Music Review : F

FAIR TO MIDLAND / FABLES FROM A MAYFLY: WHAT I TELL YOU THREE TIMES IS TRUE 【92点】

SYSTEM OF A DOWNのサージ・タンキアンが発掘したというバンド。ちょっとあやしげでコミカルなアートワーク。サウンドはずしりと重くて緻密、表現力豊かなヴォーカルはハイトーンを駆使してメロディアスなサビを歌い叫ぶ。ニューメタルなのかモダン・ヘヴィネスなのかヘヴィロックなのかジャンルはよくわからないが、知性的なサウンドはかなり好き。Disturbedの「Ten Thousand Fists」に出会ったときと同じような感覚。

FAIR WARNING / FAIR WARNING 【93点】

cover

HR/HMの名盤として間違いなく歴史に残るであろうFAIR WARNINGの記念すべきデビューアルバム。フックに富んだ哀愁のメロディをたっぷり含んだ美旋律は寸断なく最後まで続き、その質の高さに平伏すのみである。ハードロックの醍醐味溢れる#1「Longing For Love」#5「One Step Closer」#7「Out On The Run」#11「The Heat Of Emotion」、美しいメロディをとダイナミズムが魅力の#2「When Love Fails」#4「Crazy」#10「Take A Look At The Future」、狂おしく胸を締め付けるバラード#8「Long Gone」#12「Take Me Up」と、とめどなく流れるドラマティックワールドに陶酔。(H)

FAIR WARNING / IN THE GHETTO 【88点】

エルビス・プレスリーのカバー「In The Ghetto」と1st未収録の「Children's Eye」収録。どちらも素晴らしい出来だが、特に後者はフル・アルバム中の曲を凌駕するほどいい曲だと思う。メロディアスでウェットで劇的で、聴くたびに震える名曲。(H)

FAIR WARNING / RAINMAKER 【88点】

アルバム全体がバラエティに富み、プロダクションもグンと向上した2nd。曲調に幅が出たのはプラスにもマイナスにも作用していて、決していい曲とは思えない#1「Stars And The Moon」#2「One Way Up」が頭2曲だったのがもったいなく感じた。シングルにふさわしいHRのアンセム#11「Burning Heart」や、スカイギターが飛翔する#5「Don't Give Up」、#12「What Did You Find」などは大変魅力的な曲で、ヘルゲとアンディの自由自在なギタープレイが堪能できる一枚。バラツキなどの不満な点も多いが、前作に比べて飛躍している部分は多い。(H)

FAIR WARNING / ANGELS OF HEAVEN 【92点】

3rdフルレンスアルバム「GO!」からの先行EP。スピード感とメロディ共に申し分ない「Angels Of Heaven」はFAIR WARNINGを代表するハードロックチューンと言っていいだろう。BON JOVIっぽいポップな「I'll Be There」、悲しい旋律の「Without You」と、アルバム収録曲となる曲はもちろん素晴らしいが、またもやアウトテイク「Light In The Dark」の出来に脱帽。弦楽器を導入した大らかでドラマティックなバラードは感動的。これ1枚でも大満足。(H)

FAIR WARNING / GO! 【90点】

ドイツ産メロディックHRバンド FAIR WARNINGの3rd。前作「RAINMAKER」はバラエティには富んでいたが全体的に焦点がぼやけた作品だったと思う。しかしこの作品はバランス感覚を修正しつつ、オリエンタルな曲を導入するなど新たな試みをしているところで高い評価ができる。シングル曲#1「Angels Of Heaven」のリードするパワーは非常に大きく、その後につづく#2「Save Me」#3「All On Youe Own」#4「I'll Be There」の4曲の流れは絶品である。後半に行くにつれてやや大人しくなったり、メロディのクセが頻繁に顔を出すのがちょっと気になるところだが、メロディの質は秀逸でレベルは高い。緩急をつけて情感たっぷりに歌うテクニックを身につけたトミー・ハートの成長が大きい。(H)

FAIR WARNING / SAVE ME 【89点】

どこにそんなアイデアが眠っているんだといいたくなるほど、アルバム未収録曲の出来がいい。今回の「Come On」もFAIR WARNING史上最高レベルのHMチューン。彼らの曲の中でこれほど素晴らしいリフがあっただろうか。方々で聞くが、この曲が「GO!」の終盤に入っていたらよかったのにと思う。(H)

