Music Review : E

EBONY TEARS / TORTURA INSOMNIAE 【87点】

スウェーデン産メロディック・デスメタルバンドの98年発表のデビュー作。トラッド風の泣きメロに疾走リフとデス声をのせる辺りは初期IN FLAMESを彷彿させる。デスというにはあまりに掟破りのとっつきやすさだ。バイオリンを大胆に導入し(あまり巧くはないけど)、さらにはクリーンな女性Voや普通声もフィーチュアしていて、余計正統HMっぽい。曲の流れやメロディセンスはツボを完璧に抑えていて、強い吸引力でぐいぐい引き込まれる。IN FLAMESの「Moonshield」と「Jotun」と「Ordinary Story」を合わせたような#3「Nectars Of Eden」は本作のハイライト。前後を固める楽曲も強力で、捨て曲がないのも大きい。あとは音質をもっと重厚になるよう改善すれば、メジャー級だ。(H)

EDEN'S CURSE / EDEN'S CURSE 【85点】

EDGUY / HELLFIRE CLUB 【88点】

ドイツのメロディック・パワーメタルバンドの6作目。今までなんとなく接する機会がないというかとっつきづらい感じがあったのだが、こうして聴いてみるとその障壁は一体なんだったのだと自分でも首を傾げてしまう。ドラマティックな展開、琴線に触れるメロディ、血流の勢いが増すスピード、どれをとってもメロパワの魅力を存分に詰め込んだ力作。シーンをひっぱるだけの存在であることに疑う余地なし。特にどんな状況であっても体をくねらせ悶絶させるであろう#3「We Don't Need A Hero」は総てのメタル・ファンを総立ちさせるジャーマンメタルの、いやヘヴィメタルの名曲だろう。(H)

EDGUY / ROCKET RIDE 【82点】

ELEGY / LOST 【79点】

ELEGY / STATE OF MIND 【76点】

EMBRACED / AMOROUS ANATHEMA 【93点】

正統派HMを踏襲したプログレッシブ風味のメロディック・デスメタル。全編にわたってピアノとキーボードの旋律が響きわたる中、ツイン・ギターの哀しい叙情的なフレーズ&タイトなリフとそこに絡みつくデス・ヴォイス。一連のメロデス・バンドのような美醜のコントラストがはっきりしている。しかしこのバンドの個性は、DREAM THEATERのようなプログレッシブな展開と優れた情景描写にあるといっていい。曲の中にきっちりとしたメリハリをつけ、聴き手にアーティスティックなイマジネーションを掻きたてる。主役のピアノ・キーボードに、IN FLAMESやARCH ENEMYの泣きのギター・フレージング、なおかつ「IMAGES AND WORDS」の頃のDREAM THEATERが見せたHMフィールドから決して外れない劇的な曲展開と変則リズムを織り交ぜたような本当に贅沢なアルバム。(H)

EMBRACED / WITHIN 【87点】

一聴しての感想、難解。前作ももちろんプログレッシブな要素はかなりあったが、今回はさらにプログレ度が増して・・・いや、それはいいんだけど、前作のような直感的に、そしてダイレクトに脳に突き刺さるような「わかりやすさ」は後退した。DREAM THEATERの「Images and Words」に通じるそのわかりやすさがなくなって、確かに「Awake」的な変貌を遂げた印象がかなり強い。楽曲の質、演奏のレベルはもちろんズバ抜けてはいるが、こちらの予想と違う音だったので違和感が残る。全編に漂うオルガンもブラックメタル的で明らかに前作と印象を異にする。明快さと複雑さの絶妙なバランスが魅力的だった前作に比べると、ちょっと不満もあり。(H)

EMERARD RAIN / BROKEN SAVIORS 【83点】

カナダ出身のハードロックバンドのデビューアルバム。同郷のHAREM SCAREMを彷彿とさせるメロディで、爽快で耳に残る楽曲が多い。(H)

EMERARD RAIN / AGE OF INNOCENCE 【82点】

EMERALD RAIN / SHORT SIGHTED 【76点】

カナダ産メロディアスHRバンドの通算4作目。HAREM SCAREMを脱退したダレン・スミスがドラマーの座に座っている。デビューアルバムがでたときはHAREM SCAREMの対抗馬としてかなり期待したいたバンドではあったが、枚数を重ねていくうちに何か突き抜けないイメージが定着してしまった。本作でもバラエティに富んだメロディアスな楽曲が並んではいるが、どれも決定打に欠けるといったところ。(H)

ENTWINE / DIEVERSITY 【89点】

フィンランドのゴシックメタルバンド、ENTWINEの通算4作目。国内盤がでるのはこれが初めてだ。どの曲も思わず膝を打ちたくなるようなキャッチーなメロディがふんだんに配され、曲ごとのクオリティが均一でアルバムとしての完成度が非常に高い。ニューウェーブ風のアレンジやモダンな空気も現代的で耳を心地よく刺激してくれる。他のゴシックメタルに比るとヴォーカルの男臭さが少なく、むしろ繊細で危うい雰囲気をこの切ないメロディに乗せている感じがとても良い。クセが少ない分、多くのリスナーに受け入れられそうな高品質メロディアス・ハードロックといってもよいだろう。終盤の#10「Nothing Forever」と#11「Last Within」は哀愁メロディにとことん打ちのめされる絶品の曲。(H)

