誕生した。このDISARMONIA MUNDIなる難解な名を持つバンドは、リーダーのEttore Eigottiがサウンドのほとんど全てをつくりあげ、プレイしている。それを補う形で他のメンバーが参加し、完成させたアルバムのようだ。スクリーム・ヴォーカルを担当しているのはあのSOILWORKのフロントマン、ビヨーン・スピード・スピリット。SOILWORKのファンだったというEttore Eigottiがビヨーンを呼んだことから察するとおり、この作品はまさしく「SOILWORK」系のサウンド。伝統的であり、モダンであり、近未来的でもある贅沢な作品で、ひょっとしたらSOILWORKを上回るのではないかと思わせるレベルの高さだ。疾走あり、ノリあり、効果的なシンセ起用等々、節々に感じる緻密なこだわりが最後まで寸断なく続いている。DARK TRANQUILLITYにも通じる鬱蒼としたムード漂う#10「Colors Of A New Era」のラストに向かってドラマティックに盛り上がるパートなどは特にお気に入り。(H)

DISARMONIA MUNDI / MIND TRICKS 【93点】

メタル不毛の地・イタリアが産んだ奇跡のエクストリーム・メタルバンド・DISARMONIA MUNDI(ディサルモニア・ムンディ)の2ndアルバム。メイン・ヴォーカルは前作同様SOILWORKのビヨーン・スピード・ストリッドで、デスヴォイスはもう一人クラウディオ・ラヴィナールが担当。それ以外の楽器パート全て&クリーンヴォーカルを担当する奇才、エットレ・リゴッティの全編に渡っての「エモ・エクストリーム」サウンドが全開。近未来的な味付けを施したデジタル風味はあくまでもオーセンティックなヘヴィメタルがベースになっており、劇的で激烈なサウンドをうまく引き立てている。そのバランス感覚とアレンジセンスはまさに天才的といっていいだろう。どの曲も破壊力抜群のHMリフ×メロディックなコーラスという方程式を徹底して貫いており、洗練された知的なメタルっていう感じが自分的にかなりポイントが高い。ネームバリューではIN FLAMESとSOILWORKがこの手のサウンドでは群を抜いているが、アルバムの完成度からしてこの2強に割って入るだけの魅力がある。あとはバンドとしてライブ活動ができればいいのだが…。(H)

DISTANCE / DISTANCE 【89点】

DISTANCE / LIVE & LEARN 【77点】

HEARTLANDよりもキャッチーでわかりやすかったDISTANCEのファーストアルバムに比べ、今回はツカミもサビもあまりに中途半端な出来。英国ロック独特の、メロディの煮えきらないところを巧く表現していたことが彼らの良さだったのに、ここで聴かれる楽曲は単なる尻切れトンボのメロディばかり。クリス・ウーズィーは確かに素晴らしいシンガーだが、巧く歌えることと良いメロディを歌うこととは別問題。歌い回しの引き出しの少なさを露呈しただけで、こちらには何も響いてこない。期待していただけに残念だ。(H)

DISTURBED / TEN THOUSAND FISTS 【90点】

シカゴ出身のヘヴィロックバンド、DISTURBEDの3rdアルバム。明らかにメタル系リスナーの知名度が低いと感じられるが、これは曲そのもののアプローチがまさしく王道ヘヴィメタル・ハードロックといっていいぐらい、普遍的な魅力を備えたサウンド。その普遍性は決して平均的という意味ではなく、細やかなアレンジセンスと曲づくりの巧さが光った実に味のある曲が詰まったアルバム。非常に聞きやすいメロディの中で、やはりヴォーカリストのデヴィッド・ドレイマンの力強く、男臭くも繊細なタッチの声が深みをさらに与えていく。聞いていて非常に心地よく、長く愛せるアルバムになると確信している。(H)

