Music Review : 2005年8月

ALLEN-LANDE / THE BATTLE 【89点】

LAST TRIBEのマグナス・カールソン(g)のプロジェクトで、SYMPHONY Xのラッセル・アレンとMASTERPLANのヨルン・ランデという2人の実力派シンガーをデュオとして贅沢に使っている。同じくマグナス絡みのSTARBREAKERも素晴らしかったが、こちらも負けず劣らずの仕上がり。基本路線はLAST TRIBEよりもメロディアス・ハード寄りだが、圧倒的な歌唱力を持つ二人の歌いっぷりは見事(声質が似ているので使い分けが効いているかどうかは微妙だが)。しかし何よりも2人のシンガーが霞むぐらい魅力的なのがマグナスのつくるフック満載のメロディだ。どの曲も適度な疾走感とドラマ性があり、特に中盤に配した#7「My Own Way Home」は絶品。「良い曲を伝える」ために、2人のヴォーカルを必要以上に目立たせすぎず、サウンドもハードにしすぎなかったところが◎。(H)

LORD OF MUSHROOMS / 7 DEADLY SONGS 【80点】

南仏モナコ出身のプログレッシブ・ファンタジック・ロックバンドの2nd。ポンプロックっぽいところはIT BITESあたりを想起させる部分もあったり、メタルっぽいパートはDREAM THEATERなんかもちらつく。本作は7つの大罪をテーマにした作品。ジャズ、フュージョン、メタルを巧みに取り入れたプログレッシブロックで、こういうのは構成力が試されるわけだが、僕のような初心者が聴いてもその貫禄は十分感じ取ることができる見事な構成。演奏力も全く隙がなく、洗練度の高い完成されたバンドだと感じた。なかなか他にはいない個性のあるバンドだが、この音を受け入れる市場として決して裾野は狭くないと思う。(H)