ENTWINE / FATAL DESIGN 【82点】

安定したクオリティで日本でも徐々に知名度が上がってきたフィンランド産ゴシックメタルバンド・ENTWINEの5th。重厚サウンド+哀愁メロディというゴシックの王道を突き進むサウンドは、ここにきてメジャー感も漂わせるようになった貫禄の仕上がりといえる。これでドカン!とくるようなキラーチューンがあったら一気にスターダムに登りそうな雰囲気。ただ、メジャー感と引きかえに前作まで空気中に常に漂っていた哀愁が減退しているのはちょっと惜しい。(H)

ENUFF ZUNFF / STRENGTH 【84点】

ENUFF ZUNFF / ANIMAL WITH HUMAN INTELLIGENCE 【80点】

#3「Right by Your Side」がとても良い。(H)

ENUFF ZUNFF / TWEAKED 【82点】

これまでのアルバムに比べるとややダークな風合い。#3「Mr.Jones」、#8「It's 2 Late」が好き。(H)

ENZIGN / CAST THE FIRST STONE 【68点】

TENのサイドギタリスト、ジョン・ハリウェル率いる新バンド、ENZIGNのデビューアルバム。TENでは名手ヴィニー・バーンズの影に隠れて表立ったプレイというのは皆無に等しく、ライブでも「The Loneliest Place In The World」の1パートを端から見ても危なっかしいソロを弾いていたのを目の当たりにしているだけあってその存在感はイマイチパッとしなかったのだが、このアルバムを聴く限りそのイメージを払拭するに足りるプレイを披露。TENでの目立たない役回りの鬱憤をはらすかのごとく全編を通して弾きまくっており、TENに通じるドラマティックでメロディアスなミドルテンポの楽曲は、明らかにゲイリー・ヒューズとヴィニー・バーンズから影響を受けたものといっていいだろう。ただ、それゆえにゲイリー&ヴィニーの黄金コンビが作る世界と比べると明らかに聴き劣りするのも事実。似たタイプの曲が並んでメリハリが感じられずどうしてもダレてしまい、冗長な曲のおけるくどいぐらい繰り返されるリフレインがそのダレに拍車をかけている。ギタープレイは十分魅力的だし、#1「Cast The First Stone」などはかなりイイ線いっているので、十分期待はできるのだが。(H)

ERIKA / COLD WINTER NIGHT(Re-issue) 【85点】

イングヴェイ・マルムスティーンの元妻・エリカの90年発売アルバムの再発(ボーナス3曲追加)。いまだに某専門誌などで取り上げられることもあり、北欧の煌びやかなメロディが楽しめるアルバムとして評価が高い。事実、全編にわたる哀愁系北欧ハードポップチューンの数々は非常にクオリティが高く、これだけいろんな音楽を聴いているにも関わらず普遍的な感動を与えてくれる作品だ。特に#2「Together We're Lost」、#3「Line On Fire」、#6「Cold Winter Night」あたりのフック満載のサビメロは胸のあたりを鷲掴みされてしまうほど強力。なお、イングヴェイは#9「Emergency」にて参加。(H)

ESSENSE OF SORROW / REFRECTIONS OF THE OBSCURE 【83点】

ETERNAL TEARS OF SORROW / CHAOTIC BEAUTY 【90点】

IN FLAMESをよりメロディアスにしたような王道のメロディック・デスで、ピアノを入れたり女性Vo(キンバリー・ゴス)をうまく使ったりとバラエティに富んだアプローチを試み、大仰さを薄くしたEMBRACEDといった感じもする。とにかく終始叙情的なフレーズを弾きまくるギターが素晴らしい。メロディに複雑さはなく、素直に琴線に触れる音作りはわかりやすい。過去曲の曲というボーナストラックも秀逸。メロデス好きは必聴でしょう。このスタイルをずっと貫いてくれれば、メジャーの仲間入り間違いなし。(H)

ETERNAL TEARS OF SORROW / A VIRGIN AND A WHORE 【91点】

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フィンランド産メロディック・デスメタルバンドの通算4作目。嗚咽のメロディを緩急自在に散りばめる彼らの魅力は本作でもより磨きがかかり、普通声を大胆に取り入れた#5「The River Flow Frozen(#11はアコースティック・バージョン)」などでより意欲的な姿勢を見せている。基本的にメロディアスなリフを軸に曲を組み立てていくバンドなので、いずれの曲もはじまってすぐにグッと掴まされるものが多い。キーボードが先導していく中で、それとバランスを取るかのようにフィーチュアされている泣きメロ・ギターの集中豪雨は扇情力抜群でそのダイナミズムに圧倒される。相変わらずヴォーカルの表現力の乏しさは改善されていないが、生理的に受け付けない声でないので気にならない。ボーナスはACCEPTの「Sick, Darty And Mean」とPARADISE LOSTの「As I Die」でどちらも見事。捨て曲無しの必聴盤。(H)

