Music Review : K
KALMAH / SWAMPLOAD 【91点】
ETERNAL TEARS OF SORROWの主要メンバーが3人在籍するフィンランド産メロディック・デスメタルのデビューアルバム。メロデスかくあるべしといわんばかりの王道路線をいく北欧トラッド風味の音楽性で、美醜のハッキリした緊張感バリバリの美旋律・ヴォーカルの咆哮も絶品。数多くのメロデスバンドが蠢くシーンの中でこれほど直球勝負をして心を打たれるということは、すなわち楽曲を創造し構築する能力が優れているということだろう。メロディの質・量とも半端なものではなく、リフにまでも泣きのメロディが散りばめられている。どの曲も素晴らしいが特に後半#6「Hades」〜#8「Using The Word」の流れが好き。メロデス好きなら必聴の1枚。(H)
KALMAH / THEY WILL RETURN 【85点】
最高品質の王道メロディック・デス・アルバムで狂喜乱舞させてくれたデビュー作から約1年、早くもセカンドアルバムをリリース。ドラマーとベーシストが交代している。前作同様、パターンはシンプルなれどスピード感のあるメロディアスなリフを軸にトラッド風の哀愁を満遍なく散らした作風に普遍なる美しさを実感。特にオーセンティックな疾走リフで始まり、畳み掛けるような旋律と哀愁を吐き散らすタイトルトラック#5「They Will Return」は本作ハイライト。また、#7「The Blind Leader」は前作の日本盤のボーナス曲で、「いかにもボーナス」な出来からは想像できないほどグレードアップしたアレンジが施され、特にギターソロの美しき激情ぶりは言語に絶する仕上がりだ。レベルの高い音楽をCD1枚通して持続して聴いていられるのは何ともシアワセ。(H)
先に輸入盤が発売され、少し遅れてこの日本盤が発売されることになったKARMAHの2nd。前作の「SWAMPLORD」の流れを汲んでいる本作は前作以上にKeyパートが増え、コッコ兄弟のツインギターの攻撃性は以前よりも数段パワーアップしていて、超絶プレイ(中でも#5「They Will Return」、#7「The Blind Leader」は圧巻)を聞かせてくれる。前作ではKeyの装飾が個人的には多少気になるところもあったが、パートは増えていても、一歩下がってGを引き立たせるようなアレンジが本作の鍵になり、KALMAHのアイデンティティを確立したと思う。2枚続けてこれだけのクオリティーで安定した楽曲を作り出す彼らの未来が楽しみでならない。(K)
KALMAH / SWAMPSONG 【85点】
フィンランド産メロディック・デスメタルバンド、KALMAHの通算3作目。ひたすら壮麗にドラマティックに展開するメロディックなKALMAH節が本作でもしっかりと刻印されており、まずは一安心といったところ。IN FLAMES、ARCH ENEMYといった先達たちがジャンルを超えた世界を形成していく中、KALMAHは古典的叙情美を忠実に守り続ける数少ないメロデスバンドのひとつであり、その中ではすでに中核的な存在になりつつある。構成力やメロディセンスは既に一級品であったが、その上でミディアムテンポの楽曲で新たな一面を見せた器用さなども加わってバンドとしての力はますますアップしている。古典的であるが故に新たなインパクトを与えるというのは望めないのかもしれないが、内蔵をもぎ取られるぐらいの衝撃を感じたデビューアルバムまでは一歩届かず、良くも悪くも「まとまっている」作品とも感じた。(H)
KALMAH / THE BLACK WALTZ 【89点】
