Music Review : I

I AM GHOST / LOVER'S REQUEST 【81点】

ILL NINO / CONFESSION 【83点】

南米出身のメンバーを中心に構成された多国籍ヘヴィロックバンドの2nd。パーカッションを使用したラテンビートを現代ヘヴィロックにミックスしているところが最大の売り。ラテンの熱い熱気を漂わせるトライバルなリズムは確かにこのバンドの特徴を決定づけているが、何よりも曲づくりの巧さ、メロディの美しさに大きな魅力を感じる。現代の流行ともいえる所謂LINKIN PARK系と片づけてしまうのは簡単だけれども、その必然的な相互関係によってこのバンドの空気感を生み出していることは間違いなく、確かな力量が感じられる作品。(H)

IMPELLITTERI / VICTIM OF THE SYSTEM 【85点】

IMPELLITTERI / ANSWER TO THE MASTER 【86点】

IMPELLITTERI / SCREAMING SYMPHONY 【90点】

IMPELLITTERI / EYE OF THE HARRICANE 【79点】

IN FLAMES / LUNAR STRAIN 【82点】

メロディック・デスメタルというジャンルの潮流を築いたともいえる一枚。メンバーは流動的で、イエスパー・ストロムブラードがキーボード、ドラムなどを兼任、ヴォーカルには現DARK TRANQUILLITYのミカエル・スタンネが担当している。欧州民謡的なサウンドをデスメタルの中に取り入れ、叙情と激情の世界を構築している。不安定なメンバー構成故に作りも粗く、まとまりもイマイチでいかにもB級臭さの漂うアルバムだが、その実験的なアプローチとメンバーの中に宿っていたセンスが後の大化けにつながることからもわかるように、ここで蓄えられていたパワーというのは計り知れない。(H)

IN FLAMES / THE JESTER RACE 【96点】

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メンバーが固定されず、まだ不安定な部分が多かった1stから大きくスケールアップした2nd。幾重にも折り重なる叙情の波状攻撃はこっちの気がおかしくなるくらいドラマティック。絶品のリフではじまる#1「Dead Eternity」から#2「The Jester Race」#4「Moonshield」#5「The Jester's Dance」と叙情的なナンバーがずらりと並び、ギターソロの官能が頂点に達する暴虐のキラー・チューン#6「December Flower」を挟んで後半も#7「Artifacts of Black Rain」#8「Dead God In Me」#9「Wayfaerer」#10「Load Hypnos」と、抜け目の全くないドラマティック・ナンバーで埋め尽くされている。泣いて泣いて泣きまくる叙情メロディと、激しい憎悪を剥きだしにするデス・ヴォイスのコントラストの美しいことこの上ない。(H)

IN FLAMES / WHORACLE 【94点】

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メロディの質量のみならず、楽曲そのものの細部まで詰め、プロダクションも格段と良くなった3rd。ヘヴィメタルの持つ普遍的な部分をより高め、胸打つドラマティックな展開とアグレッシブな攻撃性はとどまるところを知らない。オープニングナンバー#1「Jotun」の悶絶リードギター&炸裂リフにはじまり、一緒に叫べるIN FLAMES永遠のアンセム#9「Episode 666」あり、勇壮なスピードメタル#5「The Hive」あり、慟哭のスローナンバー#6「Jesper Script Transfigured」あり、流麗なインスト#4「Dialogue With The Star」ありと、どこを切ってもIN FLAMES節炸裂の超メロディアスな1枚。終盤のインスト#11「Whoracle」あたりでは恍惚状態である。ボーナス曲#12「Goliaths Disarm Their Davids」も素晴らしい。あらゆる感情を刺激する美しさと激しさが充満した名盤。(H)

IN FLAMES / COLONY 【95点】

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前作リリース後、グレンとヨハンが脱退。ビヨーンがギタリストに転任、ダニエル・スヴェンソンを迎えて制作され、全体的な整合性と統一性に磨きがかかった4th。サウンド的にはさらに普遍的HMに近づきメジャー感が大幅にアップ。オープニングトラックの#1「Embody The Invisible」はその方向性を究極のレベルで表現した究極の名曲。#2「Ordinary Story」や#4「Colony」でみられるヴォーカル・エフェクトやハモンドオルガンの導入などでアレンジでもどん欲な進化の姿勢を見せている。もちろんその中にもIN FLAMESらしいメロディックでアグレッシブな部分は微塵たりとも失われておらず、全てに置いてスケールアップした音の洪水は圧巻、分厚い音で畳みかける13曲は至福のひとときだ。泣きは徐々に後退しているが、ひたすらアグレッションにこだわる姿勢はますます進化している(H)

