Music Review : A

ABSTRACT ALGEBRA / ABSTRACT ALGEBRA 【85点】

スウェーデンが生んだ奇跡の暗黒バンド、ABSTRACT ARGEBRAが唯一リリースしたアルバム。同じくスウェーデンのドゥームバンド、CANDLEMASSのメンバーが中心に、SWEDISH EROTICA〜TREATのシンガー、マッツ・レヴィンを迎えて制作された。バンド名(抽象代数学)にも表れているが、いずれの曲にも普通じゃ全く理解できない難解で深遠な単語がズラリと並び、この歌詞を覚えるマッツは大変だなぁと思いつつも、その歌詞世界と音楽性の見事なマッチぶりに呆然とせざるを得ない驚異の魔力を持った作品だ。TREAT時代には掠れたワイルドな声でガッツィーに歌っていたマッツのヴォーカルの存在感は圧倒的で、このバンドが作る陰鬱かつインテリジェンスな世界にはピッタリはまっている。真っ暗闇の中を彷徨うかのようなズッシリと重い音が共鳴する中に、美しく哀しいメロディを散りばめた唯一無二の世界はブラックホールに吸い込まれそうな吸引力を持っている。どの曲もインパクトがあるが、特にラストを飾る「Who What Where When」の爆発的なパワーに圧倒された。(H)

ACCEPT / METAL HEART 【85点】

タイトルトラック#1「Metal Heart」を筆頭に、超強力なHMが堪能できる。(H)

ACCEPT / OBJECTION OVERRULED 【83点】

再結成後最初のアルバム。メタルの「メ」の字も知らなかった僕が当時はじめて聴いたときは瞬時にして「拒絶反応」を示した(最初にACCEPTのアルバムに触れたのはこのアルバムだった)。BON JOVIやFIREHOUSEぐらいしか知らなかった自分の耳には、#1「Objection Overruled」はあまりに速く激しすぎるのに加え、金切り声のウドの声を受け付けなかったのだろう。しかし、救いは数回聴いたら意外にもすんなり「慣れた」こと。特にメタル・アンセムの#5「All Or Nothing」の勇壮で荘厳なかっこよさにはまってからは、全曲自然に聴けるようになった。重量感とドラマ性に溢れた硬派なヘヴィ・メタルが全編にわたって堪能できる。(H)

ACTION / ACTION 【72点】

AEROSMITH / ROCKS 【84点】

AEROSMITH / PERMANENT VACATIONS 【84点】

AEROSMITH / PUMP 【88点】

コンパクト&キャッチーな楽曲がずらりと並ぶ名作。#1「Young Lust」#3「Love Is An Elevator」、#5「Janie's Got a Gun」、#6「The Other Side」等人気曲がたくさん。(H)

AEROSMITH / PANDRA'S BOX 【85点】

1972年〜1982年までの音源を集めたもの。(H)

AEROSMITH / GET A GRIP 【87点】

ハイエナジーな#2「Eat The Rich」、スティーブン・タイラーのヴォーカルに中毒性が宿る#5「Livin' on The Edge」、バラードの名曲#9「 Cryin」、#11「Crazy」、#14「Amazing」等々、バンドの結束力と外部ライター陣との強力な化学反応満載の高品質アメリカンHR。(H)

AEROSMITH / NINE LIVES 【77点】

AEROSMITH / JUST PUSH PLAY 【75点】

通算13作目。もともと僕はAEROSMITHに対しては存在自体にはリスペクトしていても音楽そのものに対してはそれほどハマることはなく、今回も買ってはみたものの、それほど身を乗り出して聴くほどの満足感は得られなかった。リリース前の過度の盛り上がりも、余計にその気持ちを増幅させてしまう。モダンなテクノロジー化がかなり全編にわたっているというのが強い印象で残るが、それは鼻につくところまではいっていない。むしろスティーブン・タイラーの声が聞こえるとどんな音でもAEROSMITHっぽくきこえてくるのは彼らならではのスゴイところでもあるので、このようなアプローチには新鮮味を感じる。本作の目玉である#3「Jaded」は理屈抜きで感じるAEROSMITHというバンドの格好良さがにじみ出ている。大ヒット曲#14「Miss A Thing」をはじめ、歳をとってもスティーブンの衰えない張りのあるパワフルな節回しには惚れ惚れする。(H)

