Music Review : C
THE CALLING / CAMINO PALMERO 【89点】
LA出身の5人組ロックバンドのデビューアルバム。CDを再生して最初に耳に入ってくるギターの音色だけで、奥ゆかしき彼らの音楽の可能性を感じずにはいられない期待感に包まれる。新人とは思えない腰をどっかりと据えた安定感と、男を感じる哀愁に満ちたサウンドは僕個人がロックに求める理想の世界だ。音楽性やヴォーカルの声質からしてLIFEHOUSEと比較されるのは避けられないが、彼ら同様、アメリカ人が発散する哀愁は欧州のそれとまたひと味違って非常に魅力的。そのヴォーカルは荒削りな部分もあるがそれが逆に感情的な部分を高めていて好感がもてるし、なによりその骨太なパワーに加えてブルージーな歌唱も見事で堂に入っている。楽曲も彼らの本質を表現している#1「Unstoppable」、パワフルなサビが非常にキャッチーな#2「Nothing's Changed」、シングルカットされたポップな名曲#3「Wherever you will go」、静かながらも印象的なリフレインで聴かせる#4「Could It Be Any Harder」、ハードに力強く歌い上げる#6「Adrienne」、そして貫禄漂う豊潤のパワー・バラード#11「Stigmatized」などなど、曲ごとに表情を変えながらも、哀愁をたっぷり吹き込んだ楽曲はまさに圧巻である。「本物」を感じた1枚。(H)
THE CALLING / TWO 【90点】
アレックス・バンド率いるアメリカンロックバンドの2ndアルバム。内部でのゴタゴタを乗り越え、20代を迎えたメンバーの器量が試される注目のアルバムだ。デビューアルバムの時点で既に完成された器の大きいロックサウンドを披露していたが、本作では全てにおいてさらなる研鑽が感じられ、すでに大物メジャーバンドとしての佇まい、雰囲気が漂った貫禄抜群の作品に仕上がっている。#1「One By One」、#2「Our Live」、#6「Anything」といった王道ロック・ソングのヒット性に富んだ力強い楽曲は特に惹かれるものがあるし、また#7「If Only」や#11「You Hope」といったバラードナンバーにこめられた情感、深遠さにはより成長の跡が感じられる。それにしても楽曲の魅力を何倍にも増幅させるアレックス・バンドのヴォーカルは素晴らしい。特に低音域でグッと聴かせる厚みと深みは他では味わえない感動がある。今やこの手のバンドは山ほど存在するが、十把一絡げのバンドとはひと味もふた味も違うレベルの高さを見せつけてくれている。まさしく現代ロックシーンの旗手として、その存在感をもっともっと膨らませて欲しいバンドだ。(H)
CASANOVA / ONE NIGHT STAND 【82点】
CATS / ORIGINAL SOUNDTRACK 【80点】
ニューヨークのブロードウェイで観たミュージカルに感動し、帰国後CD屋に直行して買ったのだが、このCDはロンドン公演のやつだった(汗)。もちろん内容は素晴らしいし、「Memory」は名曲。(H)
CAUGHT IN THE ACT / HEAT OF EMOTION 【84点】
CAUGHT IN THE ACT / RERAPS OF REASON 【80点】
CENTAUR / POWER WORLD 【52点】
ドイツ産メタルバンド。歌がヘタで垢抜けない。聴いていてつらかった。(H)
CHANGE OF HEART / CHANGE OF HEART 【87点】
オリジナリティが希薄でプロダクションも悪いバンドは得てしてほかのバンドと比較されがちだが、このCHANGE OF HEARTは初期のBON JOVIやHEARTLANDの1st、あるいはJOURNEYを彷彿とさせるキーボード・オリエンテッドのハードポップを終始貫いている。しかし、決して借り物のフレーズを思い出させないところが彼らのセンスの高さを示していて、煌びやかなイントロで始まる楽曲群は一流になれる予感すら漂ってくる。サウンドのチープさやコーラスハーモニーの貧弱さが非常に悔やまれる。(H)
CHARON / THE DYING DAYLIGHT 【92点】
