Music Review : H
HALFORD / RESERRECTION 【82点】
HANSON / MIDDLE OF NOWHERE 【76点】
HANSON / THIS TIME AROUND 【89点】
声変わりして、魅惑のヴォイスにさらに磨きがかかって帰ってきた。もうそこにはお子様バンドの面影はなく、素直に音楽のみの善し悪しだけで評価できるアーティストとして、十分勝負できるほどグレードアップしている。ほどよく散りばめられた哀愁が、そのヴィヴラートのきいたハスキーでセクシーなヴォイスにマッチしていい感じ。前作に比べても明らかに楽曲の質がぐんと向上して、アルバム全体の完成度が数段アップ。「If Only」「Save Me」「Can't Stop」「Wish That I Was There」「Love Song」「A Song To Sing」等、練りに練られた名曲が多数アリ。(H)
HANSON / UNDERNEATH 【82点】
約4年ぶりとなる通算3作目のアルバム。肉体的にも精神的にも大人へのステップアップを踏み、音楽性においてもHANSONの理想型を作り出したと思っている前作「THIS TIME AROUND」からどのようにレベルアップしてきたかと期待していたが、正直なところ「まぁ、無難な作品。」ぐらいのところで、期待を超えるような内容ではなかったかなというのが感想。#3「Penny & Me」、#4「Underneath」あたりは前作の名曲と双肩のレベルだが、全体を通して前作のほうが哀しいところはより哀しく、遊ぶところはより遊ぶ、といった姿勢が明確だったような気がする。ボーナス曲を含め、楽曲の多さも少々間延びした印象を与えてしまう。自分にとってはHANSONは一流のアーティストに脱皮したミュージシャン。もうひとつ上のステップでの感動を求む。(H)
HANSON / THE WALK 【85点】
10年前、お子様バンドとして一躍人気を得てグラミー賞にもノミネートされたHANSONもすっかり大人になりました。僕が普段聞くような音楽とはちょっと距離のあるジャンルなのですが、なぜか彼らの音楽はずっと追いかけていてます。メジャーレーベルとの関係を絶って自らのインデペンデント・レーベルを立ち上げ、ミュージシャンとしてのスタンスを貪欲に追いかける姿勢が、音楽に如実に現れているところに彼らのすごさを感じます。今回も心にしみわたる優れた楽曲満載です。ジャンルに関係なく、エモーショナルな表現っていいですね。
HARDLINE / DOUBLE ECRIPS 【84点】
BAD ENGLISHを脱退したニール・ショーンが、ジョニー・ジョエリ(Vo)、ディーン・カストロノヴォ(Dr)らと結成したバンド。分厚いギターサウンドが印象的なハードロックで、メロディアスな楽曲をジョニーのエネルギッシュなヴォーカルが爽快に歌い上げていく。「Love Leads The Way」、「Hot Cherry」、「Can't Find My Way」、「Everything」等々、広大な大地を想起させる佳曲が詰まっている。(H)
HAREM SCAREM / HAREM SCAREM 【91点】
カナダ出身のメロディアス・ハードロックバンドのデビューアルバム。美しくポップなメロディと麗しいヴォーカルハーモニーに彩られた甘美な楽曲が満載で、研ぎ澄まされたポップセンスがたくさんの結晶となって降り注いでくる感じが非常に心地よい。ミディアムテンポの似たような曲ばかりだがいずれの曲にもフィーチュアされたキャッチーでストレートな旋律は極上のメロディックアルバムを作り出している。ハリー・ヘスが17歳のときに書いたという#4「Honestly」は珠玉の名バラード。デビューアルバムにして恐るべき統一感のあるアルバムだ。(H)
HAREM SCAREM / MOOD SWINGS 【92点】