ALCATRAZZ / NO PAROLE FROM ROCK'N'ROLL 【84点】

ALCATRAZZ / DISTURBING THE PEACE 【81点】

ALL ENDS / WASTING LIFE 【90点】

ALL ENDS / ALL ENDS 【84点】

ALLEN-LANDE / THE BATTLE 【89点】

LAST TRIBEのマグナス・カールソン(g)のプロジェクトで、SYMPHONY Xのラッセル・アレンとMASTERPLANのヨルン・ランデという2人の実力派シンガーをデュオとして贅沢に使っている。同じくマグナス絡みのSTARBREAKERも素晴らしかったが、こちらも負けず劣らずの仕上がり。基本路線はLAST TRIBEよりもメロディアス・ハード寄りだが、圧倒的な歌唱力を持つ二人の歌いっぷりは見事(声質が似ているので使い分けが効いているかどうかは微妙だが)。しかし何よりも2人のシンガーが霞むぐらい魅力的なのがマグナスのつくるフック満載のメロディだ。どの曲も適度な疾走感とドラマ性があり、特に中盤に配した#7「My Own Way Home」は絶品。「良い曲を伝える」ために、2人のヴォーカルを必要以上に目立たせすぎず、サウンドもハードにしすぎなかったところが◎。(H)

ALLEN-LANDE / THE REVENGE 【83点】

SYMPHONY Xのラッセル・アレンと元MASTERPLANのヨルン・ランデという似たタイプのシンガーをマグナス・カールソン(g)が舵取りするプロジェクト、ALLEN-LANDEの2ndアルバム。こういったプロジェクトが単発で終わることなく続編がでることは非常に喜ばしい。というのも1stアルバムがあまりにも素晴らしく、プロジェクトとしての完成度に未来を感じたから。1stから2年のスパンを経てリリースされた2ndは、当然ながら1stの路線を踏襲した、適度なスピード感とキャッチーなメロディを併せ持った欧州型メロディック・メタルの醍醐味を存分に散りばめた好盤に仕上がっている。いまどき、このぐらい平均点の高い作品を作り出すバンドもなかなかいないので期待通りの作品で満足なのだが、その平均点レベルは前作を上回るところまでは到達していないかなというのも本音。「変わらないこと」が求められるこの手のバンドってそのへんのさじ加減が難しいですね…。

ALFONZETTI / READY 【81点】

元SKINTRADEのマッティ・アルフォンツェッティ(Vo)率いるメロディアスHRバンド。ドラムは元TREAT〜TALISMANのジェイミー・ボーガー。アルフォンツェッティの渋くて力強い表現力豊かなヴォーカルを軸にした音楽性はRIVERDOGSをちょっとドライにした感じでSKINTRADEからは想像つかない。IT'S ALIVE、TEN、MR.BIG風味もあり、普遍的な路線でゆったりとおおらかに流れる様は非常に落ち着きがある。ドライがゆえに耳に残るメロディというよりは流しておくと気持いいという感じで、やや物足りなさも。(H)

ALICE COOPER / TRASH 【90点】

稀代のヒットメーカー、デズモンド・チャイルドをプロデューサーに起用し、ジョン・ボン・ジョヴィ、リッチー・サンボラ、スティーブ・ルカサー、エアロスミスのメンバー、さらにバンドの卒業生であるキップ・ウィンガーやケイン・ロバーツなどもゲスト参加させ、売れる要素を究極まで盛り込んだ超豪華なアルバム。アメリカン・メインストリーム・ロックのオンパレード、キャッチーなメロディに溢れた楽曲群はどれも参加者の名に恥じぬ名曲揃いだ。ゲスト陣もそれぞれの良さを出し切って、アリスの毒々しさにあったデコレートでより魅力的な楽曲に仕上がっている。(H)

ALICE COOPER / HEY STOOPID 【80点】

ALICE IN CHAINS / DIRT 【84点】

200万枚を売った出世作。「Would?」がMTVでヘヴィローテされてからブレイク。ヘヴィなリフや変拍子を多用し、暗くて不気味な独特の空気感を醸し出している。レイン(vo)の独特の歌唱がとても個性的。(H)

ALIEN / ALIEN 【85点】

スウェーデン出身のハードポップバンドのデビューアルバム。透明感溢れるサウンド、高品質なメロディはマニアの間でも評価が高いとか。#3「Go Easy」はとにかく名曲。(H)