フィンランド産ゴシックメタルバンドCHARONの4作目。Finnishメランコリック系直系の音でミドルテンポ主体のメロディックロックに、お約束の男のお色気Voをフィーチュアしたサウンド。SENTENCED、HIM、ENTWINE、TO/DIE/FOR、FOR MY PAIN等々この系統のバンドは枚挙にいとまがないが、その中でもフィーリング的に一番好きな音だ。ドライブのかかりの強いリフにひっぱられ、フック満載のコーラスで撃沈。強烈な泣きがあるわけではないが、タメの効いたヴォーカルや女性ヴォーカルの使い方などものすごく練られていて、引っかかりどころが多く聴いていて飽きがこない。「If」のギターソロなどは非常にシンプルながらも響きまくり。デジパックにしか収録されていない「Re-collected」は、個人的にはTO/DIE/FORの「Hollow Heart」以来の傑作。SENTENCEDをはじめとする同ジャンルが日本でもかなり人気を博していながら、なぜかこのバンドは日本でのリリースがない。まったくもって不思議である。(H)
CHARON / SONG FOR THE SINNER 【91点】
なぜ日本でリリースされないのか不思議でならないバンドの筆頭にあげたい、フィンランドのゴシックメタルバンドCHARONの5th(と思ったらどうやら2006年3月に日本盤がリリースらしい!)。前作でこのバンドの素晴らしさに心を奪われたが、本作ではさらにメジャー感が増して貫禄たっぷりの仕上がり。いきなり女性Voをフィーチュアしたイントロではじまるオープニング#1「Colder(1stシングル)」からしてバンドとしての新たなチャレンジ精神を感じることができ、J.P(Vo)の、特に低音の響きが男クサい唯一無二の色気ヴォイスが炸裂。その妖艶さは曲をおうごとにCHARONワールドに誘ってくれる。#2「Deep Water」、#7「Ride On Tears」といったスピード感ある曲は少な目だが確実によいアクセントになっており、基本的にミドルテンポの楽曲で構成していくのもバンドの実力と貫禄を表してるといえそう。極めつけは静かにはじまり起伏に富んだドラマティックなアレンジで展開していく#「House Of The Silent」。曲のラストはエモーショナルなギターソロで締めくくる。ゆっくり感動的にフェードアウトしていく余韻がたまらない。(H)
CHEAP TRICK / BEST 【70点】
CHESNEY HAWKES / THE ONE AND ONLY 【84点】
マイケル・J・フォックス主演映画「ドク・ハリウッド」主題歌の「The One And Only」が大ヒットしたチェズニーホークスのデビュー作。甘いマスクと甘い声で甘いメロディを歌うメロディックなポップス。#7「One World」や#14「A Crazy World Like This」等もバツグンにメロが良い曲。(H)
CHILDREN OF BODOM / SOMETHING WILD 【84点】
フィンランド出身のネオクラシック/メロディック・デスメタルバンドのデビューアルバム。アレキシ・ライホ(g/vo)とヤンネ・ウィルマン(key)の2枚看板による、クラシカルなフレーズを連発して盛り上げるタイプの楽曲がずらりと並ぶ。鋭角に切り刻む素早い展開にも決して破綻することないテクニックは圧巻だ。吐き散らすアレキシ・ライホのヴォーカルも堂に入っていて、若さ(18歳)がみなぎっている感じ。極寒の地からまた、ポテンシャルに溢れたクールなバンドが登場だ。(H)
CHILDREN OF BODOM / HATEBREEDER 【84点】
フィンランド産メロディック・デスメタルバンドの2nd。鍵盤とギターの凍るような冷たいドラマティックサウンドに、吐き散らすアレキシのヴォーカルは前作とかわらずとにかく強烈。アクの強さがずっと続いて逆に単調に感じるところもあり、ガツンガツンとくる1曲1曲のハデさのわりには聞き終わったあとの印象度が薄いのも正直なところ。ラストを飾る#9「Downfall」はそれらの域を超えた、劇的で荘厳なリフを携えた悶絶必至の名曲。(H)
CHILDREN OF BODOM / FOLLOW THE REAPER 【87点】
路線はあくまでチルボドスタイルを貫き、よりメタリックに、よりメロディアスにと着実に進歩を遂げている充実作。#1「Follow The reaper」に代表されるように、アレキシとヤンネのギターVSキーボードはさらに熱いバトルを繰り広げている。シングル#7「Hate Me!」は背筋が凍りそうなくらいの空気を切り裂く冷たい音が発散されていて、その中から溢れんばかりの叙情メロがたたみかけてくる。これぞまさしく彼らの真骨頂。前作に比べて随分と楽曲単位の印象度が強くなった。惜しむらくは今回もアーティスト側の意向で歌詞がほとんど掲載されてないこと。デスの歌詞覚えるとライブとか最高なんだけどなぁ。(H)
