俺たちフィギュアスケーター
「俺たちフィギュアスケーター」(ウィル・スペック;ジョシュ・ゴードン監督)
“男子フィギュアスケートシングルズ界のツートップ、セクシー・マッチョなチャズ・マイケル・マイケルズと、繊細で純情な天才美青年ジミー・マッケルロイ。常にしのぎを削ってきた2人は、同着1位の表彰台で派手にケンカを繰り広げ、栄光のスポットライトから一転、どんぞこまっしぐらの大転落。そんな2人がトップの座への返り咲きを賭けて選んだ究極の手段---それは、男同士のペア・フィギュア!”
というコメディ映画にありがちなハチャメチャな設定。そもそもチャズは“セクシー・マッチョ”のわりに太ってる体型だし、ジミーだって美青年とはいいがたい…。最初から最後までそんなつっこみどころ満載で「バカバカしい〜」とか「くだらねぇ〜」とかいいながらも、腹の底から笑ってしまう内容で、痛快でした。スポ根な展開なのもよかった。
相棒
GW公開映画の動員ピークは過ぎ、マジックアワーの初日ということもあったのかもしれないけど千石劇場は閑散としておりました。水谷豊はいいですねぇ。観客のほとんどがおばちゃまだったのもうなづけます。ストーリーとしてはやや詰め込みすぎな感もあって突っ込みどころも多かったですけど、映画も相棒もライトユーザーな自分にとっては楽しめました。
それでもボクはやってない
「それでもボクはやってない」(2007年/周防正行監督)
法廷モノはいろいろ観ましたが、これはもう、大傑作でした。周防監督が3年かけて徹底取材したそうですが、いつ自分がそういう立場になってもおかしくないであろう痴漢冤罪という恐怖の災難、ゆがんだ社会と権力、裁判所・裁判制度の実態といったことが客観的に細かく描写されていて、驚きと絶望と空虚感とスリルの連続。147分という時間はあっという間。リアリティあふれる描写は息つく暇をあたえてくれませんでした。
痴漢の冤罪なんて、死んでも遭遇したくない状況に直面したとき、「自分はやってない」と主張して乗り切ろうとするパワーってどんなに大変なものか…、いや、むなしすぎて乗り越えられないかも。何回も大きなため息がでました。
理不尽だけど目をそらすことができない現実であり、怖い映画。だけど周防監督のすごいのは、映画としてまとめあげるエンターテイメント性ですね。
ゆれる
「ゆれる/西川美和監督)
劇場で観たかったのにすっかり見過ごして、せっかくレンタルに出てきたのに近所のビデオ屋には1本しか置いてなくていつも貸し出し中だったので、思い切ってDVDのソフトを買いました。映画のソフトを買うのは、中学時代に「プロジェクトA(ジャッキー・チェン)」のレーザーディスクを買って以来です…。
期待に違わぬよい映画でした。お互い信じあっているはずの兄弟の間にある愛情、摩擦、確執、嫉妬…、さまざまに揺れ動く心理描写が舞台となる吊り橋を軸に見事に描かれてますね。見ている間も、見終わってからも、あのときの兄弟の心理ってどうだったんだろう?って振り返って考えてしまいます。人間ドラマとしての感動だけでなく、サスペンスとしてのドキドキ感もあって、最後まで目が離せませんでした。最後のシーンは、特に良かった…。
メタル侍
朝、会社にきたらキーボードのうえに一枚の新聞記事切抜きが…。「東映とコロムビアミュージックエンタテイメントがインターネットで配信する時代劇映画製作で提携した。(中略)タイトルは「メタル侍」で京都・太秦(うずまさ)で撮影した」。へヴィメタルギタリストとしての裏の顔(?)をもつ外国人浪人が、ギターを使った技を繰り出して悪者を懲らしめるというストーリーらしい。
メタル侍というか、「KISS侍」だよなコレ。名前が「松平出洲之進」って、「KISS」と「デス」がへヴィメタルの代名詞ってのは普遍的なのね。まぁたしかにわかりやすいんだろうけど。ギターを使った技っていったいなんだ?メロスピ系の敵がきたら敵わないかもねw
映画「アルゼンチンババア」の主題歌はタテタカコ
3月24日公開予定の映画「アルゼンチンババア」の主題歌は、長野が誇る歌い手・タテタカコさんが歌う「ワスレナグサ」(シングル/3月7日発売)。映画そのものもすごく気になるのですが、タテさんが歌うということでなおさら興味深いです。「アルゼンチンババア」のキー・ビジュアルである奈良美智さんのイラストがジャケット。なお、アルバム「イキモノタチ」 は3月20日発売だそうです。