FAIR WARNING / LIVE AND MORE 【87点】

トミー・ハートのパフォーマンスには首をかしげるばかりだが、このアルバムを聴く限りミュージシャンとしての実力はかなり凄いことがわかる。多少のオーバーダブはあるだろうが、トミー・ハートの伸びのある歌唱は賞賛に値する。「COME ON」が入っていたのは嬉しかったし、アンディ・マレツェクのギターソロも非常に感動した。(H)

FAIR WARNING / HEART ON THE RUN 【88点】

4thアルバム「FOUR」からの先行EP。アルバムでもオープニングを飾る「Heart On The Run」は、FAIR WARNINGの魅力を凝縮したナンバーで、メロディのフックが沢山散りばめられている。「Angels Of Heaven」ほど劇的なリフがないので幾分ダイナミズムは後退したが、ヘルゲ・エンゲルゲのスカイギターは飛翔しているし、何ら変わらない音楽へ対するアプローチに満ち満ちており、これで始まるアルバムならば大いに期待できる。(H)

FAIR WARNING / FOUR 【86点】

通算4作目の本作は、楽曲それぞれにアプローチを変えながらも全体的なトーンに統一感を与えるという意味で、過去のウィークポイントを克服したとの印象を受ける。しかし、肝心の歌メロはというと、これまで以上にメロのパターンが随所に顔を出し、「あの曲そっくり」とあからさまにわかってしまうのは大きなマイナスだ。あまりにもFAIR WARNINGの方程式に当てはめすぎて食傷気味。確かに楽曲も粒ぞろいではあるが、単体で見ればアルバムをリードする#1「Heart On The Run」や#7「I Fight」は「Angels Of Heaven」、「Out On The Run」、「Come On」を凌駕しているとは言えないし、バラードもライト路線なので「Long Gone」、「Take Me Up」のような締め付けられるような哀愁は味わえない。ポップな曲も「I'll Be There」の方がいい。上品に作りすぎて、逆に求心力に欠けてしまったアルバムだ。(H)

FAIR WARNING / DON'T KEEP ME WAITING 【83点】

メロディアスハードの代名詞・FAIR WARNINGが6年振りに再結成。その復活第一弾マキシがこの「Don't Keep Me Waiting」だ。高らかに響くトミー・ハートのヴォーカル、飛翔するヘルゲ・エンゲルケのスカイギター、とことんエモーショナルなメロディと、どこをどう切ってもFAIR WARNING節全開で見事な再スタートって感じだ。タイトル曲はかの名曲「Burning Heart」を彷彿させます。メロディアスなミドルテンポナンバー#2、美しいバラード#3も非常によい感じ。(H)

FAIR WARNING / BROTHER'S KEEPER 【85点】

6年振りに再結成したドイツのメロディックHRバンド、FAIR WARNINGの5thアルバム。いい意味でも悪い意味でも、解散前の変わらぬFAIR WARNINGスタイルを提示してくれた作品であり、ファンにとって嬉しい内容であることは間違いないだろう。個人的には解散前のアルバム「4」に対して強烈なマンネリズムを感じてしまってテンションが下がっていたのだが、今回はそれほどまでのアレルギーは感じられなかった。正直インパクトも薄く、キラーチューンも見あたらないという点で、リスナーが求める「昇天する」ようなレベルにはちょっと及ばない感じはするけれど、この美麗なメロディはFAIR WARNINGならではのクオリティであり、この音が帰ってきたという喜びは筆舌に尽くしがたいものがある。次作では一歩先のケミストリーを期待したい。(H)

FAITH HILL / CRY 【82点】

FALL OUT BOY / THIS AIN'T A SCENE, IT'S AN ARMS RACE 【86点】

米ミッドウェスト出身のロックバンド、FALL OUT BOYの2ndアルバム。ポップだしロックだし大衆性抜群なんだけど、かといって何かに迎合している風でもなく、ちゃんとオリジナリティを出していて十把一絡げの音とはまったく違う、一歩ぬきんでた貫禄があるなぁと思います。美しいメロディがじわじわっと効いてます。ダサい男たちのかっこいい音楽。今後のますますの加速に期待。

FALL OUT BOY / FOB狂奏曲 【93点】

FINNTROLL / NATTFODD 【87点】

フィンランド産フォーク・シンフォニック・ブラックメタルバンドの3rdアルバム。ポルカ・メタルといわれる舞曲の軽快なリズムで疾走する曲調にはノらずにはいられない。ヴァイキング・メタルの勇壮さ、民謡風の泣かせるメロディもポルカサウンドに見事に融合しており、その完成度、というか度を超えているともいえるサウンドには唖然。#1「Vindfard〜Manniskopesten」でその魅力に取り憑かれ、#4「Trollhammaren」では否応にも「とろはまれーん!」と叫びたくなること間違いなし。誰もが疑似ヴァイキング体験ができるでしょう。自然に踊りたくなってくる…。(H)