IN FLAMES / LIVE IN FLAMES(boot) 【85点】

1999年7月、大阪で行われたライブの模様をおさめたブートレッグ。2枚組で、前座のSINERGYが4曲入っているというお得なCD。さすが大人気のIN FLAMES、曲自体もライブ受けするものが多いので観客のノリはハンパじゃない。セットリストもベストで、改めて彼らの楽曲には名曲が多いことを思い知らされた。「Episode 666」はオリジナルよりもテンポが速く、コーラスの「6、6、6!!」はやっぱり感動モノ。(H)

IN FLAMES / CLAYMAN 【94点】

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通算5作目になる本作では、「IN FLAMES流」という自らが作り出した一つのジャンルをさらに昇華させただけでなく、新しい要素をどんどん加えている貪欲な姿勢が、進化と深化というカタチで結実しているところがポイントか。オープニングを飾る#1「Bullet Ride」は過去のリーダートラック「Embody The Invisible」、「Jotun」「Dead Eternity」同様、アルバムを代表するチューンであったことがまず一つ。最近の新機軸であるアンダースの緩急をつけた豊かなヴォーカルが、ツインリードのアグレッシブなギターと抑揚のあるアレンジの上に乗る。もうこれ1曲でノックアウトだ。ブリッジの高揚感がたまらない#4「...As The Future Repeats Today」、疾走感があり歌メロのあるキャッチーな#2「Pinball Map」#6「Clayman」#12「Strong And Smart」、お得意の静と動のコントラクションが美しい#5「Square Nothing」#7「Satellites and Astronauts」、「Jotun」を彷彿とさせるリードギターでIN FLAMES節満載の#9「Swim」、ARCH ENEMYのクリストファー・アモットがソロを弾く絶品の#10「Suburban Me」、ズシリと重いヘヴィリフの#3「Only For The Weak」と、最初から最後まで緊張感バリバリの構成。特筆すべきはやはりアンダース・フリーデンだろう。とかく一本調子になりがちなデス・メタルにおいて、これだけ多くのスタイルとアレンジ、そして表現力豊かな声には舌を巻く。アンダースというフロントマンの存在はIN FLAMESの音楽を形成する最も重要なファクターのひとつだ。(H)

IN FLAMES / THE TOKYO SHOWDOWN LIVE IN JAPAN 2000 【87点】

ブックレットを見ただけで興奮してくる。そう、僕らが足を運んだ昨年11月16日・赤坂ブリッツでの録音だからだ。あの時の体が躍動した感覚が、プレイボタンとともに再現だ。あの場所にいるととにかく歌い叫び頭を揺らし体を動かしで精一杯だったのと、サウンドが割れて音が良く聞こえないというのもあって彼らのプレイをじっくり視聴することは不可能だったが、こうしてじっくり聴いてみると、威風堂々と安定したプレイを披露してくれていたことがわかる。決して上手い演奏とはいえないし改善の余地もありだが、楽曲の魅力を伝えるには十分で、特にアンダース・フリーデンの歌唱はやっぱりスゴイ。後半に行くにつれてパワーを増していく。恐るべしである。「Jotun」「Episode 666」は元より速くてライブの勢いをそのままに表しているところとか、アレンジをちょっと変えているところとか、それからちょっと危なっかしいとか、そういうところも全て含めて、オリジナルと違うところが多いのでライブアルバムとしてはかなり楽しめそう。ただ、観客の声がほとんど聞こえないのは残念なとこだ。ブートレッグの方は歓声もバッチリ入ってて「Episode 666」のコーラスは場内一体という感じで良かったのに。(H)

