Music Review : 2005年6月
陰陽座 / 臥龍點睛 【80点】
80年代を思わせる古典的HR/HMに独自のジャパニーズスタイルを盛り込む陰陽座6thアルバム。いきなりアメリカンロック調の曲ではじまる流れに肩すかしを食らったが、以降#2「龍の雲を得る如し」、#4「甲賀忍法帖」、#8「蛟龍の巫女」と、お得意のメロディックHMナンバーが並んで心地よい陰陽座ワールドが繰り広げられていく。メロディのセンスは冴えまくっているし組曲「義経」のような試みも面白い。ツインヴォーカルの魅力も抜群…なのだが、相変わらずの軽い音、マンネリ、妖怪度減退あたりが気になって、飽きがくるのがこれまで以上に早かった。良作だし、クセがない分一般受けはいいはず。ただ、個人的には消化不良。(H)
FOO FIGHTERS / IN YOUR HONOR 【80点】
「Best Of You」に惹かれてちょっと冒険。Disc1はロックサイド、Disc2はアコースティックサイド。特にロックサイドは大物の貫禄漂うロックアルバム。キャッチーだったりうねりがあったりR&Rだったりといろいろ楽しめた。(H)
BRUCE DICKINSON / TYRANNY OF SOULS 【80点】
なぜかIRON MAIDENはそれほど好きになれないが、ブルースのソロはそれよりストレートなHM作品で、しかも彼の持つイメージを決して崩さないちょうどいい立ち位置が良くて、どちらかというとメイデンよりはこちらのほうが好み。稀代のヴォーカリスト、ブルース・ディッキンソンと必殺仕事人ロイ・Zのコンビは素晴らしいタッグだ。頭3曲が特に良い。ただあまり気持ちを込めて聞き入れる音ではないので、いいとは思いつつもそれほど響いてこない。(H)
BACKSTREET BOYS / NEVER GONE 【85点】
BSBお約束の美メロヴォーカルが堪能できる。前作BLACK AND WHITEに比べ随分よくなった。特に序盤が素晴らしい。(H)
DREAM THEATER / OCTAVARIUM 【--点】
ZENO / ZENOLOGY II 【85点】
「ZENOLOGY」に続く、過去に録音されたZENOの音源を集めたアルバム第2弾。飛翔するジーノ・ロートのギターは当然のごとく独特の空気を作っている。どの曲も未発表であることが信じられないほどレベルが高く、次から次へと襲いかかる高揚感は最早抑えられることはできない。(H)
SENTENCED / THE FUNERAL ALBUM 【82点】
「絶望のゴシックメタル」として多くのフォロワーを産み、多くのファンに支持されたセンテンストが解散を表明し最期のアルバムとしてリリースした作品には「葬儀」と名付けられた。まったくもって彼ららしいが、内容は絶望的に暗いサウンドとおもいきやノーザン・メンランコリック・メタル中心のノリがたっぷり入ったアルバムに仕上がっており、本当にこれで最期なのか?と思わせるテンションだ。マンネリ化されたメロディがどうしても気になってしまい、個人的には不満スレスレのところで接してしまう部分もあるが、初期のデスメタルを思わせるインストを入れたりと、自分たちの軌跡をたどる集大成的な姿勢が色濃く現れているとすればそれもまた良し。ラストを飾る「End of the Road」のソロの絶望度はリアルすぎて本当に恐ろしくなってしまう。素晴らしいバンドがまたひとつ消えていく寂しさをかみしめながら、このソロを堪能している。(H)
GOTTHARD / LIPSERVICE 【88点】
スイスの英雄、GOTTHARDの8作目のアルバム。高い作曲能力とパフォーマンスを兼ね備えている彼らであるが、前2作で若干物足りなさがあったロック調の楽曲の充実度が格段にアップし、HR作品として完成度の高い作品に仕上がっている。しかもそこには強烈なフックのあるメロディが散りばめられていて、聴きどころ満点。まさしくロックアルバムのお手本という言葉が当てはまる内容だ。シングルカットされた#3「Lift U Up」はこれまでにないアプローチで異質だが、しっかりとGOTTHARD印のアレンジとして違和感なく仕上げているところに優れたコンポーズセンスを感じるし、とかくマンネリ化しがちなこの手のサウンドによいアクセントを与えている。この曲はライブで演奏したら相当盛り上がるだろう。もちろんお得意のバラードも#4「Everything I Want」、#8「I've Seen An Angel City」といった過去の名バラードと肩を並べるキラーチューンがあり、泣かせどころも忘れてはいない。国民的ヒーローならではの貫禄が漂う作品。(H)