THE ALMIGHTY / CLANK 【77点】

AMARAN / PRISTINE IN BONDAGE 【80点】

AMAZE ME / AMAZE ME 【80点】

AMON AMARTH / TWILIGHT OF THE THUNDER GOD 【85点】

AMORPHIS / TALES FROM THE THOUSAND LAKES 【84点】

AMORPHIS / ELEGY 【85点】

AMORPHIS / ECLIPSE 【86点】

メロディック・デスメタルシーンの古株・フィンランドを代表するバンドAMORPHISの約3年振りのリリースとなる通算7作目のアルバム。ヴォーカルが変わって新しい船出となったが、内容的にもそれにふさわしいスタートとなる充実作。前任者と声質がそれほど変わらないため違和感は全くないが、デス・ヴォイスはかなり復活していて、クリーン・ヴォイスと巧く絡めつつアモルフィス独特の民謡調サウンドを活かし、叙情美溢れるメロディックなデスメタル・ゴシックメタルを展開している。かなり表現力のあるヴォーカリストだ。#2「House Of Sleep」のようなキャッチーともいえる曲の配置もよい。この作品では、間違いなく「ELEGY」のころのファンを納得させるだけの説得力があるはず。(H)

AMORPHIS / SILENT WATERS 【91点】

前作で完全復活を遂げてファンを唸らせたフィンランド産メロディック・デスメタルバンドの8作目。メロディック・デスの黎明期からシーンを支え、苦難を乗り越えて蓄えられたパワーが貫禄となって押し寄せる作風は過去最高の仕上がりといっていい。洪水のように押し寄せるメランコリックな叙情世界が圧巻。母国フィンランドの伝承を集めた「カレワラ」という叙情詩をベースに具象化されたという曲の数々は全編を通して一大叙情詩の世界を作り出している。美しいアートワークもしかり。次々と繰り出される美しいメロディは重厚なサウンドとピアノの旋律により彩られ、グロウルとクリーンのメリハリあるヴォーカルの使い方も絶望感を完璧に表現している。

ANBERLIN / BLUEPRINT FOR THE BLACK MARKET 【85点】

アメリカはフロリダ出身のモダンロックバンドのデビューアルバム。骨太なサウンドを素地に、エモーションと仄かな哀愁を撒き散らし、爽やかだが決して軽くない魅力的で個性的な声を持つヴォーカルが美しいメロディをなぞっていく…という個人的に大好きなテイストの音楽。とにかくオープニングトラックの#1「Readyfuels」のインパクトが絶大で、歯切れ良く重心のあるリズム、緩急自在のヴォーカル、そしてサビで一気に盛り上がるメロと、まさにカンペキな一曲。この曲が突出しているものの、全体的にもよく練られたメロディックな楽曲が満載で、#11「Naive Orleans」や#9「Love Song」(The Cureのカバーらしい)なども素晴らしい。大きな可能性を感じるバンド、今後がとても楽しみです。(H)

ANBERLIN / NEVER TAKE FRIENDSHIP PERSONAL 【90点】

米フロリダ出身のモダンロックバンドANBERLINの2ndアルバム。デビュー作はオープニングの「Readyfuel」で一発KOを喰らったわけだが、アルバム全体ではやや印象の薄い作品であった。この2ndアルバムを1回流したときに感じたのは「キラーチューンがなくて、また地味かな」という感じであったのだが、何度か聴いているうちにこの音楽の奥ゆかしさに気づいてきた。デビュー作での最大の評価であった爽やかだけど軽くない空気感はそのままに、メロディの質や表現力が抜群にアップしている。1曲1曲が粒ぞろいで、アルバムを通しての満足度の非常に高い作品だ。透明感のあるヴォーカルのタッチが繊細な空気を生み出していて、甘すぎずくどすぎずで相変わらず気持ちいい。特に気に入ったのが#11「Dance, Dance Christa Pfgen」。ニューウェーブ風の味付けで爽やかに疾走していく後半部分なんて何度聴いても鳥肌が立つ。素晴らしい!(H)

ANBERLIN / CITIES 【85点】

前作「NEVER TAKE FRIENDSHIP PERSONAL」の、特に#11「Dance, Dance Christa Pfgen」という個人的には人生の音楽遺産に認定された名曲で完全ノックアウトを食らったAnberlinの3作目。バンドとしての力量は確実にアップしている印象で、様々なタイプの曲をしっかりとまとめあげているという意味で、随分貫禄が出てきたなという印象。ノリノリのロック・チューン「Godspeed」などはイントロからして絶品だ。「(*Fin)」などで展開されるアーティスティックな表現もこのバンドの大きな魅力。