IN FLAMES / REROUTE TO REMAIN 【98点】

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「メロディック・デスメタルの帝王」とは、所詮世界のとある一地域としてのアイデンティティだったかもしれないが、このアルバムでいよいよワールドワイドな地位を掴み取る予感が漂っている。様々なチャンスを確実にモノにしていく中で世界というビジョンが現実となり、そこへギラリと眼光が向けられた本作は相応の進化を経ている。全編にモダン・ヘヴィネスのエッセンスが散りばめられているが、どの曲にもIN FLAMES印が刻印されていることはまず言及すべきところだ。新生IN FLAMESの方向性と魅力を全て凝縮したオープニングのタイトルトラック#1「Reroute To Remain」はヘヴィなリフ、メロディアスなリードギターとノーマル声コーラスがフィーチュアされた名曲。ファストなリフと緩急をつけたメロディラインが特徴の#2「System」、#4「Trigger」、#10「Dismiss The Cynics」、勢いで押すモダンアレンジの#3「Drifter」、#6「Transparent」、ズシリと重い骨太のうねりが響く#5「Cloud Connected」、IN FLAMESらしさの中に新鮮なアレンジを取り入れた#7「Dawn Of A New Day」、#8「Egonomic」、#9「Minus」、#12「Dark Signs」、ミドルテンポでサビメロが印象的な#11「Free Fall」、#14「Black & White」、全てノーマル声のアコースティックなスローナンバー#13「Metaphor」と、豊富なバラエティで彩りながら決してらしさを失わないところに、冒険心と冷静さを兼ね備えた彼らの知性が浮かび上がってくる。モダンなメロディを持つヴォーカルについては若干の戸惑いがあるものの、ヘヴィ・メタリックな数々の名リフが生み出すヘヴィネス・アレンジの妙はこれまで以上で、興奮を喚起する要素はアルバム中に充満し、最大限の燃焼を起こしている。文句なしの名盤。(H)


IN FLAMESは、今までの一連のアルバムでメロディック・デスメタルというカテゴリの中で成長してきたが、その枠を見事に打破する形で大きな「進化」を遂げた6th。アグレッシブなリフやリズムを残しつつよりメロディアスになり、Voもこれまでになかったクリーンかつメロディアスに歌っているといった、今までとは異なった輝きを放っている。ツイン・リードが幾分後方にさがり、コーラスにメロディアスなヴォーカルラインが加わった斬新なアプローチの#1「Rerote To Remain」、#3「Drifter」。また、過去の作品にみられたギターの煽情力あふれる#4「Trigger」や#8「Egonomic」にも今までにないアレンジが加わり、先駆者としての確固たる自信が伺える。また、#13「Metaphor」はバラードで、遠くにいる相手に問い掛けるような切ない音楽を作り出している。他者の追随をまったく寄せ付けないIN FLAMESを代表する名盤になるだろう。(K)

IN FLAMES / TRIGGER 【85点】

「REROUTE TO REMAIN」からのシングルカットは個人的にこのアルバムでも1、2を争うぐらい好きな「Trigger」。IN FLAMESの魅力が溢れた扇情力のあるメロディと力強いスピード感、クールでモダンなアレンジが秀逸な名曲だ。#2「Watch Them Feed」はアルバム未収録曲で、激しいリフで疾走し、コーラスでメロディアスなヴォーカルをフィーチュアした曲。#3「Land Of Confusion」はGENESISのカバーという意外な選曲ながら、彼らの卓越したアレンジセンスによって見事に消化していている。#4「Cloud Connected(club connected remix)」はアルバム収録曲のリミックス。ノリノリなこの曲をさらにダンサブルにリミックスされていて、オリジナルとやや異なるリフがとてもかっこよい!リミックスに否定的な自分でもこれはかなり楽しめた。#5「Moonshield」は3rd「THE JESTER RACE」収録のカラオケ・バージョンだが、安っぽいデジタルサウンドが興醒めさせる…。どう考えても蛇足だと思うのだが。もう一枚のDVDには「Trigger」、「Cloud Connected」、「Only For The Weak」の3曲のPVを収録。どれもクールな仕上がりでオリジナル曲がさらに好きになること間違いなし!ファン必携。(H)