FIORE / TODAY TILL TOMORROW 【88点】

ジョン・フィオーレなるヴォーカリストのデビューアルバム。HAREM SCAREMのハリー・ヘス、ピート・レスペランス、ダレン・スミスが全面バックアップ、ほとんどの曲をハリーが書いている。まるで自分のバンドのために書いているかのようなサウンドはHAREM SCAREMと区別することがほぼ不可能で、「ヴォーカルの違うHAREM SCAREM」といった感じ。しかもジョン・フィオーレもややハリー・ヘス系の掠れた声で歌うものだからますます厄介。それにしても、楽曲のレベルは恐ろしいほど高品質でさすがハリーと言わざるを得ない。フィオーレは表現力豊かで歌も非常に巧いが、それ以外に特筆するべきこともなく、「FIORE」名義のアルバムとしての評価は難しいなぁ。(H)

FIORE / ALL I FEEL 【84点】

1stアルバムがリリースされてからわずか9カ月という短期間で早くも2ndアルバムが登場。今回もHAREM SCAREMのハリー&ピートが全面的にバックアップしている。路線も全く前作と変わらず、初期のHAREM SCAREMのようなオーセンティックなハードポップだ。8曲でジョン・フィオーレとハリー・ヘスが共作しているものの、ハリー色がかなり強いようで、ジョン・フィオーレの個性は見えない。個々の楽曲の完成度はもちろんかなり高く安心して聴いていられるが、前作のようにアルバムをリードする曲が見あたらないのが欠点か。(H)

FIREFLIGHT / UNBREAKABLE 【80点】

FIREHOUSE / FIREHOUSE 【89点】

80年代半ばにCJスネア(Vo)、ビル・レバティ(G)、ペリー・リチャードソン(B)、マイケル・フォスター(Dr)によって結成、デモテープがジョン・ボン・ジョヴィに渡ったことでデビューへの道が開かれたという、話題性も抜群なバンドのデビュー作。この時期のバンドの中では、楽曲のクオリティ・実力・音質が群を抜いている。全米で売れまくったこのアルバムはそれに見合っただけの内容のある、メインストリーム型ハードロックの代表ともいえる一枚だ。ハードにドライブするリフにヴォーカルのC.J.スネアの驚異的な発声が乗るHRの名曲「Overnight Sensation」をはじめ、「All She Wrote」「Don't Treat Me Bad」などのポップ・チューンや、チャートを席巻したバラード「Love Of a Lifetime」など、要所にハイライトを置いた流れが絶品。個々のメンバーの卓越した技術が結束した、バランスのとれた名盤。(H)

FIREHOUSE / HOLD YOUR FIRE 【89点】

1stアルバムの流れを踏襲したアルバムで、よりダイナミックに、骨太になった印象を受ける。オープニングの「Reach For The Sky」ではC.Jの今まで以上にパワフルなヴォーカルを堪能、分厚いコーラスが魅力の「Rock You Tonight」はライブで受けそうなアンセムだ。お決まりのバラードも「When I Look Into Your Eyes」「Hold Your Dream」という超強力曲を用意してこちらもボリューム満点。楽曲を第一に考える彼らの真摯なスタンスが溢れんばかりに表現されており、暖かな温もりが伝わってくる名作。(H)

FIREHOUSE / 3 【85点】

「Love Of a Lifetime」、「When I Look Into Your Eyes」のヒットで、バラードバンドとしてのイメージが定着してしまった感があるが、やはりここでもバラードの出来が素晴らしく、そのイメージが完全に固定されそうだ。「Here For You」、「No One At All」、「I Live My Life For You」の3曲のバラードは、どれもFIREHOUSEらしい、甘いメロディをC.Jの優しい声で歌い上げる得意パターンでの仕上がり。それに反して、前作までに見られたハードナンバーはすっかりなくなった。時代をちょっと反映したようなラフでシンプルなロックソングが多く、多少違和感もあるが、決して彼らの魅力が失われるような曲ではないし、「Trying to Make a Living」などは実に良い曲だ。よりロックな姿勢に拘ったゆえのナチュラルな流れとも言えるだろう。(H)