ダンス・オブ・ダスト
「ダンス・オブ・ダスト/2001年イラン/アボルファズル・ジャリリ監督)
我が家ではレンタルビデオを借りる際、パートナーの好みでイランとかフランスの映画も一緒に借りることが多いです。意味のわからない映画も多いんですけど、イランのは国のお国柄とか事情とか社会情勢がリアルに描かれている感じがして、ストーリーはともかく見たあとに強烈に印象に残る映画が多いんですね。今回借りた「ダンス・オブ・ダスト」も“意味わからない度”はいままでで一番でした。75分という短い映画なのですが、冒頭から「この映画は監督の意向により字幕がありません」なんていう字幕がでて、なんだよそれって感じです。ただ、本編はほとんどセリフらしいものがなく、言葉がわかってもわからなくてもそれほど捉え方に差はないと思われ。それにしてもストーリー展開がまったく意味不明で、最後まで何がなんだかわからなかった。75分がやたら長く感じた。良く言えば観客に解釈をゆだねるということになるんでしょうけども…。でも不思議と、見終わったあとに「見なけりゃよかった」とはまったく思いません。どの映画でも。この映画も映像は美しいし、主人公の少年の表情は非常に豊かで、切ない。いつも強烈なインパクトを残すイラン映画。なんかマジックが隠されてる気がします…。
スウィングガールズ
「ブラス!」とか「スクール・オブ・ロック」とか楽器系の映画が結構好きなので前から気になっていた映画。
夏休みの補習クラスの女子生徒たちが、補習をさぼる口実で高校野球を応援する吹奏楽部へ弁当を調達するも、炎天下のダラダラ道中で弁当が腐ってしまい、それを食べた吹奏楽部員が体調を崩してしまった。唯一弁当を食べなかったダメ部員男子・中村が補習クラスを率いて吹奏楽をやらせようとするも、人数が足りないので吹奏楽ではなくビッグバンドのJAZZをやることに。次の試合まで一週間。楽器など全くできない生徒たちはいったい…。
一週間足らずでビッグバンドなんてありえないでしょ…と率直に観ていて感じたのですが、そういう展開になるであろう仕掛けはこの映画の最初からあったのだ。ちょっとした大げさで非現実的なエピソードの積み重ねがいい意味での作り込み感を生み出して、ありえないと思っていたラストへ導いてます。元気たっぷりの「Swing Girls(And A Boy)」のはじけっぷりが心地よかったです。見終わったあと非常に爽快な気分になったのですが、日が明けてもあの楽しい演奏がアタマの中に残っています。
THE 有頂天ホテル
ここのところ自分的にありえない夜更かしの連続で眠気もかなり強いのですが、どうしても「THE 有頂天ホテル」は劇場で観たかったので強引に時間を作って行く。長野で列を作ってまで映画観るなんて初めてかも…。劇場行きたかった理由のひとつはパンフレット。「ラヂオの時間」も「みんなのいえ」も良かったし。今回もよい出来だと思います。映画のほうは相変わらずの「密室ドタバタ劇」で三谷作品らしい大技小技入り乱れたユーモア溢れる作品でした。キャスティングが豪華すぎ。その中でもシリアスなYouにグッときました。役所広司は最高だね。
ビッグ・フィッシュ
「ビッグ・フィッシュ」(2003年アメリカ/ティム・バートン監督/ユアン・マクレガー主演)
「シザー・ハンズ」や「スリーピー・ホロウ」など、一級の映画を作り続けているティム・バートン監督の作品。個人的にファンタジー映画って好きじゃないんだけど、意外とこの監督の作品は観ていることに気づいた。(「マーズ・アタック」とか理解できなかったけど…。)
自分の人生を壮大に語り続けるエドワード・ブルーム。しかし、魔女や巨人が登場するホラ話のようなストーリーの数々を、息子のウィルは信じることができない。父を非難しながらも「本当の父さんをみせてほしい」と願うウィル。すれ違ったまま過ごすうち、父の容体が悪化。死期が近づいたそのとき、葛藤のなかにいる息子は…。
父の若かりしころの再現シーンの数々は少々苦痛だったけど、ラストは空想と事実と真実が絶妙に絡み合っていく見事な結末!
スティーブ・ブシェミって好きだなぁ。