ETERNAL TEARS OF SORROW / BEFORE THE BLEEDING SUN 【88点】

久々の新作リリースとなったフィンランド産メロディック・デスメタルバンド・ETERNAL TEARS OF SORROWの通算5作目。メインメンバーの脱退という危機を乗り越えた作品も、さすがEToSというべき慟哭のメロディは全編を通して健在。一瞬にしてドラマティックな世界に引きずり込む力は些かも衰えてはいない。特にEToSならではの魅力が詰まった「Sweet Lilith Of My Dreams」、「Tar Still Flows」等に注入された美意識は他のバンドではマネできない領域だ。相変わらずヴォーカルの弱さが若干気になるものの、このバンドの作り出す世界観に心酔するのに余計なことは忘れてしまう。ゲストヴォーカルとしてマルコ・ヒエタラ(NIGHTWISH)、トニー・カッコ(SONATA ARCTICA)が参加。

EUROPE / EUROPE 【82点】

EUROPE / WINGS OF TOMORROW 【84点】

EUROPE / THE FINAL COUNTDOWN 【84点】

EUROPE / PRISONERS IN PARADISE 【80点】

EUROPE / BEST 【91点】

EUROPE / START FROM THE DARK 【83点】

EUROPE / SECRET SOCIETY 【92点】

北欧の雄・EUROPEの再結成第二弾。正直あまり期待値が高くなかったが、これがまた予想を覆した素晴らしい内容。ジョン・ノーラムのいるEUROPEとはいえ、もちろん全盛期のバンドとはかなり違う方向性を歩いている現体制。しかしこれはこれでいい落ち着きどころなのかもしれない。ジョーイ・テンペストの天才的作曲センスと、音圧がビンビン響くへヴィなジョンのギターがいい感じに調和が取れている。どの曲もサビが非常にキャッチー、なんといってもジョンのフィーチュア度が高いのがうれしい。かなり弾きまくってます。#11「Devil Sings The Blues」のラストに延々と奏でるソロは鳥肌モノです。#3「The Getaway Plan」はTHIN LIZZYっぽかったりして、クセになる大人の味だ。(H)

EVANESCENCE / FALLEN 【93点】

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女性フロントマンを擁する米国発ゴス系ヘヴィロックバンド、EVANESCENCEのデビューアルバム。北欧ゴシック系バンド顔負けの美しくメランコリックなメロディとモダン・ヘヴィロックの本場・米国の土壌が生んだ貫禄あるサウンドがブレンドされた音がとても新鮮。何より魅力的なのがヴォーカリストエイミー・リー嬢の素晴らしいヴォーカルだ。透明感、力強さと巧さ、色気を兼ね備えた伸びと張りのある声はロック度を増すばかりでなくフェロモンに満ちた妖艶で荘厳な世界を形成している。オープニングを飾る#1「Going Under」からしてその迫力と美しさにノックアウト。独特のモダンロック臭も北欧系のメランコリックなメロディに中和していて親和性があり、モダンヘヴィロックのファンだけでなく普遍的なロックが好きな人になら誰でもアピールできる内容だ。女性版LINKIN PARKといった具合に評されているようだが、それは彼らが世に注目されることになった、映画「デアデビル」のサントラ収録曲「Bring Me To Life」がLINKIN PARKっぽいMC入りの曲だったからのような気がする。特にお気に入りの#6「Torniquet」を筆頭に名曲揃いの名盤デス。(H)

EXHUMATION / DANCE ACROSS THE PAST 【85点】

またもや「フレドリック・ノルドストロム」+聖地「Studio Fredman」という王道パターンを踏んだ、ギリシャ産メロディック・デスメタルバンドの2nd。IN FLAMESのイエスパー・ストロムブラードやSINERGYのキンバリー・ゴスら豪華なゲストを迎えて制作された本作は、まさしくフレドリックがプロデュースした音以外のナニモノでもない仕上がりだ。IN FLAMES並のクリーンで洗練された音質とギターの泣き具合は申し分ないし、ただ喚くだけでないディストーション・ヴォイスも迫力満点。好みからすればかなりIN FLAMESに接近している。ただ、いくら声質が格好いいとはいえ、終始抑揚のない一辺倒の唱法は聞く気を削ぐ大きな原因であるし、ギターメロも劇的というには一歩及ばずといった感じか。とはいえ、ツボも技術も心得ているし、アルバム全体の質も非常に高く、何よりメタル不毛の地・ギリシャからこのような良いバンドが出てくることは驚きだ。(H)

EXTREME / PORNOGRAPHTY 【77点】

EYES / WINDOWS OF THE SOUL 【84点】

ジェフ・スコット・ソート率いるメロディックロックバンド。どことなくアーバンな薫り漂う楽曲が満載で、特に#1「Cheyenne」が秀逸。(H)

EYEWITTNESS / EYEWITTNESS 【77点】