前作に比べよりハードなエッジを強調したスケールの大きなアルバム。外部ライターの起用はなく、自らのソングライティングの力を様々な方法論で見せつけた意欲作だ。それぞれの楽曲に前作にはなかった豊富なアレンジとバラエティが生み出され、彼らの底知れぬコンポーズセンスを思い知らされる。緩急が美しい#4「Change Comes Around」をはじめ、1stにも通じるキャッチーなメロディの#1「Saviors Never Cry」、#3「Stranger Than Love」、グルーブ感のある#2「No Justice」、情感たっぷりの美しいバラード#9「If There Was Time」、美旋律インストの#7「Mandy」、重厚な#8「Empty Promises」、#5「Jealousy」など様々な顔を持った曲が並ぶが、どれもHAREM SCAREMならではのエモーショナルなメロディとハードロック然とした屈強なパワーを持っており散漫さは全くない。彼らのクリエイティビティが開花した名盤。(H)
HAREM SCAREM / VOICE OF REASON 【80点】
ダークな作風がファンの間で物議を醸した3rd。爽やかでポップなサウンドがこのバンドの肝と捉えているならば、それは必然なる結果であろう。このアルバムの特徴を決定づける重く暗い雰囲気の#1「Voice Of Reason」が大して良い曲でないので興醒めしてしまう部分も確かにある。実験的かつミドル〜スローテンポの楽曲の連続に、そのまま拒否反応を示したままだと取っつきにくいまま終わってしまいそうだが、#2「Blue」、#3「Warming A Frozen Rose」、#6「Breathing Sand」、#7「Candle」などは彼らのメロディセンスを十分に活かした曲。「ポップ」という幻影を無意識の中に求めてしまっているがゆえに、過小評価されてしまうアルバムなのかもしれない。(H)
HAREM SCAREM / BELIEVE 【87点】
「開き直り」とはこのことか。ポップでハードなHAREM SCAREMサウンドが復活し、根幹に持っていた力を素直に出したとの印象を受ける。#1「Believe」、#2「Die Off Hard」の2曲でガツンとパンチ力のあるダイナミズムを発散。ダレン・スミスがヴォーカルの#4「Staying Away」はかつてなかったドライブ感を持ったスピードナンバーだ。#8「Rain」はハリー・ヘスの伸びやかな歌唱が絶品な、個人的にも今までの中で一番好きなバラード。ただ、アルバム全体として、1stと2ndの中間を彷徨うような音は素直すぎるというか、2ndで築き上げた彼ら独自の個性とはちょっと違う。実験的な試みをした3rdから帰ってきたのならば、もっと違う方向に行くべきではなかったか、とも思う。ちなみに、この後ケヴィン・エルソンがリミックスしたスペシャル・エディションが登場。こちらの方が良い。(H)
HAREM SCAREM / BIG BANG THEORY 【85点】
HAREM SCAREM / WEIGHT OF THE WORLD 【89点/91点】
「RUBBER」と名義を変えたポップでモダンなロックは楽曲のレベルも高かったし、そこそこは売れるだろうとは思っていた。それが結果的にセールスには結びつかず、その戦略は失敗に終わったわけだが、こうしてHAREM SCAREMとして音楽性とともに戻ってきたことは現状の決断としてはベストだろう。RUBBERという名義はファンの多い日本人にも疑問符をつかせ、質が高かった割には結局囲い込みできず、だからこそHAREM SCAREMという名義の持つ意味の大きさを再認識してくれたのかもしれない。もちろん、名前を元に戻しただけで音楽性がRUBBERのままだったら物議を醸すだろうが、これほど高品質な「HAREM SCAREMサウンド」を引っ提げて帰ってきてくれたら、全て帳消しにしてしまいたくなる。名盤「MOOD SWINGS」の匂いを発しながら、実験的な「VOICE OF REASON」やRUBBERでの新しいエッセンスも織り交ぜた、彼らの歩んできた足跡を再構築した集大成的内容。かつて「BELIEVE」は、アルバムの質は高かったものの、その前作「VOICE OF REASON」で試みた実験的なアプローチを生かさなかった点で(加えてRUBBERも)、「その場しのぎ」的な印象も受けたが、本作のような楽曲こそがこのバンドの方法論ではないかと感じた。「MOOD SWINGS」には及ばないが、方向性にはもう迷わないでほしい。会心の出来に拍手!(H)