ANCHANG / コブラツイスト 【83点】

Anchangソロ名義のニューシングル。「コブラツイスト」はマシンガンズとはちょっと路線を変えた、広大な雰囲気のミドルテンポなHR曲といった感じで、Gソロのタッチもバンドのとずいぶん違っている。カバー曲の「メリーアン(THE ALFEE)」はハマリすぎ。劇的HMです。もう一曲の「チェリー(スピッツ)」は、冒頭のシャウト、低く唸る声、へヴィなギター・・・と原曲とのギャップがありすぎだが、慣れるとなかなか。以前ソロで出した「ザ・メンテナンス」同様、ANCHANGのソロ作品の音づくりはバンドのより好きな部分もある。(H)

ANCHANG / メンフィス 【77点】

バンドを解散し、アメリカでレコーディングしたANCHANGのソロアルバム。バンドの音とは違うのはいいとして、曲そのものがちょっとツライかな、というのが第一印象。へヴィメタルっぽさが希薄なのもあるかもしれないし、やっぱり個人的にはジャパニーズかヨーロピアン路線の曲が好きだからっていうのもあるかも。前回のソロツアーで披露していた#7「メンテナンス」は際立って良いです。ゴリゴリのへヴィメタルチューンでサビもバッチリ合唱モノ。

ANDY DERRIS / COME IN FROM THE RAIN 【84点】

PINK CREAM69〜HELLOWEENで確実にキャリアを積んでいるアンディ・デリス初のソロアルバム。類い希なるソングライティングのセンスを十分生かした内容で、特にアンディ節ともいえる#2「Come In From The Rain」、#3「1000 Years Away」、#4「Good-Bye Jenny」、#6「Foreign Rainbow」あたりが秀逸。(H)

ANGGUN / SNOW ON THE SAHARA 【86点】

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パリ在住のインドネシア美女、アングン(インドネシア語で「夢の中で創られた優美」)のソニーからのデビューアルバム。12歳でアルバム・デビューし、東南アジアで発売された5枚のアルバムを計400万枚も売り、10数万人のライブも成功させたという実力派。深みと厚みと繊細さを備えたビューティフル・ヴォイスは、オリエンタルなサウンドに乗ってすぐさまアングン・ワールドを形成する。大らかなでエモーショナルなメロディを歌い上げるその声にただただ身をゆだねるばかり。英語が基本だが、フランス語やインドネシア語も織り交ぜた楽曲群は彼女の才能全開で魅力的だ。#1「Snow On The Sahara」、#5「A Rose In The Wind」、#14「Dream Of Me」は彼女の音域の広さで聴く者全てを感動させる名曲だが、この3曲に関してはフランス語バージョンも収録されている。(H)

ANGGUN / CRYSALIS 【85点】

自らを「I'm messenger for emotions」と呼ぶアングンの2nd。インドネシア生まれでフランス在住、4カ国語を話すという「頭脳明晰・容姿端麗」というコトバがまさにぴったりな彼女は、さらにその深みと伸びと広がりのある素晴らしい歌声で聴く者の心をぐっとつかむ。今回は自らが書いた曲がほとんどで、その点でツメの甘さが見られるが、他を全くよせつけない魅惑的ヴォイスで聴かせる楽曲はやはり素晴らしい。特に「Sign Of Destiny」のドラマティックさは筆舌につくしがたい。天はいったい彼女にいくつの才能を与えたのだろうか。美しくて眩しすぎる。(H)

ANGGUN / OPEN HEART [SOUNDTRACK] 【80点】

ANGRA / ANGELS CRY 【83点】

元VIPERのアンドレ・マトスを中心に結成されたブラジルのバンド。クラシカルの要素とHMを結びつけた様式美アルバム。個性的なアンドレの声はちょっと苦手。(H)

ANGRA / REBIRTH 【85点】

2人のギタリストを残し、中心メンバーのアンドレ・マトスらが脱退するという事態のもと、新メンバーを集めて作成されたまさに「REBIRTH」なアルバム。新ヴォーカリストはブラジル人のエドゥ・ファラスキで、個人的にはアンドレより好きなタイプ。楽曲でも#2「Nova Era」、#5「Heroes Of Sand」など、メインソングライターが抜けた穴を感じさせない。(H)