FIREHOUSE / GOOD ACOUSTIC 【85点】

新曲含むアコースティックアルバム。「Love Of A Lifetime」、「I Live My Life For You」、「When I Look Into Your Eyes」、「No One At All」、「Here For You」といった名バラードから、ポップ・ヒットナンバー「All She Wrote」、「Don't Treat Me Bad」などが収録。アコースティックの心地よいサウンドに揺られながらいかにこのバンドがよい曲を書いてきたのかがわかる。新曲の出来も秀逸だし、イーグルスのカバー「Seven Bridges Road」も◎。(H)

FIREHOUSE / CATEGOLY 5 【82点】

ハードロック色はさらに奥に潜んでしまってはいるが、「普通によい曲」を書ける彼らの才能をいかんなく発揮した好盤に仕上がった。前作がかなりドライな作りだったのに対し、1曲目からかなりウェットな哀愁ナンバーを持ってきていて、かなり落ちついた雰囲気を出している。また、キーボードをこれまで以上に効果的に挿入することで聴き手のイマジネーションを膨らませている。相変わらずC.J.スネアの声には暖かみがあって、曲の魅力を一層引き出しているのも見逃せない。 ただ、今までお約束で入っていた甘くポップなラブソングがないのが物足りないか。珍しく物憂げなバラード#4「Dream」があるが、HEARTの「Alone」をつまらなくしたような感じでイマイチ。#10「I'd Do Anything」も彼らにしては魅力が薄い。それよりも、ラブソングではないけれどポップで哀愁のある#8「The Day, The Week, and The Weather」が特に気に入った。(H)

FLY / FLY2K 【83点】

バンコクでのアジアASIA2000以来、ずっと探し続けてきたCDをようやく発見。タイのロックバンド、FLYの歌う「農夫とコブラ」に魅了されてしまった。ブックレットがタイ語のため、どの曲が「農夫とコブラ」かわからず苦労したが、やっぱりあった。良かった。湿り気のあるメロディをおおらかに歌い上げるこの曲は、バンコクの人たちが大合唱したとおりのロック・バラード・アンセム。アルバム全体に彩りがあり、バラードからアップテンポな曲までなかなかの出来。また、タイという国から想像できないくらいの垢抜けた雰囲気を持っている。ライブではあれだけビッグサウンドだったのだから、プロダクションさえ良ければもっとダイナミックになるはず。(H)

FM / TOUGH IT OUT 【83点】

ブリティッシュロックの教科書ともいえるサウンドを固持している彼らの2ndで、スティーブの見事な歌唱とキーボードをふんだんに織り込んだ、バランスのとれた演奏が見事に合致した文句なしのハードポップ。89年という時代を反映してか、何となく売れ線狙いという感じもしないではないが、それにしてもツボをついた楽曲群は魅力的だ。デスモンド・チャイルドと共作した名曲#3「Bad Luck」を筆頭に当時のラジオ局なら喜んでかけそうなメロディアスな佳曲がずらりと並ぶ。近年のようなブルージーなテイストは薄いが、それでもヴィヴラートの利いたソウルフルなヴォーカルのおかげでイギリスらしさは全く失われていない。(H)

FM / APHRODISIAC 【86点】

1992年発表の4thアルバム。かつてのハードポップ然としたサウンドは陰を潜め、ブルーズ志向ののブリティッシュ・ロックアルバムになっている。スティーブ・オーバーランドにはこのサウンド!というべき良質のブルーズベースのHRが揃っており、特に序盤の畳かけは圧巻。ブリティッシュの魂が込められた#1「Breath Fire」、メロディアスな#2「Blood And Gasoline」、劇的な#3「All Or Nothing」、そしてスティーブのソウルフルな歌唱は究極のバラード#4「Closer To Heaven」で全開だ。(H)

FM / DEAD MAN'S SHOES 【80点】

FM / PARAPHERNALLIA 【85点】

FOO FIGHTERS / IN YOUR HONOR 【80点】

「Best Of You」に惹かれてちょっと冒険。Disc1はロックサイド、Disc2はアコースティックサイド。特にロックサイドは大物の貫禄漂うロックアルバム。キャッチーだったりうねりがあったりR&Rだったりといろいろ楽しめた。(H)

FROM THE FIRE / FROM THE FIRE 【87点】

FORIGHNER / 4 【79点】

FUEL / SOMETHING LIKE HUMAN 【83点】

FUEL / NATURAL SELECTION 【80点】