「RUBBER」から名義を戻しての復帰作。#1「Weight Of The World」のでだしを聞いたときは「まさか」という気持ちが強まったが、中盤から彼らの真骨頂である優雅で甘美なメロディーが溢れ出した。#5「This Ain't Over」も今までのバラードよりも優しく輝くメロディーに心を打たれた。過去の名盤とも言える「MOOD SWINGS」を境に変わり始めたHAREM SCAREMの音は、ここにきて再び、本来の姿を取り戻したと言える。あるべき姿を取り戻したHAREM SCAREMが、今後、歩むべき道を踏み外さないで欲しい。(K)
HAREM SCAREM / THE EARLY YEARS 【85点】
HAREM SCAREMがデビューする前に録音された未発表音源を集めたレアなアルバム。後に名曲となった原曲なども惜しみなく収録されており、そういった発見を楽しむとともに、ハリーとピートの才能がいかに優れていたかを物語っている一枚。#3「Say Good bye」、#15「Lost In Yesterday」はそれぞれ「Table Turning」、「Die Off Hard」に生まれ変わっている曲、#1「Whatever I Want」、#14「Out Of Love」はFIOREに提供した曲、#9「Stying Away」は4thでダレン・スミスがヴォーカルをとっていた曲でここではハリーが歌っており、既出曲でもハリーが歌っているだけで十分魅力的な収録だ。そのほか純粋な未発表曲の中にも十分フルアルバムにいれても通用するような佳曲がズラリと揃っており、1stアルバム並に楽しめる贅沢な内容といえる。(H)
HAREM SCAREM / HIGHER 【92点】
完全復帰作「WEIGHT OF THE WORLD」から1年半ぶりの通算9作目。ハードでポップなHAREM SCAREM節が全開で、いずれの楽曲にもフックに富んだ美しいメロディがフィーチュアされており、「ハードロック」に重点をおいた作風は1stや2ndの頃のイメージに近い印象だ。楽曲そのものには特に新鮮味もなくやや小粒な印象を受けるものの、ストレートに伝わるメロディラインに素直に心が揺れる極上品であるし、シンプルながら彼らならではのアレンジセンスも十分に生かされている。ピート・レスペランスのタメの利いたギターワークも絶品だ。チャレンジ精神旺盛なバンドにしてはやや物足りない部分もあるのかもしれないが、背伸びせず、自然体な姿勢から溢れ出るHAREM SCAREMの魅力が満載の好盤ではないだろうか。粒ぞろいの楽曲が揃ったアルバム全体の空気感はかなり気に入った。ピートの泣きのギターとハリーの絶唱が涙を誘うボーナス曲#11「Wishing」は言語に絶する美しさだ。(H)
HAREM SCAREM / OVERLOAD 【81点】
ちょっと時流に乗ってみちゃいました的なアプローチは、このバンドにはもう当たり前のようになってしまっているので特に驚きはしないけれど、本作でのモダンロックというかエモ寄りの路線はそのテンションに乗り切るには今一歩という印象。前々作、前作とどんどん自分が期待するHAREM SCAREM像に近づいてきていたので、あ、またちょっと遠くにいっちゃったなっていう感覚に支配されたまま聴き終えてしまった。路線そのものもそうなのだが、もうちょっとツメてくれればもっと良かっただろうなと思うような感じ。HAREM SCAREMらしくないとは決して思わないが、彼らならもっとすごいモダンロックを作れるんじゃ?(H)
HAREM SCAREM / HUMAN NATURE 【84点】
カナディアン・ハードロックバンドHAREM SCAREMの11作目。前作で少しズレかかった方向が軌道修正され(そういうのの繰り返しだけど)、本来の自然な姿を映しだした作風。1曲目の「Human Nature」から大らかなHR曲でつかんでくれる。叙情的なバラード#「Hanging On」や初期を彷彿させる#6「Don't Throw It Away」あたりが気に入った。安定感のあるアルバムでよい気分で聴き終えることができるが、どうしてもマンネリ感は拭えないか。(H)
HAREM SCAREM / HOPE 【83点】
