Music Review : N

NAGLFAR / DIABOLICAL 【82点】

スウェーデンのメロディック・デスラッシュバンドの2ndにして日本デビュー盤。アグレッションとブルタリティを根幹とし、その上に慟哭のメロディが乗るあたりは、DISSECTIONあたりも似ている印象をうけた。超攻撃的な殺人リフと絶叫ボイス、そして哀メロの調和が絶品の名曲#3「12th Rising」や、ピアノの旋律の美しさが堪らない#8「A Departure In Solitude」、それに続いて流れるタイトル曲#9「Diabolical」の流れはもう圧巻。プロダクションも重厚感があり、各パート怒濤のプレイの競演が楽しめる。中盤単一トーンで窒息しそう。(H)

NARO / PRESS PLAY 【72点】

NEGATIVE / WAR OF LOVE 【84点/85点】

専門誌で異例の厚待遇を受け日本デビューを果たしたフィンランド出身のホープ。フロントマンのヨンネ・アーロンの発する先天的なスター性はメディアをも動かしたということか。そんなわけで受け手側としては普通の新人バンドより大きな期待と厳しい耳で接すること必至なのだが、意外にも見た目や年齢のわりに声もサウンドも落ち着きがあり、地に足がついた印象。TO/DIE/FORやSENTENCEDといった同郷バンドの名前を想起させるメロディはたっぷり憂いとフックが込められている。ヨンネの声も顔に似合わず男っぽく「男の色気」がウリなフィンランド産ならでは。前述バンドに比べ毒気が薄い分大衆性はあるかもしれない。本国チャートを席巻したという#5「The Moment of Our Love」などは妖しげなフェロモンを匂わせる佳曲だ。若さゆえの不安定な部分もあるが、メロディメーカーとしての非凡なセンス+彼らならではの武器、則ち妖艶な空気感を決して殺さぬように邁進すればもっともっと多くのファンに支持されるバンドに成長するはず。数年後、ヤツらはデビュー当時からすごかった、なんて話ができれば嬉しいと思う。(H)

フィンランド出身の平均年齢20歳の新人バンドのデビュー作。出身地が出身地なだけにメランコリックなメロディを期待していたが、思いのほかにポップ。しかしヨンネ・アーロンの艶っぽく憂いのある声と歪んだギターの音色には叙情性が織り込まれている。ジャケットといい音楽性といい80年代のアメリカン・ハードロックを髣髴とさせる楽曲には懐かしさを感じさせる。久しぶりにわかりやすいロックに心も躍るというもの。ただ、アルバム全体に統一感に欠けるところがあり、どことなくだれる感じも受けなくはない。だがまだまだ原石の状態なので、今後は影響とオリジナリティーの融合が成長への大きな課題。ここに期待したいところ。#5「The Moment of Our Love」、#9「Goodbye」がなかでも輝いている(アコースティックバージョンも捨てがたい)。(K)

NEGATIVE / SWEET & DECEITFUL 【80点】

本国より遅れて日本デビューを果たしたNEGATIVEの2nd。日本では今年2枚目ということになる。デビューアルバムは“若さと危うさ”が同居した、発展途上ながらも期待を持てる内容だったのでやはり2作目は勝負作といっていい位置づけになるのだろうか。率直な感想をいえば、楽曲能力、演奏力、表現力とも単調でツメが甘いなぁという印象。単調なのはやはりフロントマンのヨンネ・アーロンのヴォーカルの表現力に尽きるのかな。このバンドが名実ともにスターダムにのし上がるには、この画一的なヴォーカルは大きな壁となるのでは。ただ、その危うさが逆に魅力を引き出したともいえる#6「About My Sorrow」はかなり良かった。とはいえ、それなりにいい曲もあるなと思いつつも、ボーナストラックまで含めると似たような曲が多すぎて何度聴いても途中でおなかいっぱい。今何曲目なのかどうでもよくなってくる感覚におそわれるのが残念。(H)

NELSON / AFTER THE RAIN 【87点】

リッキー・ネルソンの双子の息子、ネルソン兄弟のデビュー作。アメリカンロックかくあるべしの珠玉の名曲「After The Rain」をはじめ、「Love And Affection」「Only Time Will Tell」等、心の琴線に触れる麗しく瑞々しいエネルギーとメロディに包まれた心温まる名作。ハードなサウンドと双子ならではの力強いヴォーカルハーモニーのバランスが絶品で、売れ線ながらもポップスとは一線を画したサウンドがロック・ファンをも唸らせるだろう。(H)