ANGRA / TEMPLE OF SHADOWS 【92点】

ブラジルのHMバンド、ANGRAの5作目は十字軍の騎士を題材にしたコンセプトアルバム。復活作「REBIRTH」で初めて自分でも聴けるバンドだなと思うようになったが、本作を聞くとこのバンドがどうこうというより、視点がシーン全体に広がり、全てを包括したうえで「凄い!」と言いたくなる素晴らしい作品と実感。 オープニングでのドラマティックな掴み、お約束の疾走曲はハイレベルの予定調和。「Waiting Silence」のようなプログレ風味の曲、ボサノバやジャズを取り入れた曲、終盤に連なるスローな曲に至るまで少しの隙もなく筋の通ったコンセプトアルバムという大作を仕上げてしまった、その構成力に脱帽だ。個人的には疾走曲よりミドル〜スローな曲のほうが楽しめた。エド・ファラスキの歌唱力は最高。ゲストのカイ・ハンセンは…イマイチでした。(H)

ANNIHAILATOR / SET THE WORLD ON FIRE 【84点】

カナダ出身、ジェフ・ウォーター(g)を中心に結成されたHMバンドの3rd。叙情的な名曲「Sounds Good To Me」収録。(H)

THE ANSWER / RISE 【82点】

AQUILA / SAY YEAH 【82点】

レーベルとの問題でTERRA NOVAを解散せざるを得なかった彼らだが、メインのメンバーを3人残して新たにAQUILAとして再スタートを切った。音楽性はTERRA NOVAに通じるキャッチーで憂いのあるメロディをふんだんに織り込んだメロディアスロック路線だが、彼らの大きな売りであったキラキラとした装飾やテクニカルなギターソロを省き、アコースティックなサウンドをメインに楽曲を作っている。#1「Cecelia」のしんみりとしたオープニングにはじめ何とも言えない違和感を覚えたが、#2「Wide Open」、#3「Forgive Me」、#4「Young And Restless」、#5「Nothing's Impossible Now」と立て続けに彼ららしいミドルテンポのメロディが並び、#7「Here I am」のようにTERRA NOVAに通じるハードポップな曲も入れてくるなど、相変わらずセンスのよい楽曲を終盤まで息切れすることなく配置するバランスの良さが光っている。ハードな部分が削がれたことに残念な気持もあるが、ザラついたフレッド・ヘンドリックスの個性的なヴォーカルと彼の作る優れたメロディがいかに重要なポイントを占めていたかもわかる一枚。(H)

ARCADE / ARCADE 【65点】

RATTのスティーブン・パーシー(Vo)、CINDERELLAのフレッド・コーリー(Dr)が結成したLAメタルバンド。RATTの二番煎じで正直つまらなかったが#4「Cry No More」はバラードの佳曲。(H)

ARCARA / LOST IN TIME 【68点】

ARCH ENEMY / BLACK EARTH 【85点】

CARCASSからマイケル・アモットが脱退し、その後弟のクリストファー・アモットらと結成したブルータルメタルバンドの1st。CARCASSの延長線上にあるサウンドで、攻撃的なリフと疾走するブラストビートが強烈な破壊力バツグンのアルバム。(H)

ARCH ENEMY / STIGMATA 【86点】

マイケル・アモットが奏でる、泣きのメロディをたっぷり含んだギターのフィーチュア度が一層高まったアルバム。タメの利いた叙情性が堪らない。ヨハン・リーヴァの表現力も数段アップしている。(H)

ARCH ENEMY / BURNING BRIDGES 【94点】

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デスメタルの暴虐性と叙情的な美しいメロディが高い次元で融合した名盤。攻撃的な展開に終始まとわりつく扇情力溢れるメロディが頭を洗脳していく。ギター・パートにはいずれも官能美が強烈に発散され、バランスとメリハリが曲の中で化合している。#1「The Immortal」からしてその激性は頂点に達し、コーラスに連なるギターリフの泣き具合は半端ではない。#2「Dead Inside」、#6「Seed Of Hate」は古典的ヘヴィメタルのリフが魅力、#3「Pilglims」や#4「Silverwing」でも強烈な泣きが生命力を生み出している。タイプの違う二人のギタリストがお互いのルーツをうまく融合しながら究極のプレイを披露し、リズム隊のズシリとした安定感とともに張りつめた緊張感を伝える凄味に満ちたアルバムだ。(H)

