風が吹くまま

cover「風が吹くまま(1999年イラン=フランス/アッバス・キアロスタミ監督)」
珍しい葬儀の儀式があるというイラン北部の村へと取材にやってきたTV制作クルーのディレクター、ベーザードが体験する日々を描いたドラマ。危篤の老婆が容態を持ち直してしまうことで、クルーはなすすべのない生活を送ることになる。案内役の子供・ファザードや村人たちとの会話を軸に、暇を持て余すなかでの上司からの催促、仲間からの決断を迫られながら淡々と物語が進んでいく。ほとんどの会話は会話の相手が見えない。仲間である撮影クルーも声だけで最後まで一切顔がでてこない。上司の度重なる催促も全て携帯電話。ベーザードの一人芝居的な演技の中に、もどかしさと焦燥感がうまく表れていると思う。
ストーリー展開が淡白なので正直集中力が途切れてしまうところもあったが、この村で起こっている悲惨な現状がファザードが通う学校の先生によって深く語られている。先進国にすんでいる僕らには少々現実味のないものなのかもしれないが、人間の営みというか、本質的なものが描かれている気がした。全編にわたる自然の映像美は思わず息を飲む美しさ。
99年度ヴェネチア国際映画祭審査員グランプリ受賞。

[ MOVIE ] Posted by hara at 2003年12月22日 10:16
コメント

トラックバック
トラックバックURL : http://www.hardrocktaxi.com/mt/mt-tb.cgi/110


コメントする









入力した情報を登録しますか?