IN FLAMES / SOUNDTRACK TO YOUR ESCAPE 【95点】

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世界進出を目論んだ前作「REROUTE TO REMAIN」ではモダンなサウンドを導入し賛否両論を生んだが、常に前進しようとするバンドの意欲が表れた自然な進化であり、決してIN FLAMESの根底に流れる血を汚したような安易なものではないと思う。方法論としても出来上がったサウンドにしても「賛」どころか「絶賛」できた名盤で、元々IN FLAMES贔屓の血に染められていたものがまた新しい血によって全身塗り替えられるぐらい衝撃的だった。その方向性をさらに押し進めた本作は、まさに「REROUTE〜」の続編といった印象。ファーストインプレッションこそ、ブルータル・デスの#1「F(r)iend」の残像がひきずったのと(IN FLAMES=オープニングトラックは叙情美溢れる名曲、なる公式を勝手に思い描いていたので…)、全体を通してコーラスのメロディがちょっと地味に映って正直テンションが上がらないまま聴き終えたのだが、このサウンドを理解するには何度も聞き込みが必要な複雑さと密度の濃さがあることは前回の学習で百も承知であり、そういう意味ではある種の安心感と期待感に包まれた。そもそも「REROUTE〜」で驚嘆したのは何と言ってもリフとリズム。IN FLAMESといえばメロディが肝、という認識を良い意味でそれらの要素が追い抜いていく感覚…それと同様のリフとリズムの麻薬的魔力は本作でも抜群に効いている。#2「The Quiet Place」や#6「My Sweet Shadow」などの浮遊感+重いリズムなどは表現として完全に確立された感がある。今回もまた「進化した」というに足る底なしの才能を見せつけられた。ま、いまだに地味かなぁといった印象はあるものの、予想通り、回数を重ねるたびに好きになっていく楽曲ばかりずらりで、永く愛せるマスターピースなアルバムになりそうだ。(H)

IN FLAMES / SOUNDTRACK TO YOUR ESCAPE [digi-pack] 【95点】

デジパック仕様。日本盤や通常の輸入盤には収録されていないボーナストラック「Discover Me Like Emptiness」が収録されている。本作の路線と同一の浮遊感のあるミドルテンポの曲で、クオリティは本編の曲となんら遜色ない素晴らしい曲。正直いってこの曲を本編のラストに入れて欲しかった。ファンにとってはマストアイテムでしょう。(H)

IN FLAMES / THE QUICK PLACE 【85点】

「SOUNDTRACK TO YOUR ESCAPE」からの1stシングルは、「REROUTE〜」から描いてきたモダンな浮遊感の雰囲気にメリハリのある展開と印象的なメロディを乗せた、いまのIN FLAMESを表現したひとつの完成形を示した曲。最初の印象はそれほど強くなく、いいのか、悪いのか正直わからない部分もあったのだが、じわじわと染み込んでいく味わい深さがあり、気がついたらアルバム中最も好きな曲のひとつになった。なんなのだろうこのマジックは。カップリングはその「SOUNDTRACK〜」の中でこれまた名曲と呼べる「My Sweet Shadow」のリミックス。デジタル処理が施されているがなかなか良い。北欧民謡の#3「VARMLANDSVISAN」はライブ音源で、アコースティックインストの小曲。このほかに表題曲のPV(やっぱりこれが目当てになるかな)、アルバムのレコーディング風景をまとめたムービー、それからスクリーンセイバーがついている。(H)

IN FLAMES / USED AND ABUSED... IN LIVE WE TRUST 【94点】

IN FLAMES初のライブDVD(+CD)各2毎組、計4枚という特大ボリュームのボックスセット。ライブ、PV、インタビュー、バックステージなどが収録、ボックスセット仕様も非常にかっこよい作りだ。数多くの名盤を生み出し、精力的にツアーをこなしているバンドの強固な結束力がここに全てそそぎ込まれているといっていい。何度かライブに参加しているが、IN FLAMESはそれほどテクニックやパフォーマンスが突出して優れているバンドではない。しかし、曲の素晴らしさはもちろん、場数を踏んできた経験値が蓄積され、観ていて非常に心地よく熱くなれる。DVDソフトの質としても音・映像とも臨場感たっぷりで、価格と合わせて満足度は文句無し!。ファン必携アイテム。(H)