HARLAN CAGE / HARLAN CAGE 【82点】
HARLAN CAGE / FORBIDDEN COLORS 【87点】
デビューアルバムに比べ全体的な濃度と質が格段にあがっている。サウンドの幅が広がり、ウェット感に彩りを添えているから、単に楽曲の善し悪しだけではなく豊潤な香りが増大して空間を広げていく。相変わらずメロディラインに一定のクセもあって気になるところもあるけれど、さしてマイナス要因にはならない。ポップな軽快さの中にほんのり感じる微妙な哀しさに、泣きメロファンはノックアウトされるだろう。(H)
HARLAN CAGE / TEMPLES OF TEARS 【85点】
プロジェクトながらコンスタントなリリースが続くHARLAN CAGEの4thアルバム。前作は楽曲はもちろん歌メロから発する泣きに感動したものだったが、今回はその部分の泣かせ度が後退して、以前から好きになれずにいる、「音域が狭くメロディに乗り切れないオヤジ声」が少々くどくてうんざり...だった。が、しかし。じっくり聴いて染み込んでくるのは、私的ツボ突きまくりのギターの美旋律。#4「One New York morning」や#9「As you fly」を筆頭に、いずれの曲にもフィーチュアされた天にも昇るがごとくの滑らかなフレーズが体内温度を上昇させ、鼓動を速くする。これはまさにDAREで味わった感動と等価。全く趣味じゃない曲にも自分好みのオカズ・プレイなんかが織り込まれているとなんだか複雑。曲と歌メロには少々失望したが、結果的には過去のどのアルバムよりもリピートしてしまう、微妙な1枚。(H)
HARRY HESS / JUST ANOTHER DAY 【80点】
HAUNTED / MADE ME DO IT 【80点】
謳い文句が「80年代スラッシュメタル+北欧叙情デス」とあったが、伝統的スラッシュメタルの知識もなく、メロデスばかり聞いている僕の耳には「叙情味の薄いメロデス」という印象だった。鋭角リフの連発は非常にカッコイイと思うけど、メロはどうしても物足りない。スラッシュのリズムを楽しめる人にはいいのだろうね。僕はやっぱりデスやスラッシュではなく、メロデスなんだなぁと実感した一枚。でもライブはホントに凄かった。(H)
HEART / HEART 【74点】
HEART / BRIGADE 【82点】
HEART / BAD ANIMALS 【80点】
HEART / LIVE 【81点】
HEARTLAND / WIDE OPEN 【84点】
HEARTLAND / BRIDGES OF FOOLS 【85点】
HEARTLAND / MIRACLES BY DESIGN 【82点】
HEARTLAND / AS IT COMES 【76点】
HEAVENLY / VIRUS 【88点】
HEAVEN 'N' HELL / SLEEPING WITH ANGELS 【85点】
スペインのメジャー・レーベル、スパインファームからデビューしたフィンランド出身4人組バンド。古き良き時代のダイナミックでヘヴィなHR/HM+パンク風味のサウンドをベースに、フックに富んだメロディが満載の力強い楽曲がずらりと並ぶ本格派バンド。北欧出身でありながら北欧臭さはあまり感じられず、何よりもヴォーカルのトム・ヘンドリクソンの声が若き日のオジー・オズボーンといった感じでかなり個性が強く、自らも影響を受けているというブリティッシュHMの薫りが漂っている。ありそうでないバンドなのかもしれない。ボトムのしっかりした音はパワフルで音圧が実に気持ちよく、HMの醍醐味が満載。#3「Take My Hand」のメロディの中毒性はサバス並だ。好感度、期待度は抜群。ヒーローになれる可能性を秘めている(H)
HEAVENS GATE / LIVING IN HYSTELIA 【80点】
HEAVENS GATE / HELL FOR SALE 【73点】
THE HELLACOPTERS / HIGH VISIBILITY 【83点】
THE HELLACOPTERS / BY THE GRACE OF GOD 【84点】
HELLOIES / HELLOIES 【89点】