フィンランドのメロディックデスメタルバンド・KALMAHの4thは、パシ・ヒルトゥラ(key)の脱退という穴をどうカバーするかが注目していたが、よりギター・オリエンテッドな方向に比重を置くことでマイナス面を全く感じさせない素晴らしい仕上がりになっており、またそのクオリティの高さにただ驚くばかりだ。鋭い切れ味、禍々しさ、北欧民謡風哀愁美がバランス良く、特に#3「Time Takes Us All」などは劇的なイントロ、3拍子で突き進むザクザクっとしたリフ、キャッチーともいえるメロディで悶絶必至の超名曲だ。 全体を通して単調にならず、それでいてきちんと自分の土俵のなかでメリハリのある曲展開を繰り広げる構成力は、金太郎飴的といいがちだったこれまでの作品に比べてレベルアップしている部分で、もうひとつ上のステージにのぼるんだという説得力を感じさせる(H)。
KAMELOT / KARMA 【84点】
KAMELOT / EPICA 【89点】
米産メロディック・パワーメタルバンドの6作目。出世作「KARMA」の延長線上にあるメロディアスで壮大な世界観が本作でも見事に描かれており、まさに期待通りといった仕上がり。「ファウスト」を取り上げたストーリー仕立ての作品で、曲間にSEを導入することで全体に同一のトーンが生まれている。そのSEも楽曲をさらにドラマティックにさせる味付けで、そのあたりのセンスも見事。#2「Center Of The Universe」を筆頭に、止め処なく流れる劇的なメロディック・チューン満載の貫禄作。(H)
KAMELOT / THE BLACK HALO 【83点】
とてもアメリカのバンドとは思えない欧州的なドラマティック&叙情メロディが身上のKAMELOT通算7作目。「KARMA」、「Epica」につづくコンセプトアルバム3部作の最終章。「KARMA」に比べ「Epica」の仕上がりが断然好きだったのでコンセプトアルバムの締めくくりとしてどんな作品になっているのか興味深かったが、全体の印象としてはプログレ度/ヘヴィ度増量、メロ度後退という感じ。プログレ色が強くなったとはいえ取っつきづらいところまではいっていないだろうし叙情美と構築美のレベルの高さはシーン随一の実力を感じさせる。メロディは歌い回しが過去の曲に似ている部分が目立ってさすがに飽きてきたのかもしれない。コンセプト作の最終章としては文句ないと思うけど、メロ物足りない=印象が薄いという感覚が残ってしまったのが残念。(H)
KANE ROBERTS / SAINT AND SINNERS 【87点】
キップ・ウィンガーやレブ・ビーチらを輩出したアリス・クーパー・バンドの卒業生、ケイン・ロバーツのソロ2作目。卒業生ということと、全曲でデスモンド・チャイルドが参加しているという点で、このアルバムの作風はアリス・クーパーの「TRASH」に酷似している。アリスの灰汁の強い声がないし、ギターの音も全面に押し出した作りなのでこちらの方が馴染みやすいかもしれない。しかし、そういった先入観を抜きにして、これはかなり優れたアメリカン・ハードロックだ。一聴してすぐにそれと分かるデスモンド節は全曲に満遍なく散りばめられていて、クサイほど劇的なメロディ展開でグイグイこちらの耳を惹きつけてくる。#1#4#7#9#10と要所要所でハイライトの曲をもってくるあたりも心憎いばかりだ。(H)
KANSAS / BEST 【83点】
アメリカン・プログレハードの雄、KANSASの84年発表のベストアルバム。繊細でドラマティックなサウンドで一時代を築きあげた初期の集大成である。さすがにベストだけあってどの曲も聴き応え充分だ。プログレといってもかなりポップで分かりやすいナンバーが並んでいる。全体的にかなり哀愁味を帯びていて、繊細な作り。サウンドもヴァイオリン等がかなり効果的に挿入されている。一般的に名曲と言われている#4や#10はやっぱり心打たれる叙情的な曲だ。(H)
KENNY LOGGINS / BACK TO AVALON 【90点】
KENNY LOGGINS / LEAP OF FAITH 【88点】
KENNY LOGGINS / LIVE 【83点】
KENNY LOGGINS / RETURN TO POO CORNER 【70点】
KENNY LOGGINS / UNIMAGINABLE LIFE 【75点】
KILLSWITCH ENGAGE / ALIVE OR JUST BREATHING 【84点】