CHILDREN OF BODOM / HATE CREW DEATHROLL 【93点】
フィンランドのスターバンド、CHILDREN OF BODOMの4作目。IN FLAMESやARCH ENEMYらと同様に独自の道で進化することに心血を注いだことが如実に伺える気合いの入ったアルバムだ。メロディを取り入れたヴォーカルをふんだんに取り入れているが決して軟化の道をたどることはなく、彼らならではのヘヴィでアグレッシブな硬質サウンドと、アレキシ・ライホとヤンネ・ウィルマンの激しく鬩ぎ合うバトルは無論本作でも健在。バンド本来の魅力と新しい試みを生真面目に研鑽した結果生まれた相乗効果が、手詰まり気味だった楽曲のアイデアをひとつ上のレベルに押し上げている。個人的にはこれまでのCOBは単調にわめきちらすアレキシのヴォーカルが唯一不満だっただけに、この進化は大歓迎。#1「Needle 24/7」、#9「Hate Crew Deathroll」などはブルータル・ヘヴィメタル・チューンの最高峰といいたい。ホントに血管がブチ切れそう。(H)
CHILDREN OF BODOM / TRASHED, LOST & STRUNG OUT 【87点】
「HATE CREW DEATHROLL」以来1年半ぶりとなるEP音源。タイトル曲の「Trashed, Lost & Strung Out」はまさに「HATE CREW DEATHROLL」の流れを汲む現代的なヘヴィネスとHMのダイナミズムが同居した素晴らしい曲。エッヂを強調し、クラシカルなキーボードを抑え気味にする今のスタイルは初期のサウンドより好みなので、今の路線をもっと追求すれば次作ももしかしたら前作以上の出来になるのではと期待も高まる。#2「Knuckleduster」はキーボードが前面に出たミドルテンポのモダンなナンバーでこれもよい出来。#3「Bed Of Nails」はアリス・クーパーの最高傑作「TRASH(89年)」収録の名曲のカバー、#4「She Is Beautiful」はAndrew W.K.のカバー。COBはいつも意外性のある選曲で楽しませてくれるが、特に「Bed Of Nails」のチョイスはツボ突きまくり。アレンジ最高ですわ。(H)
CHILDREN OF BODOM / ARE YOU DEAD YET? 【88点】
メタルシーンに強烈な一撃を与えた出世作「HATE CREW DEATHROLL」に続く、EP「TRASHED, LOST & STRUNG OUT」を挟んでの待望の5thフル。究極に冷たいヘヴィなリフがザクザクと押し寄せる様はCOBが近年追い続けている路線を全うに歩んだ結果もたらされた姿で、その強靱さは他の追随を許さない。その比重の変化のせいか、わかりやすいメロディはやや後退し、印象としてもやや地味な作品になったことは否めないだろう。しかしマンネリを感じていた初期に比べてアレンジ能力は確実にアップしている。この作品で更に昔のネオクラ路線を好むファンは離れていくかもしれないけれども、決して単なる時代への迎合というわけではないし、モダン化した今のサウンドもまた、他の誰もやっていない音だと感じる。一皮剥けたバンドの、次作は「HATE〜」並のパンチの効いた作品を期待したいところ。ブリちゃんとPOISONのカバーは個人的にはいらなかった。(H)
CHILDREN OF BODOM / BLOODDRUNK 【79点】
CHAOS RIDDEN YEARS / CHILDREN OF BODOM [DVD] 【85点】
CHINA / CHINA 【81点】
CHINA / SING IN THE SKY 【82点】
CHIP & DONNIE / BROTHERS 【75点】
CINDERELLA / NIGHT SONGS 【80点】
CINDERELLA / LONG COLD WINTER 【79点】
CINDERELLA / STILL CRIMBING 【83点】
CLIF MAGNESS / SOLO 【83点】
PLANET3のヴォーカリスト、クリフ・マグネスのソロ。声良し、メロディ良し、構成良しで、80年代への郷愁へ誘う素晴らしいAOR作品。「Dreams Fade Away」は名バラード。(H)
CLOCKWISE / NOSTALGIA 【88点】