HELLOIES / A TIME AND A SPACE FOR EVERYTHING 【82点】
HELLOWEEN / KEEPER OF THE SEVEN KEY PART1 【83点】
HELLOWEEN / KEEPER OF THE SEVEN KEY PART2 【85点】
HELLOWEEN / CHAMEREON 【81点】
HELLOWEEN / PINK BABBLES GO APE 【78点】
HELLOWEEN / MASTER OF THE RINGS 【92点】
マイケル・キスクとインゴ・シュヴィヒテンバーグが去り、アンディ・デリスとウリ・カッシュが加入しての再出発作。正直言って個人的にはマイケルもアンディも好みのシンガーではないのだが、このアルバムを聴く限り、アンディはHELLOWEENというバンドに新しい血を注ぎ、ここ数年のモヤモヤをどこか遠くに吹き飛ばしてしまった功労者であることは確信できる。何か吹っ切れたかのようにメンバーのソングライティングにも強い芯が生まれアルバムを通して妥協が一切感じられない。スピード、メロディ、ドラマのHELLOWEENサウンドを構成する要素が三位一体となって生み出るサウンドは、原点に立ち返った結果生まれた結果であろうか。イントロの「Invitation」に続く#2「Soul Survivor」、#3「Where The Rain Grows」は圧巻のヘヴィ・メタル・チューンで、メンバー全員の熱い集中力が集約されている。つづく#4「Why?」はアンディがPC69時代に書いた曲だが、これもHELLOWEENの新しい魅力を引き出した佳曲といえる。そんな中でも彼ららしいセンスとユーモアに溢れた#6「Perfect Gentleman」、#7「The Game Is On」や、#8「The Secret Alibi」らでバラエティを生み、アンディのしっとりとした低音ヴォイスが堪能できるバラード#10「In The Middle Of Heartbeat」、そしてメタリックな疾走感とツインギターのソロの醍醐味が味わえる#11「Still We Go」と、充実した楽曲が続いてお腹もいっぱい。ウリ・カッシュの超人的なドラミングもこの音楽には追い風だ。多くのフォロワーを生み出した大御所が、再び圧倒的な存在感を示した傑作。(H)
HELLOWEEN / TIME OF THE OATH 【91点】
前作ですっかり威厳を取り戻した彼らが、腰を据えてどっかりと制作した感のある貫禄の充実作。前作の段階でかなりのインパクトを受けたのでそういう面ではあまり強烈な印象ではないが、ここに並んでいる楽曲の質は前作に勝るとも劣らない粒ぞろいの曲ばかり。#1「We Burn」から#4「The Power」まで途切れることのない緊張感でハイパワーなメタル・チューンで固め、その後アンディ色全開のバラード#5「Forever And One」で一気に落とす。その後すぐさま疾走する#6「Before The War」#9「Kings Will Be Kings」やお得意のコミカル・チューン#8「Anything My Mama Don't Like」、メロウなバラード#11「If I Knew」。荘厳な「The Time Of The Oath」と、全く隙のない構成で畳み掛ける流れは圧巻である。意欲が前面にでた会心の作品。(H)
HELLOWEEN / I CAN 【82点】
「BETTER THAN RAW」からの先行EP。イントロ〜Aメロ〜Bメロへの展開がバツグン。サビは乗り切れなくてイマイチだったけど…。(H)
HELLOWEEN / BETTER THAN RAW 【86点】
8thアルバム。大仰なインスト#1「Deliberately Limited Preliminary Prelude Period In Z」から続く#2「Push」は誰もが驚くアンディ・デリスのデスメタルばりのスクリームをフィーチュアした超攻撃的な曲で、バンドのエネルギーを一気に発散するかのような疾走感が体温を急上昇させる。メンバーのチャレンジ精神の姿勢が現れた結晶だ。#3「Falling Higher」、#4「Hey Load!」、#8「I Can」といったお得意のメロディックチューンも冴えを見せる。ラストを飾る#12「Midnight Sun」もダイナミズム満点のドラマティックなHMでエネルギーを放出したまま締めくくる圧巻の流れ。アンディ・デリス加入後の前2作で王者の貫禄をみせつけた彼らだが、その場に止まることなくさらに進化しようという姿勢が伺える。(H)