米マサチューセッツ出身のニュースクールハードコア+メロディックメタル(というのがよくわからないけど)バンドの2nd。僕のようなリスナーには最近のIN FLAMESやSOILWORKといった北欧メロディック・デス的エッセンスを思い出させるメロディとサウンドで、メランコリックな叙情性と破壊的な爆発力が組合わさる衝動が心地よい、感覚的に好きなバンド。そのメタリックな硬質感と情感、スピード感のある曲での殺傷力は前述のバンドに匹敵するボリュームで、次々と繰り広げられるドラマに飲み込まれていく。特に#2「Self Revolution」などはIN FLAMESのリフ+ARCH ENEMYの暴虐性+SOILWORKのメロディックなコーラスといった感じのキラーチューン。(H)
KILLSWITCH ENGAGE / THE END OF HEARTACHE 【87点】
ヴォーカルが黒人のハワード・ジョーンズに交替した3rd。メロディと楽曲の質、メリハリのある激烈サウンド、各プレイヤーのパフォーマンスと総てにおいてランクアップした印象だ。ハードコア+メロデスといった基本姿勢を貫きつつ、より練り込まれた静と動のコントラストから生まれる激性に圧倒的な説得力を感じる。それは新Voのハワード・ジョーンズのド迫力な圧力にも余裕すら伺える凄まじい咆哮をみせつつも、クリーンパートでは繊細なタッチでメロディをなぞるという、人並み外れた表現力にもよるところだろう。#3「When Darkness Falls」、#4「Rose Of Sharyn」あたりはこの作品の中でも格別の味わいだ。個人的にエクストリーム系ミュージックではIN FLAMESのすぐ背後に迫っているポジションとして今後も目が離せないバンド。(H)
KING COBRA / KING COBRA 【82点】
KINGDOM COME / TWILIGHT CROUSE 【60点】
KING JAMES / 【79点】
KIP WINGER / THISCONVERSATIONSEEMSLIKEADREAM 【82点】
KIP WINGER / SONGS FROM THE OCEAN FLOOR 【75点】
ソロ2枚目。相変わらずキップの声もロッドのドラムも、アンディのギターも、そして全体に流れる浮遊する音を紡ぐような空気も僕好み。音楽性は前作を引き継いでいるが、よりパーソナルな印象を受ける。楽曲そのものは昔から平均点レベルなのでそんなに楽しめる内容ではないが、彼の音楽からは何か熱いものを感じずにはいられない。味わい深いが地味。そこがちょっともどかしい。せめて前作並の「地味だが味わい深い」レベルは欲しかった。(H)
KIP WINGER / FROM THE MOON TO THE SUN 【82点】
KISS / BEST 【77点】
KIX / HOT WIRE 【79点】
小久保淳平 / 一人前になりたくて【86点】
小久保淳平 / セカンドステージ【87点】
ストレートなメッセージと哀愁たっぷりのサウンドがダイレクトに聴き手の心を鷲掴みにする若きロック・アーティスト小久保淳平の2ndアルバムは「コンタクト」、「金のピストル」、「勝利の旗」のシングルを含む全14曲。ストリングス、テルミンなど新鮮なアレンジも取り入れ、前作以上にバラエティに富んだ楽曲を芯のしっかりした声で歌いきる様に堂々とした風格が感じられる。小久保淳平のギタリストとしての顔が伺いしれる素晴らしいオープニングのインスト「Instrumental」から勢いのある#2「エピソード」の流れですっかり小久保ワールドにトリップ。以降充実した楽曲が目白押しだが、やっぱり#7「コンタクト」が個人的にこのアルバムの一番のハイライト。フックのあるメロディはもちろん、「伝えたい」という想いがひしひしと伝わってくる歌詞が感動的。これだけ素晴らしいメッセージとメロディセンス、そして骨太で情感たっぷりに歌う声を持っていればもう怖いモノなしといった感じか。無限のポテンシャルを秘めたこのサウンド、今後も目が離せない。(H)