Music Review : 2005年3月

LIFEHOUSE / LIFEHOUSE 【80点】

カリフォルニア出身のアメリカンロックバンド、LIFEHOUSEの3rdアルバムはバンド名を冠した勝負作。一聴した感想は「地味」。しっとり堂々とアダルトな雰囲気はこれまで以上で、明らかに落ち着いた作風を狙っていると思われるが、ひっかかりどころがやや希薄で、平坦な印象で最後までひっぱられた、という感じ。#1「Come Back Down」〜#3「Blind」あたりまでは貫禄漂うメロディが印象的だが、それ以降の平均点が総じて下がってしまっているのも要因かもしれない。どうしても「Hanging By a Moment」や「Spin」といったアップテンポなロックを望んでしまう自分のようなリスナーにとっては物足りなく感じてしまうのだろう。もちろん十把一絡げのバンドよりはレベルは高いし、この手の音楽はじっくり聞き込んで味が出てくるものだろうけど、個人的に期待していた以上の感動がなかったのが残念。(H)

ENTWINE / DIEVERSITY 【89点】

フィンランドのゴシックメタルバンド、ENTWINEの通算4作目。国内盤がでるのはこれが初めてだ。どの曲も思わず膝を打ちたくなるようなキャッチーなメロディがふんだんに配され、曲ごとのクオリティが均一でアルバムとしての完成度が非常に高い。ニューウェーブ風のアレンジやモダンな空気も現代的で耳を心地よく刺激してくれる。他のゴシックメタルに比るとヴォーカルの男臭さが少なく、むしろ繊細で危うい雰囲気をこの切ないメロディに乗せている感じがとても良い。クセが少ない分、多くのリスナーに受け入れられそうな高品質メロディアス・ハードロックといってもよいだろう。終盤の#10「Nothing Forever」と#11「Last Within」は哀愁メロディにとことん打ちのめされる絶品の曲。(H)

SEX MACHINEGUNS / HEAVY METAL THUNDER 【93点】

cover

今ではすっかりコアなファン気取りだが、実はバンドとして新作をリアルタイムで購入するのは実は初めて(ソロ除く)。「IGNITION」のときはリリース後半年ぐらいたって気づいたりと、要するに自分がマシンガーと自負したのは解散後だったわけ。あっという間の復活劇、そして正統派HMでリスタートするという宣言とともにリリースした復帰第一弾アルバムの冠は「HEAVY METAL THUNDER」。既にライブで体験済みだったタイトル曲はまさにHMの新たなアンセムとして燦然と輝く名曲だ。シングルとして出ていたストリングスを取り入れたドラマティックな#5「サスペンス劇場」、スピード感たっぷりの伝統的メロディックHM#9「出前道一直線」といった王道HMチューンが主要ポイントを固める曲構成は屈強で、メンバーの強い魂を感じる気合い十分の内容に仕上がっている。ジャーマンメタル調の#2「伝説のキャッチボール」、「ONIGUNSOW」を超えるバンド史上最速という#3「焼き肉パーティー」あたりまでの力強さにはぐぅの音も出ないほどだ。ライブ受けしそうな#6「パンダちゃん」、#7「踏み台昇降運動」などもこれまでのマシンガンズの魅力をまとめあげた、間違いなくファンを魅了する仕上がり。ラストを飾る「4」はモダンな味付けで異色な存在だが、シリアス・メランコリック・ヘヴィな雰囲気は非常に好き。ワールドクラスのテクニックとライブパフォーマンスで、是非世界相手に暴れまくってほしいものである。(H)

THUNDER / THE MAGNIFICENT SEVENTH 【87点】

ブリティッシュロックの最高峰バンドのひとつ、THUNDERの7thアルバム。前作「SHOOTING AT THE SUN」で見事に100%THUNDER印で復活してくれたわけだが、本作でもTHUNDERならではの英国臭プンプンの作品に仕上げてくれた。ロック度がいつもより幾分高めでそこに天才ヴォーカリスト、ダニー・ボウズの声が乗る。その声が空間に広がってできるリッチなロックワールドは至福のひととき。ルーク・モーリーの熱いギタープレイが光る#5「Amy's on The Run」、#7「Fade Into the Sun」といったら、かの名曲「River of Pain」を引き合いに出したくなるぐらい素晴らしい曲だ。なかには、使い回しのメロばっかりと思わせる曲もあって「GIVING THE GAME AWAY」にはまだまだ遠く及ばないが、この等身大の音楽が、いいのだ。(H)