NELSON / BECAUSE THEY CAN 【82点】

NELSON / IMAGINATOR 【80点】

NICKELBACK / SILVER SIDE UP 【85点】

NICKELBACK / ON THE ROAD 【81点】

NICKELBACK / ALL THE RIGHT REASONS 【87点】

「THE LONG ROAD」以来2年振りとなる、カナダ出身の超ゴリゴリ骨太ロックバンド・NICKELBACKの新作。スケールのデカさは相変わらずで、チャド・クルーガーのパワフルな声はいつ聞いても気持ちがよい。ハードなロックチューンは自分にはカラっとしすぎてそれほど好きになれないのはいつものことだけれど、NICKELBACK流パワーバラード#3「Photograph」、#5「Savin' Me」、#6「Far Away」、#9「If Everyone Cared」はいずれも胸を打つ素晴らしい曲。サビでのグッとくるメロディは甘く切ない。QUEENのカバー「We Will Rock You」も見事。初回限定版はDVD付き。過去の名曲、新作から#3「Photograph」のPV入り。(H)

NICKELBACK / DARK HORSE 【87点】

NIGHT RANGER / DAWN PATROL 【90点】

cover

アメリカン・ロックを代表するバンド、NIGHT RANGERの記念すべきデビュー作にして最高傑作。アメリカンロックが持つエネルギーとダイナミズムを具現化した最高レベルの音楽だ。「Don't Tell Me You Love Me」のイントロは、何度聴いても飽きないどころか中毒になってしまうほどの魔力がある。ジャック&ケリーのダブルヴォーカルというスタイルは面白いし、アーミングの名手ブラッド・ギルス&8フィンガー、ジェフ・ワトソンのツインギターもまさに「バトル」という緊張感が漂っていて、それぞれの個性が生きている。そのツインギターが炸裂する「Eddie's Comin' Out Tonight」のギターバトルは、映像で見たらほんとうに鳥肌モノ。(H)

NIGHT RANGER / MIDNIGHT MADNESS 【87点】

NIGHT RANGER / JAPAN TOUR(VIDEO) 【93点】

1983年12月13日新宿厚生年金会館大ホールでの収録ライブビデオ。2枚のアルバムからのチョイス。ステージ上を所狭しと駆け回り疲れしらずのパワーで観客を盛り上げるジャック・ブレイズ、ジャックと絶妙のハーモニーを聴かせるだけでなく、歌うドラマーとして大活躍のケリー・ケイギー、地蔵のように動かずにキーボードを弾き、時々地味〜に拳をあげるところに微妙に存在感を示すアラン・フィッツジェラルド、そして8フィンガーのジェフ・ワトソン、アーミングの名手・ブラッド・ギルスの超個性的なスーパー・ギタリストが繰り広げる華やかなギター・バトル。見ているだけで目頭が熱くなるほど興奮するライブビデオ。最高。(H)

NIGHT RANGER / BEST 【92点】

NIGHT RANGER / NEVERLAND 【82点】

NIGHT RANGER / SEVEN 【84点】

NIGHTWISH / OCEANBORN 【90点】

オペラ唱法の女性ソプラノ・ヴォーカリスト、ターヤ擁するNIGHTWISHは無数にいる北欧メロディック・バンドの中でもとりわけ個性を強烈に放つ存在。独特なターヤのヴォーカルが特に目立つが、作曲や演奏技術、音質はいずれもハイクオリティーで、正統的なHMサウンドをベースにした華麗で劇的なシンフォニック・ワールドが唯一無二のNIGHTWISHワールドを構築していく。縦横無尽なキーボードとヘヴィなギターリフ、スピーディーな展開が満載でメタル度は非常に高い。インスト#6「Moondance」から#7「The Riddler」の流れは圧巻。幻想的な#10「Walking In The Air」で本編を美しくしめたかと思うと、ボーナス曲#11「Nightquest」で再びノックアウトされる。(H)

NIGHTWISH / WISHMASTER 【84点】

伝統的HMにファンタジックなサウンドを織り交ぜて劇的に展開するスタイルはそのままで、しかし曲によってパターンを変え、前作よりバラエティに富んだ構成になっている。その影響か、直感的に訴える曲は減ったような気もするが、いずれの楽曲もターヤの歌唱を存分に生かした作りになっていて、NIGHTWISHらしさが失われているわけではない。#1「She Is My Sin」やファストチューン#4「Wanderlust」は文句無しに名曲。ただし前半に比べて徐々に尻窄みしていく後半の弱さが気になる。アルバム自体は好みからすると前作の方が好きかな。(H)