DISTURBED / INDESTRUCTIBLE 【87点】

DIVINE SOULS / THE BITTER SELFCAGED MAN【82点】

スウェーデンの真性メロディック・デスメタルバンドの2ndアルバムで日本デビュー盤。多くの同郷メロデスバンドがルーツとするIRON MAIDENの影響が色濃く音楽性に表れており、初期IN FLAMES、特に「THE JESTER RACE」〜「WHORACLE」あたりを想像させる。メロデスファンならこのド直球サウンドに心動かされること間違いないだろう。現時点でこのバンドの個性というのは見いだせないものの、全編に渡ってフィーチュアされた叙情的なメロディの質量は元祖を凌ぐほど。センスは確かなものだ。一本調子のヴォーカルが少々気になるが、#8「Empty Words」のようにノーマル声と併用するなどの柔軟さもあり、将来性は十分感じられる。モノマネっぽくても叙情的な王道メロデスが聴きたいならおすすめ。(H)

DIZZY MIZZ LIZZY / DIZZY MIZZ LIZZY 【82点】

鳴り物入りでシーンに登場し、ブームを生み出したデンマーク出身の3人組の、売れに売れまくった1st。独特の声、独特のメロディ、独特の展開が麻薬的作用を生み出し、その典型である#5「Glory」#7「Silverflame」のインパクトは強力無比。自分のルーツと時代の潮流を時に緻密に、時にラフに再構築した音楽は、シーンとしてもエピック的な一枚なのではなかろうか。その他も面白い曲があるが、アイデアと中身が伴っていないと感じるところも多々あり。(H)

DIZZY MIZZ LIZZY / ROTATOR 【83点】

DOKKEN / BEST 【76点】

DOUBLE-DEALER / DOUBLE-DEALER 【84点】

DREAM EVIL / DRAGONSLAYER 【82点】

北欧メロディック・デスメタルファンならお馴染みの名プロデューサー、フレドリック・ノルドストロームがバンドを結成して衝撃デビュー。本人はギターとキーボードを担当している。音楽性はメロディ・スピード・パワーと三拍子揃った正統派のヘヴィ・メタルを軸に、ミドル〜スローテンポの曲も程良く散りばめた教科書的仕上がり。大御所達のアルバムをたくさん手がけてきたフレドリックが、意外なほどストレートなアプローチで勝負してきた姿勢から、自らの作り出す音楽に対してかなりの自信を持っているのだろうと伺える。サウンドのクオリティもバランスも抜群、シンガー、ニクラス・イスフェルドの歌唱も巧くて全体を通して欠点は見あたらないが、反面、#1「Chasing The Dragon」、#7「The Prophecy」、#9「In Flames You Burn」のようなフックのあるメロディが、全体的に見ると意外と少ないからだろうか、残像としてやや印象が薄いような気もする。(H)

DREAM THEATER / IMAGES AND WORDS 【97点】

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芸術性と商業性が見事に一体化したプログレッシブ・ハードの名盤。こういうアルバムこそ真に評価されて然るべき作品だ。高次元のテクニックとレベルに、自己満足に終わらないある種分かり易さも同居した作風で(「曲」を「images」と表現するあたり)、耳に入ってくる音だけで凄いことやってるな、と思うと同時に曲の良さも加わって鳥肌も立つ。どんなに優れた音楽理論をもっていても、それを表現できるセンスと技術がなければここまで聴き手を感動させることはできないだろう。完璧な理論とテクニックを持った天才が集い、それぞれが化学反応を起こして爆発させた結果生まれた世紀の名盤。