ARCH ENEMY / WAGES OF SIN 【94点/92点】

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女性ヴォーカリスト加入という衝撃的なメンバーチェンジを経て制作された、バンドにとっても転機となる注目の4th。期待と不安が入り交じる中ベールを脱いだ新加入のアンジェラ・ゴソウは、そんな不安を木っ端微塵にうち砕く、想像を遙かに上回るとんでもない咆哮の持ち主だった。獰猛な野獣というべく攻撃的で威圧感のある声が、ARCH ENEMYのブルータルな音楽性を極限まで高めていると言えるだろう。サウンド面・楽曲面では一聴して前作のようなインパクトは感じないものの、リフに多様性が増し、ブ厚いプロダクションとよく練られたアレンジにのるブルータルなアグレッションがそこかしこに散りばめられている。官能美と疾走感がミックスされた#1「Enemy Within」、#2「Burning Angel」、#4「Ravenous」、#11「Shadows And Dust」や、重厚なリズムの#3「Heart Of Darkness」、#6「Dead Bury Their Dead 」など、基本的にはストレートながらも細部の音像にこだわったサウンドは、何度も聴いていいと思えるタイプの曲が多い。新たな出発に相応しい名盤。(H)

まず、一聴したときに、「本当に女性voなのか?」というのが正直な感想だった。前任ヨハン・リーヴァがグループを脱退後、女性ヴォーカリストのアンジェラ・ゴソウが新しく加入した。全体的な曲の流れは緻密な計算でもされているかのようで、まったく飽きのこない流れを作り上げている。また、メロディ自体も前作よりも官能的ともいえる暴力性が前面に押し出され、リフ/リズムに多様性が出ている形になったが、その反面、叙情性が多少ではあるが欠けたように聞こえてならない。ヴォーカルも細い感じを個人的には拭い去れないが、予想通りの仕上がりになっているといえる。アモット兄弟の技術の向上にも脱帽だが、ここではアンジェラに賛美の拍手を送りたい。(K)

ARCH ENEMY / BURNING ANGEL(EP) 【83点】

4度目の来日公演が目前に迫ったARCH ENEMYの「WAGES OF SIN」からの来日記念盤。#1「Burning Angel」は新作の中でもとりわけARCH ENEMYらしいソリッドなナンバー、#2「Lament Of Mortal Soul」はアルバムに入らなかった未発表曲だが、印象的なメロディを持つリフとクリアなギターソロをフィーチュアした、アルバム収録曲に勝るとも劣らない素晴らしい曲。#3「Starbreaker」はJUDAS PRIESTのカバー。ヴォーカルは前任のヨハン・リーヴァで、98年にレコーディングされたようだ。また、「Ravenous」のビデオクリップが収録されており、ファン必携のアイテムと言えるだろう。(H)

ARCH ENEMY / ANTHEMS OF REBELLION 【86点】

女性シンガー、アンジェラ・ゴソウを迎えて制作された名作「WAGES OF SIN」、そして来日公演での圧倒的なパフォーマンスでファンを熱狂させ、名実共にメタル界の頂点に登り詰めた感のあるARCH ENEMY待望の5thアルバム。多彩なリズムが練りこまれてアルバム全体に多様性があり、鋭く硬質なヘヴィネスが生み出す爆発力は圧倒的で"ヘヴィメタル度"は文句無く高く、更にワンランク上がった印象。特に唸ってうねりまくるリズム隊の貢献度は超ド級。#3「We Will Rise」をはじめ、ライブでの盛り上がりは必至。ただ、もうひとつの肝であった欧州メタル的官能美は#4「Dead Eyes See No Future」等一部で強烈に発散している以外は、ヘヴィネスと引き替えにやや後退している。曲によってはとってつけたように顔を出すものもあって違和感も。レベルはもちろん高いしメロディもたくさんあるのだが、そのメロディ自体に扇情力が薄く地味に映り、中毒性も前作ほどではない。3rdあたりの音楽性を期待しているリスナーには物足りなさもきっとあるだろう。個人的にもARCH ENEMYならではの尖った個性は、ヘヴィネスと官能美の共存している中から出てくると感じていただけに、普通にかっこいいヘヴィメタルになってしまった…というのも正直なところ。いや、それだけでも十分スゴイんだけど。ライブ観たら感想かわるかもしれない。(H)