HELLOWEEN / THE DARK RIDE 【83点】
9th。ロイ・Z効果かどうかはよくわからないが、サウンドに重みと厚みが増して音自体は非常に良くなったと思う。メロディへの注ぎ込みが少々足りないような気もするが、いかにもHELLOWEENといった#2「All Over The Nations」、#3「Mr.Torture」、#7「Salvation」、#10「We Damn The Night」といった楽曲を聴くと安心する。ただし、それらの曲も自らの過去を焼き直した、というか、手詰まり感を感じなくもない。アンディ・デリス加入後の2作品に比べるとインパクトが薄いのが正直なところ。冒険心はあるし、前進しようとする姿勢は見られるが、やはり王道曲でノックアウトさせられるパワーに欠けた。モダンでダークな路線に踏み込んだことで、今後どう変わっていくのがちょっと心配でもある。(H)
HELLOWEEN / JUST A LITTLE SIGN 【80点】
新メンバーを迎えてのニューアルバム「RABBIT DON'T COME EASY」からの先行EP。そのアルバムのオープニングを飾るアンディ・デリス作の「Just a Little Sign」はHELLOWEENのオリジネイターとしての意地と実力をみせつけたHELLOWEEN流メロディック・メタルの王道を行く名曲で、若さ溢れるエネルギーとポジティブな高揚感に満ちている。前作のややダークなイメージを払拭するようなニューアルバムなのだろうか。期待は高まる。(H)
HELLOWEEN / RABBIT DON'T COME EASY 【85点】
通算10作目となるアルバム。HELLOWEENを脱退しMASTERPLANを始動させたローランド・グラポウ、ウリ・カッシュに代わり、元FREEDOM CALLのサシャ・ゲルストナー(g)、RUNNING WILD〜ACCEPT〜U.D.Oに在籍したステファン・シュワルツマン(dr)が加入(当初加入したマーク・クロスは病気のため脱退。このアルバムではMOTORHEADのミッキー・ディーがドラムを担当)。記念すべき10作目は新たなメンバーによる船出となった。グラポウ&ウリという二人のコンポーザーがいなくなった穴に新加入のサシャが新たな息吹を吹き込んでおり、その貢献度は非常に高い。特にメロディック・メタルのお手本のような#2「Open Your Life」のフック満載メロディには一瞬にして総毛立った。オープニングを飾る「Just A Little Sign」とともにHELLOWEENの持ち味を発揮したこの2曲のインパクトはかなり強く、全体的にもスピード・パワー・メロディ・コミカルな4要素をまんべんなく散らした、かくあるべきHELLOWEENサウンドへ回帰している部分には素直に喜べる。ただ、この2曲があまりに刺激的だったのか、それ以降の曲で同じレベルに達する高揚感が得られなかったのがやや歯痒く感じられた。まぁ前作がモダン路線だったので聴く前の不安はすっかり消えたし十分楽しめた。次はカンペキにノックアウトさせられることを期待したい。(H)
HELLOWEEN / GAMBLING WITH THE DEVIL 【92点】
HIBRIA / DEFYING THE RULES 【90点】
ブラジルから突如現れた新星HIBRIAのデビューアルバム。思いっきり垢抜けないジャケットとメンバーの佇まいはともかく、このバンドが生み出す音楽は正真正銘のヘヴィ・メタルだと断言できるだろう。そこにはLOST HORIZON?インペリテリ?RIOT?IRON MAIDEN?と歴戦のヘヴィメタル・ウォーリアーを想像させるエッセンスに満ちあふれている。元LOST HOLIZONのダニエル・ハイメン並の強力ヴォーカリストを擁し、メンバーは全員テクニカル。音質は若干薄いもののそれ故に生身の熱さのようなエネルギーを強く感じる。疾走!疾走!疾走!の洪水に飲み込まれ、聴き終えるころにはメタルの血が循環しまくって疲労困憊(?)。デビュー作の衝撃としてはかなりのもの。次作も超期待!(H)
