Music Review : 2006年7月
RED / END OF SILENCE 【84点】
米ナッシュビル出身のヘヴィロックバンド・REDのデビューアルバム。非常に重厚なズシズシくるギターサウンド、モダンなプロダクション、クセがなく表現力豊かなヴォーカル、そして美しいメロディ…と、ありがちだけどクオリティがとても高い。LINKIN PARK、HOOBASTANKあたりと比較されているようだが、もちょっとメタル寄りのファンにもアピール高いかもしれない。(H)
GALNERYUS / BEYOND THE END OF DESPAIR 【89点】
天才ギタリストsyu擁するジャパニーズ・ヘヴィメタルバンド・GALNERYUSの待望の3rdアルバム。今回はNOCTURNAL RITESなどを手がけるスウェーデンのエンジニアチームが手がけたという意欲作。そういった姿勢を如実に表したワールドクラスな香りがプンプン漂う超力作に仕上がっている。日本人の琴線に触れまくるメロディがたっぷりで、キラーチューンになりそうな曲がたくさん。もちろん音質は最高。特に#1のイントロから#2の王道メロパワチューンに流れる展開はまさにクラシック・オブ・メタル。今回はハイトーンヴォーカルに頼らない曲が多く、高音域での不安定さが前作の不満だった自分としてはレベルアップしたヴォーカルがバンドのステータスを大きく底上げしたような印象を受けた。そしてバンドをひっぱるSyuの一点の曇りもないギタープレイには、自信と誇りに満ちたエネルギーが充満、いや爆発している。すごいね。(H)
WIG WAM / WIGWAMANIA 【82点】
ノルウェー出身のグラマラス(?)ハードロックバンド・WIG WAMの2nd。80年代のメインストリーム系HRを今という時代に体現している貴重なバンドであり、そしてそのクオリティは当時のサウンドを一瞬にしてフラッシュバックさせる音の魔力は本作でも健在。分厚いコーラス、キャッチーなメロディでぐいぐいひっぱる展開は非常にパワフル。
TEN / THE TWILIGHT CHRONICLES 【86点】
英国のメロディックHRバンド、TENの通算8作目。グレッグ・モーガンとスティーブ・マッケンナが脱退した模様。映画のサントラみたいな雰囲気はソロ作の「Once And Future King」に近い感じで、大作な印象を与えるアルバムだ。ゲイリー・ヒューズのメロディメーカーぶりがいかんなく発揮された力作。失望すら感じだ前作を遙かに凌ぐ内容といえる。それゆえに相変わらずの冗長な曲づくりが良さをうち消してしまっている感じが非常にもったいない。6分7分は当たり前。いつ歌い出すのかわからない場面もしばしば見受けられるのが残念なところだ。秀逸な歌メロを軸にコンパクトにまとめればと思うのは毎度のことなのだが…。クリスのギターは随分良くなってるが、全体を通すと音にバラツキがある。それでもだいぶバンドのカラーに溶け込み、自分の特徴を出せるようになってきていると感じる。それから、セルフプロデュースのプロダクションはそろそろ卒業して、しっかりとしたエンジニアに音を作ってもらいたいな。(H)
FAIR WARNING / BROTHER'S KEEPER 【85点】
6年振りに再結成したドイツのメロディックHRバンド、FAIR WARNINGの5thアルバム。いい意味でも悪い意味でも、解散前の変わらぬFAIR WARNINGスタイルを提示してくれた作品であり、ファンにとって嬉しい内容であることは間違いないだろう。個人的には解散前のアルバム「4」に対して強烈なマンネリズムを感じてしまってテンションが下がっていたのだが、今回はそれほどまでのアレルギーは感じられなかった。正直インパクトも薄く、キラーチューンも見あたらないという点で、リスナーが求める「昇天する」ようなレベルにはちょっと及ばない感じはするけれど、この美麗なメロディはFAIR WARNINGならではのクオリティであり、この音が帰ってきたという喜びは筆舌に尽くしがたいものがある。次作では一歩先のケミストリーを期待したい。(H)
桜塚やっくん / ゲキマジムカツク 【75点】
人気お笑い芸人、桜塚やっくんがSEX MACHINEGUNSのAnchangに楽曲を提供してもらいCDデビュー。#1「ゲキマジムカツク」はAnchangがソロでやりそうなヘヴィなサビ連呼系メタルチューン。桜塚やっくんのおなじみのネタを織り交ぜた曲です。#2「ロングスカート」は「イルカに乗って」系の軽快なギターとキャッチーなメロディが印象的な曲。やっくんはシャウトも歌も素晴らしく上手く、芸達者ぶりを見せつけてますね。ヘヴィメタル似合ってます。(H)
VANILLA NINJA / TRACES OF SADNESS 【82点】
バルトの小国・エストニア出身の4人組ガールズロックバンドのデビュー作。モダンでポップでキャッチーなポップスにロック風味がブレンドしたかのような、若さ溢れるノリのいいバンドだ。HRほどパンチはないが、身の丈にあったサウンドは聞いていてなかなか心地よい。曲作りが非常に精巧で商業性があり、思わず口ずさんでしまうメロディに溢れている。一発ヒットすれば世界的な人気も出るかもしれない。(H)