DREAM THEATER / AWAKE 【86点】

DREAM THEATER / A CHANGE OF SEASONS 【83点】

DREAM THEATER / FALLING INTO INFINITY 【85点】

DREAM THEATER / METROPOLIS Part.2 SCEANS FROM A MEMORY 【92点】

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デレク・シェリニアンを解雇し、 LIQUID TENSION EXPERIMENTのジョーダン・ルーデスを加入させて制作された5thアルバムはコンセプト作。骨格になる部分に静寂なパートが多くストーリーも難解で、ある種のインパクトを期待していた僕にとって1度目は肩すかしを食らった気がするが、何度も繰り返す内に彼らの妙技の洪水にああ絶句。登場人物の感情や、情景描写、さらに時空を超越した感覚が脳裏にこびり付いていく。各メンバーの織りなす完璧な演奏はもちろんすごく、新メンバーのジョーダン・ルーデスもこのバンドに新たな息吹を吹き込んでいる。彼らの底なしの表現力は「コンセプト」と呼ぶことの意義を改めて考えさせられる。DREAM THEATERにしかできないことを最大限の力で構築し、表現するというのは彼らならではのプレッシャーだろうが、その予想や期待を遙かに上回る作品を作ってしまうのは恐るべき事だ。(H)

DREAM THEATER / SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE【90点】

常に先進を行っていながら決してそこで立ち止まろうとはせず、さらにプログレッシブなパイオニアスピリットで音楽を追求し進化することに魂を注ぎ込み、孤高の存在として君臨しているDREAM THEATERの新作はなんと二枚組。ただでさえ彼らの音楽に触れるには相当の気合いと集中力が必要なのに、これはいったいどう聴いていったらいいのか、せっかち君の僕には聴く前から必要以上のエネルギーを出してしまった。DISC1はオープニングの#1「The Glass Prison」からしてこれまでなかったようなアグレッシブなリフとドラミング、そしてペトルーシの速弾きプレイが畳み込まれるように展開し、そのあまりに密度の濃いテクニカルでインテンシブなプレイに、すでに開いた口がふさがらない状態。この曲に代表されるように、どの曲も実験的な手法を駆使して楽曲と組合せ、プログレッシブHMの極限を追求するかのようなプレイに満ち満ちている。ただ、感情に訴えかけてくる場面はちょっと少なめ。DISC2は複数のストーリーから一つの大曲に仕上げている。こちらは前作に通じるコンセプト的な作風を踏襲していて、様々な情景描写と緩急をおりまぜ、まるで映画のような流れで展開していく。
実験的かつヘヴィなダイナミズムを体感できるDISC1と、前作で見せたようなドラマ性に溢れた40分の大曲が収められたDISC2を用意することで、これまで築き上げてきたリスナーの期待に応えるだけでなく、新しいアプローチに対しては多様な解釈をリスナーにゆだねることにもなり、DREAM THEATERというバンドの無限の可能性と表現力をまざまざとみせつけたアルバムになっている。(H)

思わず「はぁ〜」と嘆息しかでてこいない。『進化の先には新たな進化への壁が待ち構えている』と簡単には乗り越えられない壁を彼らは、文字通り『進化』して乗り越えていく。完成度が高いという言葉ではなく、すでに完成された芸術作品と言ってもいいのではないか、と思わせるくらいの出来栄え。特に驚いたのはJAMES LABRIEの進化ではないか。以前は少しきつそうに歌う箇所もあるように聞こえたのだが、本作では、そういった不安要素を吹き飛ばしてくれている。#1「The Glass Prison」では今までにないようなヘヴィな音を取り込んでいるが、それはまるで中世の物語を見ているように、気持ちよく流れすぎていく。無論、他の曲も同様である。また、Disc2では前作「METROPOLIS PT2」の系譜を受け継いだままではあるが、新たな展開を聞かせてくれる。40分という大作にも関わらず、1つの作品として統一させるあたりは、さすがDREAM THEATERと言える。聞き終わった後には、3時間の映画を観終わって充足した気持ちで満ち溢れている感覚にとても近い。それだけ聞き手を虜にするかれらの卓越した技術があるからなのだろう。彼らの目指す先の『進化』とは一体どのようなものなのか、目にしたい気持ちで一杯である。(K)