HIM / AND LOVE SAID NO 【83点】
METAL HAMMER GOLDEN GOD AWARDSの「GOLDEN GOD FOR BEST ROCK STAR」部門で見事チャンピオンをゲットしたヴィレ・ヴァロ率いるHIMのベスト盤。「Greatest Lovesongs Vol. 666」〜「Love Metal」の7枚のアルバムから選曲+新曲「And Love Said No」で全16曲。新曲はラブメタルなる冠にふさわしいロマンティック&メランコリックな佳曲。ラブソングあり、フィニッシュ系哀愁ノリノリ系ありと、HIMを手軽に知ることができる便利な一枚。やはり「Heartache Every Moment」は官能的な名曲。(H)
HORIZON / THE SKY'S THE LIMIT 【75点】
叙情的なヴォーカルと速弾きのクラシカルなギターをフィーチュアしたのフランス産メロディアスHR/HMバンドのデビュー作。売り文句だけでも多くのメロディアス系HR/HMリスナーに受け入れられそうなバンドであるが、実際にこのバンドの中心人物でギターとヴォーカルを兼任するパトリック・ヘマーは、ギターもヴォーカルもかなりの腕前、楽曲も様式美から叙情バラード、さらにはプログレ風味とバラエティに富んだ構成で、その実力と器用さをアルバムの中で充分に見せつけている。ただ、散漫な音楽性から節操がない印象が強く、数曲でお腹いっぱい状態、加えてプロダクションもそれほど良くないなどのマイナスポイントにも耳がいくようになってしまって、聴いたあとの後味があまりよろしくない。器用なのはわかるが、もう少し様式美路線(#2「Freedom」とか)に焦点を絞ったほうが、よりHORIZONというバンドの魅力が出てくると思うのだが。(H)
HOUSE OF LORDS / SAHARA 【83点】
HOUSE OF LORDS / DEMONS TOWN 【88点】
KISSのジーン・シモンズのレーベルからの第一弾としてデビューしたHOUSE OF LORDSの3rdアルバム。グレッグ・ジェフリア(Key)がリーダーだけあってKey主体ではあるが、80年代王道路線を行く重厚なアメリカンロック。ジェイムス・クリスチャン(Vo)のヴォーカルも当然ながら素晴らしく、トミー・アルドリッジ(Dr)のタイトなドラミングもアルバム全体を引き締めている。楽曲の充実度も過去最高で、#3「What's Forever For」、#4「Talkin About Love」、#5「Spirits Of Love」あたりが出色の出来。面子に恥じない好盤。(H)
HOUSE OF LORDS / THE POWER AND THE MYTH 【72点】
当時スーパープロジェクトとしてデビューし、ドラマティックなアメリカンHRサウンドでマニアの間でも人気が高かったHOUSE OF LORDSが再結成してリリースされた12年ぶりの4thアルバム。レコーディング途中で中心メンバーであるグレッグ・ジェフリア(Key)が脱退というショッキングな事件が起こったが、元DREAM THEATERのデレク・シェリニアンが穴を埋める形で完成させた。オリエンタルなムードと叙情的な展開の#1「Today」を聴いた時点では過去の感動再来といった感じでワクワクしたのだが、それ以降はつまらない楽曲のオンパレードで一気に興醒め。おおらかに伸び伸びと歌うのが魅力だったジェームズ・クリスチャンのヴォーカルも、このダークなサウンドの中では魅力半減。12年前と同じもの(「What's Forever For」とか「Spirit Of Love」とか「Inside You」とか)を望むのはこっちの勝手かもしれないけど、途中で誰のバンド聴いてるのかわからなくなってきた(特に表題曲のインストの#5)。辛うじて#10「Child Of Rage」では彼の歌の真髄を感じることはできたけれども、全体を通してあまりにも自分のHOUSE OF LORDS像とかけ離れていたことがショックでショックで…。(H)