ARCH ENEMY / DOOMSDAY MACHINE 【83点】

クリストファー・アモット脱退という衝撃的ニュースが流れ、バンドとしてまた新たな分岐点を迎えたスウェーデンの雄・ARCH ENEMYの6thアルバム。作品を重ねるごとに増していくヘヴィネスはさらに硬質度・鋭さを増した印象。特にギター・パートが前作より増えているのは嬉しい。前作ではARCH ENEMYの持つ強烈な個性が、泣きパートの現象という事実により薄れてしまった印象だったが、#1〜#3あたりの展開は鳥肌が立つほど素晴らしく、これぞARCH ENEMY!と膝を叩かずにはいられなかった。ところが中盤以降、秀逸なアレンジ・センスを持った曲やMEGADETHライクなメタルチューンなど重厚なメタルワールドが繰り広げられているにも関わらず、聴き終わってみるとイマイチ印象に残らない曲が多く、ひっかかりどころのない作品だなと感じてしまう。まぁ、ブルータル・メタルとしては一級品であると思うし、タイトル通り(?)、マシーンみたいな無機質な音は徹底していると思う。個人的には、やはり3rdあたりの「野獣の哀愁」みたいな雰囲気が欲しいんだけど。(H)

ARCH ENEMY / RISE OF THE TYRANT 【95点】

スウェーデンのブルータルメタルの帝王・ARCH ENEMYの7thアルバムは、クリストファー・アモットの脱退〜復活という正念場を乗り切って、バンドとしての結束力が最高の形で表現された傑作。 ARCH ENEMYの真骨頂ともいえる空を切り裂くような重くて速くて鋭いリフに、官能的でメランコリックなギターが絡むキラーチューンが頭2曲でいきなり炸裂する。近未来的な#3「I Will Live Again」は新たな魅力だし、中盤以降もアイデア豊かなバリエーションを絶やさず、直球HM〜官能的なインスト〜ラストを飾る6分超の長編曲といった構成力も見事。ARCH ENEMYは常に一流の作品を提供しているとが、これほどまでの化学反応バチバチな作品は久々だ。あまりに美しい官能的なギターの調べに、自然と体がよじれてしまう…。

ARI KOIVUNEN / BECOMING 【82点】

ARMAGEDDON / CROSSING THE RUBICON 【78点】

ARCH ENEMYのギタリスト、クリストファー・アモット率いるサイド・プロジェクト。ARCH ENEMYよりスラッシュ寄りのサウンド。非常にテクニカルなプレイを連発し、「天才」ぶりを発揮しているが、メロディは好みでなかった。(H)

ARMAGEDDON / THREE 【80点/86点】

1stのデスラッシュ路線、2ndの様式美路線とはまた毛色の違う正統派HM路線で、クリス自身がリード・ヴォーカルをとるというトリオ編成。そのクリスのヴォーカルは意外にも上手く、これといった個性はないものの正直な歌唱でそつなくこなしている。特に#5「Well Of Sadness」で情感たっぷりに歌う声に身震いしたほど。全体的なテイストは古き佳き時代のHMといった趣。ARCH ENEMYでのクリスやダニエルの「超」がつくぐらいの絶頂プレイと比較してしまうとややあっさりした印象なのと、メロディがやや淡泊に聞こえてイマイチのめりこめないのだが、この路線からARCH ENEMYの幻影を求めても無意味か。サイドプロジェクトならではの「やりたいことをプレイする」というシンプルで本能的な姿勢は見える。(H)

ARCH ENEMYのクリストファー・アモットが率いるサイドプロジェクト。2000年11月の初来日公演で彼らを目にしたときは、当時のVo、リカルドのタコ踊りのようなパフォーマンス(動き)に驚かされたが、今回はクリスがVoも務めている。正直、不安はかなりあったのだが、その歌声を聞いて不安は微塵もなく吹き飛ばされた。クリスの歌声はどこか憂いを含んでいて、疾走するナンバーでは疾走感とその声が絡みあって叙情性がかもし出され、聞き手の心を掴んで離さない。そうかと思うと#5の「Well Of Sadness」ではクリスの歌声が切なさで一杯になるほどに歌いあげている。また、クリスのギタープレイは80年代のWHITESNAKEやIRON MAIDENが好んで使うようなリフが要所要所で聞こえてくるが、元からある輝きの上にさらに強い光を放つようにアレンジしてあるので、思わずニンマリと顔の筋肉が緩んでしまう。前作はいまいちパッとしない感を受けていたのだが、ここまで洗練させた音楽を作り出すバンドを、ただのサイドプロジェクトにしておくには勿体無い。(K)