IN FLAMES / COME CLARITY 【98点】

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常に意欲的な作品を作りつづけ、決して現状に留まらず進化を繰り返す北欧エクストリームメタルの帝王・IN FLAMESの通算8作目。前作・前々作で積み上げてきたモダンな作風に、「Colony」や「Clayman」時代の直球メロディックデスメタルをうまくブレンドしたことにより、よりIN FLAMESらしく・より世界のマーケットに、というベクトルを提示した作品だ。そういった路線であれば前2作で控えめだったメロディアスなツインギターのハーモニーの量が増えるのも当然で、スピード感あふれるメロデスの畳かけを聴いて、IN FLAMESはやっぱこれだよな、と思うファンは多いだろう。特に中盤から終盤にかけての展開は凄まじい(同じテンションの曲が続くためやや単調に感じるところだけ若干惜しいなと感じるが、それぞれの曲のクオリティは異常に高い)。個人的には、前2作で切り開いた新境地のミドルテンポの麻薬的名曲「Reroute to Remain」、「Cloud Connected」、「The Quiet Place」、「My Sweet Shadow」系の曲が1曲でもガツンと入ってきていたら文句なしにIN FLAMES過去最高!と叫んでいただろう。強烈なブルタリティと印象的なサビを持つ新たな名曲#1「Take This Life」、SOLIWORK系のモダン・エクストリーム系の#2「Leeches」、絶頂感満載の疾走リフと女性ヴォーカルをフィーチュアした、アルバムの中でも一際目立つ#4「Dead End」、アンダース・フリーデンの魂の歌声と噎び泣くギターソロが絶品な名バラード#6「Come Clarity」等等等、またもや彼らの代表曲になりそうなチューンもたっぷり。個人的には「Reroute〜」と肩を並べるかどうか、というところ。先頃リリースされたライブDVDを見て興奮したファンは世界中にいるだろうし、積極的なライブ活動で北米進出も著しいIN FLAMES、いよいよ今年こそ大ブレイクか!?(H)

IN FLAMES / THE MIRROR'S TRUTH 【90点】

IN FLAMES / A SENSE OF PURPOSE 【98点】

coverフレドリック・ノルドストロームのスタジオを買い取った、バンド所有のスタジオ「IF STUDIO」としてじっくり制作された通算9枚目のフルアルバム。
全体的な感想としては、メロディアス度が高い、ギターソロがいつもより多い、ゴリゴリとへヴィに押し切るのではなく空間に広がりがある、適度なデジタル風味が音に厚みを与え、深みを感じさせる、緩急(テンポ)の使い分け・アレンジの妙が冴えてる…といったところ。アプローチは多彩なのに、IN FLAMESという看板がはっきり見えるところがさすが。スピード感のある曲はわりと似たタイプが多いので、何度も聞き込む必要はある…というよりは、個人的にはストレートなHMチューンはここ数作平凡に感じてしまうところがあって、特に前作「COME CLARITY」の終盤もそうだったんだけど、ちょっとアクセントのある曲が挟まってもよかったかな。

このバンドの良さはなんといってもスルメのように噛めば噛むほど味がでるところ。1度や2度じゃ良さはわからないけど、聞き込めば好きになりそうと思わせる可能性を感じさせてくれるのがいい。
IN FLAMESはアルバムごとに進化していくことがバンドとしての目標であるし、単純に過去のアルバムと相対的に比べて評価するのは難しいですが、個人的には過去のアルバムはどれも傑作だし、今回“も”傑作です、と言い切れます。

1.The Mirror's Truth
イントロではIN FLAMESらしくないちょっと軽めな雰囲気でスタートするけど、すかさず歯切れのよいリフとアンダース・フリーデンのシャウトが炸裂。へヴィすぎないマイルドさのあるギター、サビでのヴォーカルハーモニーとバッキングのハーモニーが抜群のメロディ、そして即効性と持続性の両方を兼ね備えた深遠さを感じるリーダートラックとしては文句なしの名曲。新作を象徴するかのような1曲です。