NIGHTWISH / OVER THE HILLS AND FAR AWAY 【84点】

NIGHTWISH / CENTURY CHILD 【88点】

本国フィンランドでは絶大なる人気を誇るNIGHTWISHの4th。荘厳で劇的なシンフォニックでドラマティックな世界は本作も健在で、より起伏に富んだ展開を持つ構築センスは貫禄の域に達している。ツォーマス(key)が「ジャーマンメタルのようなものはもうやりたくない」と言及した通り、本作には今までのようなクサメロの疾走サウンドが少なくなっている。個人的には、あの疾走感溢れる劇的なサウンドにターヤのソプラノヴォイスが乗るスタイルがNIGHTWISHの最大の魅力と感じていたし、何より同タイプの楽曲のセンスはシーン随一と感じていただけに、その意思表示は少々がっかり。もちろん、完全になくなってしまったわけではなく、ハイライトのひとつである名曲#3「Dead To The World」では新加入のベーシスト、マルコ・ヒエタラ(いい声してる)とターヤとのデュエットでより楽曲を力強く盛り上げている。典型的なNIGHTWISHチューン、#4「Ever Dream」の出来も秀逸。1曲1曲の作り込みがより緻密になり、#2「End Of All Hope」のような今まであったタイプのオペラティックな楽曲の魅力も増した。オペラの#9「The Phantom Of The Opera」、大作#10「Beauty Of The Beast」でのストーリー性に富んだ表現力も見事だ。聞き込む必要はあるが、素晴らしい作品だ。(H)

NIGHTWISH / ONCE 【91点】

フィンランドの英雄、NIGHTWISHの5th。これまで以上にフィーチュア度が増したオーケストラ・サウンドの中、メタル感たっぷりのヘヴィネス(ここがこのバンドの好きなところ)と華麗に舞うターヤのソプラノヴォイスの貫禄は相変わらず素晴らしい。前作よりこのバンドのひとつの柱となったマルコ・ヒエタラとの掛け合いもすっかり定着し、#2「Wish I Had An Angel」、#4「Planet Hell」のような“美女と野獣”的コントラストには思わずガッツポーズ。大曲「Creek Mary's Blood」や「Ghost Love Score」もまさに映画音楽のような壮大なスケール感だ。個人的には、ターヤにはもっと張りのあるオペラ風の力強い歌をもっと取り入れてほしかったのと、1stシングルとなった#3「Nemo」みたいな曲は他の同郷バンドが皆やってるような曲なんであえてやらなくてもなとも思った(いい曲だけど)。メジャーな音にはなっているけれど、初期のころのクサ味が、ちょっと懐かしく思える。(H)

NIGHTWISH / ANGEL FALL FIRST [Re-issue] 【78点】

NIGHTWISH / DARK PASSION PLAY 【86点】

NOCTURNAL RITES / SACRED TALISMAN 【82点】

疾走感溢れる展開、伸びやかなヴォーカル、クラシカルなギターソロと、クサいメロディがそこかしこに散りばめられた正統的なクサメロパワーメタル。全体で見たときに、ほとんどの曲がワンパターンで凡庸にしか聴こえないのはきっとこれは好みの差なのだろう。この手の曲は、好きな人にとってはどんなに似たような曲が続いても嬉しいものなのかも。「Eternity Hold」のカッコイイリフとコーラスは中毒になった。(H)

NOCTURNAL RITES / SHADOWLAND 【86点】

NORTHER / DREAMS OF ENDLESS WAR 【86点】

フィンランドのメロディック・デスメタルバンドのデビュー作。CHILDREN OF BODOM後追いバンドといわれても仕方ないほど音づくりや唱法が近似したスタイルで、COBをよりシンプルに、メロディアスにしたサウンドは非常に親しみやすい。ギターとキーボードが派手派手に弾きまくって大仰なドラマを生むスタイルは類型的ではあるが、この手の音楽における予定調和はむしろ大歓迎なわけで、それを上手く表現している彼らのメロディ・センスはかなり高いといえる。クラシカルなフレーズだけでなく、#2「Last Breath」#6「Victorious One」といったような、流麗に紡いでいくリードギターのメロディが官能的。80年代を代表する名曲、EUROPEの「The Final Countdown」、SKID ROWの「Youth Gone Wild」のカバーも面白い選曲で楽しめる。(H)

NO SWEAT / NO SWEAT 【70点】