Music Review : 2005年9月

BLOOD STAIN CHILD / IDOLATOR 【94点】

日本が生んだ驚異のメロディック・デスメタルバンド・BLOOD STAIN CHILDの3rdアルバム。これほどの衝撃は久しぶり。初期IN FLAMESのような泣きと最近のIN FLAMESのような浮遊感、DARK TRANQUILLITYやEMBRACEDのような緻密さと煌びやかさ、DISARMONIA MUNDIのようなデジタルアレンジ、SOILWORKのようなモダン・ヘヴィ…と、たとえを挙げたらキリがないほど北欧屈指のバンドの名前を列挙したくなるサウンドで、しかもそれらのバンドに比肩する作品だ。このバンドの大きなポイントは、メロディックデスメタルとテクノ/トランスを上手く融合している点。決してメタル度を落とすことなく取り入れているのですんなりなじめるはずだ。選任のテクニシャンがいるだけにアレンジ感覚は抜群で、わかりやすさの中に多くのエフェクトとドラマが存在する。ボーナス曲はLUNA SEAだが、クセになる。もう少しプロダクションが向上すれば完璧。(H)

BON JOVI / HAVE A NICE DAY [album] 【92点】

BON JOVI印100%の先行シングル「Have A Nice Day」でツカミは万全、その流れをアルバムにも見事に注ぎ込んだ素晴らしい作品。「CRUSH」も「BOUNCE」も良かったが、BON JOVIが等身大の実力を発揮したという点ではそれらを上回る満足度だ。どの曲もメロディがよく練りこまれていて、いままでありがちだった捨て曲群が見あたらない。おまけ的要素が強かったボーナス曲も「Dirty Little Secret」、「These Open Arms」といった本編から漏れたという楽曲が、シングルカットしてもいいくらいの良曲だったのにはビックリ。それからエッジの効いたリッチーのギターワークは久々心揺さぶられた。「Have A Nice Day」以外でキーになりそうな名曲は特に見あたらず全体としての小粒感は否めないものの、バランス感覚に長けた作品は長く愛せる一枚になりそうだ。(H)

CHILDREN OF BODOM / ARE YOU DEAD YET? 【88点】

メタルシーンに強烈な一撃を与えた出世作「HATE CREW DEATHROLL」に続く、EP「TRASHED, LOST & STRUNG OUT」を挟んでの待望の5thフル。究極に冷たいヘヴィなリフがザクザクと押し寄せる様はCOBが近年追い続けている路線を全うに歩んだ結果もたらされた姿で、その強靱さは他の追随を許さない。その比重の変化のせいか、わかりやすいメロディはやや後退し、印象としてもやや地味な作品になったことは否めないだろう。しかしマンネリを感じていた初期に比べてアレンジ能力は確実にアップしている。この作品で更に昔のネオクラ路線を好むファンは離れていくかもしれないけれども、決して単なる時代への迎合というわけではないし、モダン化した今のサウンドもまた、他の誰もやっていない音だと感じる。一皮剥けたバンドの、次作は「HATE〜」並のパンチの効いた作品を期待したいところ。ブリちゃんとPOISONのカバーは個人的にはいらなかった。(H)

THE RASMUS / HIDE FROM THE SUN 【88点】

前作「DEAD LETTERS」でここ日本でも大ブレークしたTHE RASMUSの新作。ハスキーなヴォーカルと湿り気を帯びたメロディで聴き手の魂を揺さぶる。そのクオリティは前作を凌ぐ。甘美で切ないメロディは質量とも確実にアップし、適度なハードさとの相性が抜群。なんといってもこのバンドの醸し出す空気が堪らない。最初から捨て曲などないが、特に#8、#9あたりにグッときた。哀メロ派は必聴。(H)

HAWAIIAN6 / BEGINNINGS 【--点】

BON JOVI / HAVE A NICE DAY [single] 【95点】

「It's My Life」と全く同じ感動がまた味わえるなんて。何も変わっていないけど、違う曲。違う曲なのに、同じ感動。それって非常に難しいと思う。同じバンドだから変わってほしくないという気持ちもあるし、変わらないとつまらないと言われてしまうこともある。特にベテランの場合はそのさじ加減が難しいだろう。この曲は「It's My Life」っぽく「Everyday」っぽく「Bounce」っぽく「One Wild Night」っぽくもある。同じことの繰り返しだと思うファンもいると思うけど、個人的にはこのBON JOVIマジックに脱帽。(H)