2.Disconnected
ザクザクと疾走していく序盤ではヘドバン必至。曲中でテンポがいろいろ変わっていて、ブリッジ〜サビにかけて表情が緩やかに変わっていくメロディが抜群。

3.Sleepless Again
初期IN FLAMESを思わせるアコースティックギターからはじまり、すかさず攻撃的疾走リフに。これまたブリッジ〜サビでの抑揚とメロディのバランスやキーボードのアレンジが秀逸。決して技巧に走らないメロディアスなギターソロもいいです。

4.Alias
ミドルテンポで、じっくりとメロディを紡いでいくといういままでになかったタイプの曲。サビでのコーラスハーモニーが特徴。これもギターソロにアコースティックギターを取り入れていて、IN FLAMES的モダン&クラシックがうまく同居してます。

5.I'm the Highway
印象的なメロディのギターリフが耳に残る。サビもかなりメロディアスで、歌重視度高い。

6.Delight and Angers
クラシックなHMを思わせるザクザクっとしたリフで始まる正統派な曲。思わず縦ノリしたくなります。ライブ向きかも。サビの手前のIN FLAMESらしいギターの音が気持ちよい。

7.Move Through Me
SOILWORKっぽいフューチャリスティックなアプローチのサウンドを軸にメロディアスで力強いヴォーカルが心地よいモダンな曲。ギターソロもスピーディーでキレがある。

8.The Chosen Pessimist
8分を超える大作。淡々としたイントロからはじまって、どうなるんだこの曲は!?と思わせながらいつのまにかドラマティックな展開になって、唐突な終わり方をするという、IN FLAMESになかった新機軸となる曲。感動的。唐突な終わり方がかえって余韻をずっと引きずります。アンダース・フリーデンの表現力が素晴らしいです。

9.Sober and Irrelevant
力強く、メロディックに疾走するメタルチューン。ここからは「COME CLARITY」の終盤同様、グイグイと引っ張る曲が続きます。

10.Condemned
グルーブ感あふれるへヴィな普遍的HM曲。サビのメロディはみんなで歌いたくなる勇壮さ、キャッチーさがあります。

11.Drenched In Fear
IN FLAMESらしい煽情力あるHM曲。これもブリッジ〜サビは合唱したい。随所にテクニカルなギターソロやアレンジがちりばめられてます。

12.March To The Shore
容赦なく突っ走る疾走曲…と思いきやこれもメリハリをつけてサビでじっくりハーモニーを聴かせるなど、アレンジ力が光る曲。

13.Eraser
「The Mirror's Truth」EPのカップリング曲ですが、同曲に負けず劣らずのフューチャリスティックな浮遊感と抜群なメロディをもつ名曲。リフもサビもソロも全て完璧。

14.Tilt
ちょっと地味だけどIN FLAMESらしさが随所に出ているミドルテンポの曲。アンダース・フリーデンの振り絞るヴォーカルがよい。ソロでのツインギターのハーモニーが叙情的。

15. Abnegation
コンピレーションに提供していた曲。独特なリフに魅力を感じるスピード感あふれる曲。コンピのときとアレンジが変わっています。

INTRUDER / 【81点】

INTUITION / TURN IT ON 【77点】

IRON MAIDEN / POWERSLAVE 【84点】

IRON MAIDEN / FEAR OF THE DARK 【83点】

IRON MAIDEN / BEST OF THE BEAST 【84点】

IRON MAIDEN / BRAVE NEW WORLD 【83点】

IRON MAIDEN / DANCE OF DEATH 【80点】

HM界の重鎮IRON MAIDENの通算13作目。場面展開が多い大作志向のプログレッシブな曲からストレートなHMまでバラエティ豊か。地味な雰囲気も漂うが何度か聴いているうちにじんわりとしみ込んでいく作品か。メイデンらしいメロディに溢れた充実作だ。個人的には、とりあえずチェックはするけどどうしてものめり込めないバンド(つまりはIRON MAIDENの良さである“お約束”がちょっと肌に合わないのでどうしようもない)として定着してしまっているので、事前の期待感も聴いたあとの感触もいつも通り冷静…というのが正直なところなんでスンマセン。(H)

IT'S ALIVE / EARTHQUAKE VISIONS 【82点】

IT BITES / LIVE 【71点】