THUNDER + LILIAN AXE in 日比谷野外音楽堂
午後5時、サウンドチェックが終わって登場したのは男気たっぷりのゴツい男たち。前座がいるなんて知らなかったので、誰だかわからずに彼らの演奏を聴いた。演奏も歌いっぷりも堂に入っていて本当にお見事、これは無名の新人バンドではないなと思ったが、あとで実はLILIAN AXEだと知ってショック!もっとしっかり聴いておけばよかったー。誰か知らないものだから最後の方は「いつ終わるんだよー」なんて感じだった。しかし、彼らは一生懸命だった。前座としては文句無し。新譜も是非買うべし。
LILIAN AXEのあとステージでは調整がはじまり、今か今かとスタートを待つ。そしていよいよ、ハリーの登場だ。彼らのライブではおきまりの「New York,New York」でライブの開始。短い足を必死にあげて歌う姿はとても微笑ましい。曲の終わりには他のメンバーがハリーのスーツをひっぺがして、そのまますごすごとハリーはドラムセットに座る。やっとやっと、THUNDERのナンバー「Welcome To The Party」で本当のステージが始まる。
オープニングにはピッタリのこの曲で既に会場は凄い盛り上がり。曲名の通 りまさに「パーティへようこそ」といった趣だ。メンバーのご機嫌も絶好調のようで、終始腰をフリフリ、ステージを所狭しと走り回り、観客を煽るダニーはその素晴らしい声を高らかと歌い、全身白装束のルークが官能的なギターを聴かせる。「Pilot Of My Dreams」に続いては早くも名曲「River Of Pain」だ。このイントロのギタープレイは非常に哀愁があり、ルークも気持ちよさそうに音を奏でる。もちろん観客の反応も最高で、サビは大合唱。 続いて今日初めての新作からのナンバーは、これも哀愁たっぷりの「Numb」。ダニーは美しいメロディラインを丁寧になぞっていく。こういうバラードに、彼の声は非常によく合うと思う。さらにベンのピアノの旋律が美しさに相乗効果を生んで、会場はみんなうっとりしていた。今日まで気付かなかったが、ベンは凄い。ルークの独壇場のバンドではないことを改めて知った。
一転して「Rolling The Dice」と「Gimme Some Lovin'」で再び会場はノリノリに。後者はダニーに続いてコーラスできるタイプの曲で、周りの人もみんな大声で歌っていた。そして絶品のバラード「I'll Be Waiting」に続きIstアルバムの名曲「Higher Ground」になだれ込む。ダニーの声は中盤を過ぎても決して衰えることなく快調にとばしている。「Does It Feel Like Love?」、そして新作からのタイトル曲「Giving The Game Away」と進む。ブリッジ部ではCDさながらの音を出すため、マイクではなくスピーカーで歌って会場の喝采を誘う。この曲もサビが非常にキャッチーで歌いやすい。次は個人的に絶対やって欲しかった「Time To Get Tough」が演奏される。ライブ受けしそうな楽曲目白押しの新作の中でもとりわけ映えそうなこの曲は、やっぱり迫力満点で、今回の中でも一番楽しめた。2ndからの重い曲、「Empty City」を挟んだあと、ステージにアコースティック・ギターが設置される。もしや、まさか、と思ったが、やっぱりそうだった。新作のオープニングナンバー「Just Another Suicide」だ。軽快なリズムとリフが否応なしに体に反応してタテノリになる。まさにライブでの一体感を生むナンバーで、メンバ?と会場の掛け合いが気持ちいい。最初のセット最後の曲はやっぱり「She's So Fine」。メンバーがステージから去った後、アンコール一曲目は「It's Another Day」。メンバーは全く疲れた様子もなく、心の底から楽しんでいるようだ。ここから3曲はカバーソングで、一発目は「Play That Funky Music」。新作で違和感を感じる人もいるようだけど、僕は大好きな曲なので大歓迎。もちろんサビは大盛り上がり。実際踊っている人もたくさんいた。BEATLESとFACESのカバーを演奏して、いよいよクライマックスの「Dirty Love」へ。みんなで「Na Na Na〜」と歌い、何度もメンバーと掛け合いをして、楽しい楽しいショウの幕が閉じた。
前座を含めて丸々3時間は、運動不足の僕にとってはかなりきつかったが、とにかくTHUNDERというバンドの実力がとてつもなく凄いということは肌をもって実感できた。特に新作の曲がライブにぴったりだったので、これから定番がいくつも増えることだろう。「Love Walked In」、「Stand Up」や新作の数々の名バラードなど、是非聴きたかった曲もあったけれど、欲を言えばきりがないので、諦めるとしよう。たった2日間の日本公演、しかし全国のファンが納得する内容であったことは間違いない。