Music Review : 2006年5月

HOUSE OF LORDS / WORLDS UPSIDE DOWN 【82点】

復活作「THE POWER AND THE MYTH」では見事に期待を裏切られ、もう決別かと思っていた矢先、意外にも短期間で新作をリリースしたばかりか、内容的にも満足のいくサウンドをひっさげてきたHOUSE OF LORDSの5作目。ようやく歯車がかみ合ってきたのか?と思わせる。オープニングから扇情力のあるメロディでぐいぐいとひっぱり、その後も魅力的な佳曲が要所要所に点在しており、すんなりと最後まで聴き終えることができた。まだぐいっと胸を鷲掴みにされるようなところまできてないが、いいバンドであることが再認識できて今後に期待が持てそうだ。(H)

DEF LEPPARD / YEAH! 【80点】

4年振りということでてっきりオリジナルの新作と思いきや、カバーアルバムでした。メンバーのルーツである70年代初頭の英国ロックの曲を中心に選曲。このバンドのサウンドとは当然ながら一線を画しているが、どんな楽曲であってもデフレパード的な味付けに変換できる力量はさすがというもの。個人的にはそれほど楽しめなかったものの、バンドとしての偉大さは伝わってきた、そんな一枚。(H)

ETERNAL TEARS OF SORROW / BEFORE THE BLEEDING SUN 【88点】

久々の新作リリースとなったフィンランド産メロディック・デスメタルバンド・ETERNAL TEARS OF SORROWの通算5作目。メインメンバーの脱退という危機を乗り越えた作品も、さすがEToSというべき慟哭のメロディは全編を通して健在。一瞬にしてドラマティックな世界に引きずり込む力は些かも衰えてはいない。特にEToSならではの魅力が詰まった「Sweet Lilith Of My Dreams」、「Tar Still Flows」等に注入された美意識は他のバンドではマネできない領域だ。相変わらずヴォーカルの弱さが若干気になるものの、このバンドの作り出す世界観に心酔するのに余計なことは忘れてしまう。ゲストヴォーカルとしてマルコ・ヒエタラ(NIGHTWISH)、トニー・カッコ(SONATA ARCTICA)が参加。

TWILIGHTNING / BEDLAM 【80点】

SCAR SYMMETRY / PITCH BLACK PROGRESS 【79点】

ソイルワーク系の未来志向エクストリームメタル路線で十分なインパクトを残したSCAR SYMMETRYの2ndアルバム。よりアグレッシブさが増した印象で、自らの音楽性をさらに強固なものにしている。ただ、キラーチューンがないのと、平均的な楽曲&曲ごとのメリハリが希薄なせいか、聴き終えたあとにイマイチ印象に残らないのが残念だ。もうちょっとフックのあるメロディがあればよかったのにな。(H)

AVENGED SEVENFOLD / CITY OF EVIL 【90点】

カリフォルニア産パワー・メタルバンド・AVENGED SEVENFOLDの日本上陸作。とにかく多彩。正統HM+北欧旋律+ジャーマンメタル臭+アメリカンロックの泥臭さ…そういった様々な要素が破綻せず見事に融合している、奇跡のようなサウンドだ。テクニカルな技巧と速弾きを駆使したGソロとか今の時流に合わないぐらい弾きまくりだし、80年代を思わせるクラシックなHR/HM的メロディもツボ。そういった伝統的な要素を感じながらも、明らかにこのバンドの出自が感じられるハードコア的な音も出ているところや、ヴォーカルがハイトーン系ではなくしゃがれ声系なのはモダンロック、アメリカを思わせる。長い曲があったり、民俗音楽っぽいアコースティックギターを絡めたりという要素もおもしろく、伝統的な要素とモダンな要素が、かなりメタルに近いところでうまく融合している感覚だ。ガンズっぽいバラード#6とかかなり気に入ってます。(H)