DREAM THEATER / TRAIN OF THOUGHT 【92点】

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「SIX DIGREES OF INNER TURBURANCE」以来1年9ヶ月ぶりの新作。2枚組だった前作、コンセプトアルバムだった前々作は共に場面描写を緻密に描いた崇高で芸術性の高い作品で、多くを理解するのに聞き手に相当の集中力が求められる作品だった。今回は曲数を7曲とコンパクトにしながらも、ほとんどの曲が10分前後というナンバーで相変わらずスケールの大きさを感じさせるが、今回はその質が近年の作品とは違う。全編に覆われた“ヘヴィメタル”な空間が問答無用の緊張感を生み出し、あっという間にアルバム一枚を聴き終えてしまう勢いに満ちている。もともと「プログレ・ハード」「プログレ・メタル」と形容されていたバンドであるが、これまで以上にメタルの要素に比重を置いてヘヴィメタルが生み出す根元的な情感を、一気に沸点まで喚起させるサウンドに一発KO。毎作各プレイヤーの超人的なテクニックと表現力に感嘆しつづけているが、特にジョン・ペトルーシの何もかも超越したかのような激速プレイにはただただ平伏すのみ。最近の流れからするともう少し情緒的な感動も欲しかった気もするけれど、それは贅沢な要望だろうか。(H)

DREAMTIDE / HERE COMES THE FLOOD 【81点】

空中分解したFAIR WARNINGのソングライターの一人であったヘルゲ・エンゲルケ率いるニューバンドのデビュー作。トミー・ハートは自らのバンドSOUL DOCTORを結成して全く違う音楽性でリスタートし、既に僕の興味からは対象外になってしまったので、こっちにはかなり期待していたのだが...。期待以上のものではなくて少々残念。個人的にはFWの最終アルバム「FOUR」で既に行き詰まりを感じてはいた。本作ではあちこちにFWの影がちらつき、それはそれでいいのだが、FWで味わった絶品の哀メロ・ワールドのレベルに達していないと感じ、消化不良が先立ってなかなか感情移入できない。ヴォーカルのオラフ・ゼンクバイルも音程に不安があり、力みもあって、ヘルゲの奏でる天に向かう飛翔のメロディに乗り切っていない。実験的な装飾も不自然と感じることがしばしば。ただ、どうしても最初はFWの幻影を求めてしまうので、粗ばかり気になったのかも。慣れれば気にならなくなるところも出てくるだろう。曲自体は水準以上だし、無論ヘルゲのギタープレイは文句無し。この、微妙な違和感さえ拭えればきっと次作は、との予感がする。(H)

DREAMTIDE / DREAMS FOR THE DARING 【93点】

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ヘルゲ・エンゲルケ率いるFAIR WARNINGの魂を継承するバンド、DREAMTIDEの2年ぶり2ndアルバム。前作はオラフ・ゼンクバイルのヴォーカルに無理があるだとか、装飾過多だとかいろいろ不満があったのだが、つまるところ楽曲の完成度が納得いかなかったが故に粗探し的に触れてしまったのである。しかし本作では、そういったものを微塵に吹き飛ばすエナジーに満ちた名作になっているから驚きだ。オープニングとして完璧な#1「Dream Real」、その勢いをさらに加速させる#2「Live And Let Live」だけでも、溢れんばかりのドラマティックなメロディの洪水と濃密な音作りにどっぷりと飲み込まれていく。そのあとはただひたすらダイナミックな楽曲群に身を委ねるだけだ。どの曲もツボを心得ており、特に序盤〜中盤の充実度は素晴らしい。オラフのヴォーカルは相変わらず高音域で少々苦しそうだし垢抜けない部分も残っているが、曲作りがよりオラフ向きなのか、マイナスポイントと感じることもさほどない。このアルバムで、個人的にはFAIR WARNINGやZENOと肩を並べる存在になった。(H)

DREAMTIDE / DREAM AND DELIVER 【81点】