FORTUNEのベニー・スドベリ、GLORYのヤン・グランウィックを中心に、元EUROPEのジョン・レヴィン、イアン・ホーグランドが参加したプロジェクト。面子から容易に想像できる「北欧メタル」ワールドは、その純度100%の逸品だ。楽曲の質に多少のバラツキがあるものの、#1「Wings Of Joy」、#3「Traveler」、#4「Higher Ground」、#5「Run The Race」、#7「Changes」と、日本人好みの哀愁と美旋律が充満している。ベニーの歌は決して巧くはないものの、この音楽性には非常によくあっていて、甘美な香りを漂わせる。(H)
COLD SWEAT / BREAK OUT 【82点】
COLOR OF FIRE / PEARL NECKLACE 【77点】
CORNERSTONE / ARRIVAL 【84点】
ROYAL HUNTのベーシスト、スティーン・モーゲンセンのソロプロジェクト。ヴォーカルはドゥギー・ホワイトが担当している。ROYAL HUNTの音楽性とは全く違い、英国風の湿り気と煮え切らないメロディが全編を覆っており、この雰囲気がまたかなり良い。MAGNUMやDAREが好きなら気に入るかも。(H)
CORNERSTONE / ONCE UPON A YESTERDAYS 【70点】
元ROYAL HUNTのベーシスト、スティーン・モーゲンセンと元RICHIE BLACKMORE'S RAINBOWのヴォーカリスト、ドゥギー・ホワイトのプロジェクトの第3弾。当初の頃にくらべて随分とハードさが前面に出てきており、雰囲気もRAINBOWを彷彿させるサウンド。前作から参加しているギタリスト、カスパー・ダムガードのタッチも正統派HR色を決定づける要素であることは間違いない。個人的な好みとしては英国風の煮えきらなさがでていた初期のほうが好きだったし、古典的70年代ハードロックが強調されたメロディは少々退屈だった。(H)
THE CORRS / THE CORRS 【88点】
アイルランド出身、ジム、アンドレア、キャロライン、シャロンの4兄妹によるバンド。アイルランド伝統のケルティックサウンドと現代ポップスを融合したスタイル。6曲あるインストではいずれもティン・ホイッスルやバウロンといったアイルランドの民族楽器をふんだんに使ってアイリッシュの精神性を表現している。#6「Runaway」をはじめ#3「Heaven Knows」、#10「Love To Love You」等々、伸びやかなヴォーカルが飛翔する珠玉の名曲群は超強力。兄妹ならではの一体感、そしてインストを織り交ぜることにより全体がつながっているようで、まるでひとつのストーリーを追っているようなアルバムだ。(H)
THE CORRS / TALK ON CORNER 【78点】
アイルランド風味が激減していてショックを受ける。(H)
THE CORRS / IN BLUE 【74点】
普通のポップスになっていてショックを受ける。メロディ自体に魅力がなくなった。(H)
THE CORRS / UNPLUGGED 【84点】
MTV名物のunpluggedライブ。バックにオーケストラを従えるという構成。僕の中でのCORRSはアイリッシュ・フレーバー満載の1st以降は次第に興味が薄れていってしまうグループとなってしまっているが、ベスト的選曲のこのライブアルバムを聴く限り、このグループの魅力を再認識せずにはいられない。アンドレアの歌唱は抜群だし、兄姉ならではの息のあったコーラスや#4「Toss The Feathers」#12「Erin Shore」といったインストゥルメンタルは感動的。なお#11「Old Town」は同郷THIN LIZZYのヴォーカリスト&ベーシストだったフィル・ライノットのソロ曲のカバー。意外な選曲だが見事にハマッている。(H)
COVERDALE PAGE / COVERDALE PAGE 【86点】
デヴィッド・カヴァデールとジミー・ペイジによるスーパープロジェクト。賛否両論を巻き起こしたが個人的にはかなり好き。「Shake My Tree」、「Absolution Blues」、「Waiting On You」等々佳曲揃い。極めつけはバラードの「Take Me For A Little While」。泣ける。(H)
COZY POWELL / ESPECIALLY FOR YOU 【77点】
ハードロック界の重鎮ドラマー、コージー・パウエルが交通事故で命を絶ってから早半年、遺作となったソロアルバム。ヴォーカルはジョン・ウェスト、ベースはニール・マーレイというラインナップ。ジョン・ウェストはグレン・ヒューズばりのソウルフルな歌唱を披露してくれるが、楽曲がどれも凡庸なのでいまいちこちらも乗り切れない。(H)