HOUSE OF LORDS / WORLDS UPSIDE DOWN 【82点】
復活作「THE POWER AND THE MYTH」では見事に期待を裏切られ、もう決別かと思っていた矢先、意外にも短期間で新作をリリースしたばかりか、内容的にも満足のいくサウンドをひっさげてきたHOUSE OF LORDSの5作目。ようやく歯車がかみ合ってきたのか?と思わせる。オープニングから扇情力のあるメロディでぐいぐいとひっぱり、その後も魅力的な佳曲が要所要所に点在しており、すんなりと最後まで聴き終えることができた。まだぐいっと胸を鷲掴みにされるようなところまできてないが、いいバンドであることが再認識できて今後に期待が持てそうだ。(H)
HUGO / HUGO 【76点】
スティーブ・ペリーを彷彿させるハイトーンの声が魅力のヴォーカリストの1stソロで、TENのゲイリー・ヒューズと共同プロデュース、さらにTENのメンバーが全面サポートしている。ヒューゴの声もバックの演奏も文句のつけどころはないが、楽曲自体は雰囲気モノといった印象。(H)
HUMAN CLAY / HUMAN CLAY 【83点】
HUMANIMAL / HUMANIMAL 【85点/88点】
TALISMANの最後のアルバム「TRUTH」で正式メンバーとなり、GRATE KING RATでの活動でも知られるギタリスト、ポントゥス・ノルグレンがジェフ・スコット・ソート(Vo)とマルセル・ヤコブ(b)を呼び戻し、再生TALISMANともいっても差し支えない面子と音楽性をひっさげてリリースしたHUMANIMALの1st。自身のバンド以外でも積極的に他のバンドやセッションでヴォーカルをとり、どんな曲でも柔軟に歌いこなせるジェフと、多様な音楽の志向を持つメタル界随一のベース・プレイヤー、マルセルの二人が作り出す音は、TALISMAN時代にはアルバムを重ねるにつれて良くも悪くも「北欧メタルという類型からの脱皮」ともいえるベクトルで外に向いて拡散していったが、本作ではそういった側面を封印し、メロディックでオーセンティックな様式美に的を絞った形。必然的に90年初頭への郷愁を誘う内容だ。メロディの構成やアレンジの妙で明らかな2人のケミストリーが生み出す楽曲のレベルは過去の名作に匹敵する。そこに思いがけず目立っているポントゥスのギタープレイはこのバンドに新たな魅力を注入している。「TRUTH」ではバラエティに富んだ楽曲を余裕でこなし、GRATE KING RATではFREE直結の激シブプレイを披露していたが(これがまた素晴らしく良かった)、ここでは煌びやかなネオクラ様式プレイを、単にフレーズを並べるだけのつまらないソロにならないようなツボと緩急を心得たニクい演出を連発。ジェフ+マルセルという強固な構図を、いい意味で崩す力を持ったプレイヤーだ。是非この面子で、この路線で続けて欲しい!(H)
一聴してボクは、旧来の友人と久しぶりに顔を合わせたような懐かしさに包まれた。以前からRISING FORCE〜TALISMAN〜HUMAN CLAYと経験を積んできているため、その実力は折り紙つき。ジェフは以前よりも艶のある声で歌い上げ、マルセルも類まれなる技術の高さをこれでもかと言わんばかりに披露している。また、相変わらずの変則的なプレイを随所に散りばめている。曲自体はハードでありながら、ジェフの声で哀愁の漂うものになっているので、とても聴きやすい仕上がり。またどの曲もかなり洗練されていて聴き応えは充分である。ただ、バラードが収録されていないのが残念だが…。正直、RISING FORCEと似た色合いやTALISMANの延長といった感は拭えないが、#3「License 2 Kill」は今までの集大成とも言えるような完成度の高さ。これだけの仕上がりの作品を悪く言えようか。(K)
HUSH / II 【73点】
ノルウェー産ハードポップバンドの2nd。イモ臭さの残る垢抜けない感じの王道産業ロック、いや、そこまでレベル高くないので王道産業ロック"路線"とでもいっておこう。エッジの鋭い流麗なギターは耳を奪われるものの、工夫のみられないイモ臭い歌メロがどうしてもなじめない。(H)