Music Review : 2006年9月
WINGER / IV 【83点】
80年代〜90年初めに活躍したメインストリーム系HR/HMバンドが解散し、時を経て再結成するというブームはしばらく続いていたが、特に復活を期待していたWingerが再結成されたというニュースに衝撃を覚えた。13年ぶりの4thアルバムということになる。メンバーはキップ・ウィンガー(b、vo)、レブ・ビーチ(g)、ロッド・モーゲンステイン(ds)、ジョン・ロス(g)、新メンバーセンク・イログル(key)。オリジナルメンバーのポール・テイラーのみ不参加だ。音のほうはまさに「往年の」という表現がぴったりの、ちょっとひねくれたポップセンスが散りばめられた好盤。13年のブランクは感じられなかった。#7はキップのソロ作品のような哀愁が漂っている。ぜひこのまま活動を継続してほしいものだ。(H)
TO/DIE/FOR / WOUNDS WIDE OPEN 【95点】
フィンランド産ゴシックメタルバンド・TO/DIE/FORの5作目。初期のころは「Together Complete」、「Hollow Heart」といった単発キラーチューンがアルバムに一曲入っているという印象で、どうもアルバム単位ではイマイチ感が拭えなかったが、前作「IV」で大化けして個人的には数あるゴシックメタルバンドの中でも特にお気に入りのバンドに。本作でそれが完全に確立した。コンパクトかつキャッチーな構築美がどの曲にも満載。くどすぎないシンフォニックな味付けとデジタル風味のバランスもいいし、官能的なギターソロもさらに磨きがかかってる。前半のコマーシャルな路線もいいが、#5、#6あたりの、リードギターがバックグラウンドで歌うように追いかける展開が堪らない。OZZY OSBOURNEの「(I Just) Want You」のカバーもGoodだ。個人的にゴシックメタルの最高峰と位置づけさせていただく。{H)
ENTWINE / FATAL DESIGN 【82点】
安定したクオリティで日本でも徐々に知名度が上がってきたフィンランド産ゴシックメタルバンド・ENTWINEの5th。重厚サウンド+哀愁メロディというゴシックの王道を突き進むサウンドは、ここにきてメジャー感も漂わせるようになった貫禄の仕上がりといえる。これでドカン!とくるようなキラーチューンがあったら一気にスターダムに登りそうな雰囲気。ただ、メジャー感と引きかえに前作まで空気中に常に漂っていた哀愁が減退しているのはちょっと惜しい。(H)
EVANESCENCE / THE OPEN DOOR 【75点】
ゴシック×アメリカという組み合わせで衝撃デビュー作をつくりあげ、全世界で1400万枚も売ったEVANESCENCE待望の2ndアルバム。メンバーチェンジがあったため、作曲はエイミー・リーが担当しているようだ。基本路線は前作と一緒だが、圧倒的に曲がつまらないと感じてしまった。胸を鷲掴みにするような悲しい旋律が少ないかなぁ。さぁここから盛り上がるかなっていうときにかなり盛り下がる感じ。そしてそれがどの曲にも共通している。大衆性はかなり失われたと思う。期待していただけに残念。(H)
IRON MAIDEN / A MATTER OF LIFE AND DEATH 【78点】
やっぱりちょっと苦手です…(H)
ZENO / RUNWAY TO THE GODS 【85点】
2ndの「Listen To The Light」から8年振りに届けられた新作は、新ヴォーカリストにマイケル・ボーマンを迎えて発表。正直、やや暑苦しいハスキーヴォイスの彼がこのバンドのカラーに合うのか非常に不安だったが、そんなに違和感なく溶け込んでいるように感じる。が、だんだん聞いているうちにくどく感じるのは仕方ないか。とはいえ、練りに練られた楽曲群の素晴らしさといったら、やはりジーノは神だ、と思わざるを得ない。#1のイントロで失禁確実。(H)