ASIA / ALPHA 【82点】

THE ATARIS / SO LONG ASTRIA 【82点】

AT VANCE / THE EVIL IN YOU 【80点】

ドイツ産様式美バンドの5th。SWEDISH EROTICA、TREAT、イングヴェイ、ABSTRACT ARGEBRA等で見事な歌唱を披露してきたマッツ・レヴィン(Vo)が加入。どのバンドにいても独特のマッツ色に染め上げる個性はさすがとしかいいようがない。(H)

AVENGED SEVENFOLD / CITY OF EVIL 【89点】

カリフォルニア産パワー・メタルバンド・AVENGED SEVENFOLDの日本上陸作。とにかく多彩。正統HM+北欧旋律+ジャーマンメタル臭+アメリカンロックの泥臭さ…そういった様々な要素が破綻せず見事に融合している、奇跡のようなサウンドだ。テクニカルな技巧と速弾きを駆使したGソロとか今の時流に合わないぐらい弾きまくりだし、80年代を思わせるクラシックなHR/HM的メロディもツボ。そういった伝統的な要素を感じながらも、明らかにこのバンドの出自が感じられるハードコア的な音も出ているところや、ヴォーカルがハイトーン系ではなくしゃがれ声系なのはモダンロック、アメリカを思わせる。長い曲があったり、民俗音楽っぽいアコースティックギターを絡めたりという要素もおもしろく、伝統的な要素とモダンな要素が、かなりメタルに近いところでうまく融合している感覚だ。ガンズっぽいバラード#6とかかなり気に入ってます。(H)

AVENGED SEVENFOLD / AVENGED SEVENFOLD 【87点】

AVRIL LAVIGNE / LET GO 【86点】

カナダ出身17歳の「いまどきのルックス」なシンガー・ソングライター、アヴリル・ラヴィーンのデビューアルバム。目にただならぬ力があり、アラニス・モリセットをはじめとする個性派シンガー特有のオーラを既に発し、聴く者を引きつける魅力的な声を持っているアーティストだ。ミディアム・ロックを中心に若さ溢れるチャーミングな声で歌い上げる声は単にキュートなだけではなく力強さも充分あり、キャッチーなメロディにぐいぐい引っ張られる。そうかと思うとバラード#4「I'm With You」では感情を剥き出しにした絶唱が震えを誘い、その圧倒的な表現力は既に大物感を漂わせている。楽曲も粒ぞろいなので、キャッチーなメロディと魅力的なヴォーカルを楽しみたい人は是非試してほしい。(H)

AVRIL LAVIGNE / UNDER MY SKIN 【83点】

優れた楽曲、歌唱力にロック・アーティストらしい風貌と不良っぽさ・若さというエネルギーを加え、爆発的なセールスを記録した1stアルバム1枚で瞬く間にメジャー・アーティストの仲間入りを果たしたアヴリル・ラヴィーンの2nd。大物プロデューサーを迎え、2作目にしてさらに上のレベルへの地盤固めができあがった格好だ。「UNDER MY SKIN」とのタイトルは彼女の内面を表したとのことで、成熟度をアピールしている。第一印象としては楽曲はそこそこ粒ぞろいだけど随分落ち着いちゃったなぁというところで、1stのような元気でポップなナンバーがないからだろうが、そこが魅力だったのにという少々残念な気持ちも。大人になるのが怖いという詩を歌ったバラード#7「Nobody's Home」が一番良かったというのもまた微妙なトコだが、たしかにこのアルバムでは繊細さという意味では格段の成長を遂げている。そう割り切ればいいアルバムだ。(H)

AXE / BEST 【84点】

AXEL RUDI PELL / BLACK MOON PYRAMID 【86点】

ドイツの様式美ギタリスト、アクセル・ルディ・ペルの7作目。スピード感があって、クサクサのキャッチーなフックに溢れ、高揚感を生み出すメロディックHM基本要素が満載。#7「You & I」など、ジェフ・スコット・ソートの限界ギリギリのシャウトも気持ちを高ぶらせる。(H)

AXEL RUDI PELL / OCEANS OF TIME 【79点】

ジョニー・ジョエリが様式美バンドで歌う…このギャップを受け入れられない。(H)

AXXIS / THE BIG THRILL 【80点】